4月まで、残すところあと半月程度になりました。
ここ数週間、新社会人向け記事へのアクセス数や、コメント、さらに質問のメールが急増しています。そこで今回は、「ここに気をつければ新入社員のスーツスタイルがもっと良くなるのに……」というポイントを5つに絞ってご紹介します。
新年度は入社、研修、職場への配属など、短期間に新しい人との出会いが多く発生する時期です。人は見た目で判断しがちな生き物ですから、これを逆手にとって、少しでも有利な社会人スタートが出来る様、考えてみたいと思います。
会社、事業部、担当、さらには顧客によって、スーツの傾向やそもそもスーツすら着ない可能性があります。ですから、かなり基本的な部分に限定して書きますが、どれも出来ていない新人を多く見かけますので、参考にしていただければ幸いです。
1.靴が汚い
数ヶ月に亘る就職活動や卒業式を経て、ボロボロになった靴を毎日履いてくる新入社員を多く見かけます。これは私の職場だけで無く、通勤時間帯の電車を見るとよく分かります。
靴はスーツほど表面積は広くありません。しかし、高い靴を履いていようが、安い靴であろうが、汚れているかそうでないかは一目瞭然で、スーツと同じくらい目立つうえ、汚れたまま放置されがちなアイテムでもあります。
常時綺麗に磨かれた靴を履く事で、想像以上に良いレッテルを貼られる事があります。ぜひ、実践してみて下さい。
対策のポイントと参考記事
ブラッシング、シューツリー、靴クリーム
一日履いただけで靴にはかなりのホコリがつきますから帰宅後にはブラッシングをし、型が崩れない様にシューツリー(tag:シューツリー)を入れてしまいます。また、くたびれた感じがしたら、靴クリームを使って手入れをします。
毎週末の手入れを習慣化できれば理想的です。靴磨きは、慣れればとても楽しいので、少しずつ道具を揃え、楽しみながらやってみて下さい。
参考記事:時短! 3分で靴を磨く方法
ローテーション
特に、靴は連続して履くと傷みが早く、かつ嫌な匂いが発生しやすいので、最低2足、出来れば3足でローテーションします。(今では1週間に2回同じ靴を履かない様にしています。)
参考記事:まとめ(スーツや靴を長持ちさせる「ローテーション」)
2.スーツが皺だらけ
入社後は、のんびりした学生生活から一転、慣れない環境へ朝早くから夜まで連日出勤する事になります。そのギャップに、最初の一ヶ月間は特にキツかったのを、今でも覚えています。
5月のゴールデンウィークまで纏まった休みが無いため立ち止まって顧みられる事も無く、帰宅後のスーツの管理はおろそかになり、次第に皺だらけのみすぼらしいものになっていきます。特に、就職活動中から使っている年季の入ったスーツであれば、なおのこと。
その結果、4月も後半になるとかなりの確率で、クタクタスーツの新入社員を目撃する事になります。
スーツ量販店における新入社員のスーツ需要は2月下旬から3月が大きな山で、4月の中~下旬は殆ど来なくなり、5月の大型連休前まで閑散としているようです。店でじっくり選びたいなら、4月の下旬がお薦めです。
対策のポイントと参考記事
ハンガーで休ませ、ブラッシングする
スーツの生地に使われる羊毛には強い復元力があるため、ハンガーに吊しておくだけでかなりのシワを取る事が出来ます。ただし、プラスチックの物で良いので厚目のハンガーを使う事と、2日以上休ませる事が重要です。また、ブラッシングによるメンテナンスも非常に重要です。
参考記事:3.正しいハンガーを使う(スーツを長持ちさせるための5つの方法(初級編)上)
匂いにはスチームを使う
ついてしまった匂いや、頑固なシワは、スチーマーを使う事で簡単に取る事が出来ます。(アイロンでプレスする場合はテカってしまう可能性があるため、当て布を使って下さい。)
参考記事:スチーマーを買い換えました
スーツを正しく畳むクセをつける
また、研修期間や配属当初は、沢山の飲み会や歓迎会などに参加する事になると思います。クロークが置いていない店で飲む事が多いでしょうから、汚れない様脱いで、出来れば畳んで荷物と一緒に置いておくと良いと思います。(ハンガーに掛けておくと、料理や煙草の煙で、服がダメになってしまいます。)
参考記事:スーツを傷めないたたみ方
3.シャツの襟や袖が汚い
スーツスタイルで汚れが目立ちやすい場所はまだあります。それはシャツです。
シャツは常時肌とふれあっているため、老廃物、皮脂や汗が直接吸収されます。これ自体は、ジャケットを守っている事になるためとても素晴らしい機能なのですが、この汚れを放置する事で、とてもみすぼらしくなります。特に襟や袖など、外から見えやすい部分の汚れには要注意です。
もう一つ重要なのが、襟の型崩れです。プレスをせずに洗いざらしを繰り返す事で、襟がカールしてみすぼらしくなっている状態をよく見かけます。
襟がカールしているパターンでは、さらに「第一ボタンが外れ、だらしのない高校生のようなずり下げたネクタイを締めている」人を何故か多くみかけます。ノーネクタイでカジュアルにした方がまだ格好がつくと思うのですが……。
対策のポイントと参考記事
クリーニングの活用
4月の忙しい(残業は無いと思うのですが、慣れない環境、多い懇親会や歓迎会を考えると、体感での忙しさは他の社員よりも上なのでは無いでしょうか)時期を考えれば、クリーニングに出す事も検討すべきです。何枚かまとめて出す事を考えれば、1週間分+αのシャツは確保しておきます。
なお、シャツは着る度に洗うべきですが、スーツのクリーニングは生地が傷むので最低限にとどめます。
参考記事:Q. スーツのクリーニング頻度はどのくらいが良いの?
襟がしっかりしたシャツを選ぶ
そもそもへたりづらいシャツを選ぶのも重要です。スーツ量販店の安売りシャツも良いですが、しっかりとした作りのシャツを買おうとしたら最低でも4,000円は欲しいところです。
お薦めは土井縫工所です。値段が7千円台と高めに感じるかも知れませんが、とても綺麗な襟で、本格シャツとしては高コスパだと思います。また、本サイト読者の方には、鎌倉シャツの愛用者が多いようです。
参考記事:土井縫工所のシャツ レビュー3
4.ずっと真っ黒のスーツを着ている
業界にも依りますが、就活用に買った黒のリクルートスーツが使えるのは、入社後1年までだと考えた方が良いです。スーツというと黑を思い浮かべる学生があまりにも多い気がしますが、黒いスーツはあくまで特殊なスーツ(日本では喪服)です。
黒の無地は通常礼服用で、ビジネス用途には用いられません。また、濃色の無地は生地の善し悪しが分かりやすく、また傷みやテカリも出やすいため「リクルートスーツぽさ」が感じられる原因にもなります。
一昨年くらいまではリクルートスーツと称して売られているスーツの殆どが真っ黒でした。企業説明会が近くであると、大規模な葬儀かと思うほどの異様な雰囲気です。売り場を取材してみると、今年は紺やチャコールグレイが増えたそうですが、それでも7~8割が黑とのこと。面接する側は当分、モブキャラと化した学生の判別に苦労しそうです。
対策のポイントと参考記事
まずはダークカラーのスーツから……
黒のスーツは喪服として保管し、まずはチャコールグレイやダークネイビーの無地を中心に2~3着買いそろえます。
ストライプやチェックといった柄物に手を出すのはその後にします。特に、職場によってスーツの文化が異なる事があるため、手を広げるのは配属された後がお薦めです。
なお、就活用スーツとしてチャコールグレイやダークネイビーを揃えた方は、傷みが無いか確認しつつ、そのまま使い続けても全く問題ないです。
参考記事:質問2:就活中に使ったスーツは入社後も使えますか?|新入社員のスーツスタイルQ&A
5.服のサイズがおかしい
最後はなんといってもサイズです。サイズの合っていないスーツは「着せられている」感が強いのですが、就活中に急いで買ったスーツが多いためか、サイズの変な新入社員を多く見かけます(新入社員に限らないのが深刻な問題なのですが……)。
【ジャケット】の対策ポイント
重要なポイントは5つです。
- 肩幅:シワが出来ていたり、パツパツになっていないか
- 着丈:お尻が隠れる程度がよい(肥満型の場合は長すぎ、やせ形の場合は短すぎることが多い)
- 袖丈:好みもあるが、シャツが少し見える程度が美しい
- 胸回りのゆとり:拳一個分のゆとりがあるか、ボタンを一つしめたときに変なシワが出ないか
- 体型に合ったデザイン:姿見で前後を見て、変なシワが出ていないか
とまあ、教科書的に書けばこんな感じなのですが、理屈を分かっていても本当に合っているか自分で確かめるのは最初のうちは難しいでしょうから、他人(出来れば優秀な店員)に見て貰うのが一番です。
【パンツ】の対策ポイント
重要なポイントは3つです。
- 裾丈:少し歩いたあとで、裾にだぶつきがないか、あるいは靴下が見えていないか
- 腹まわり:ベルトをしなくてもずり落ちないか、ポケットがパックリ開くなど小さすぎないか
- 腰/股まわり:着席時にきつくないか
こちらはジャケットと違って自分で確認しやすいと思います。特に見ていて多いなと思うのは、靴に裾がだぶついている人です。ワンクッションやツークッションくらいなら良いのですが、蛇腹はNG。購入時/サイズ調整時にズボンを上まで持ち上げすぎると発生しやすいので、採寸時に少し歩いて確認すると良いです。
以下の記事はオーダー向けに書いた物ですが、詳しく知りたい方はご覧下さい。
参考記事:着用者が注目すべきスーツの「サイズ感」7つのポイント【サラリーマンのためのオーダースーツ講座06】
【シャツ】の対策ポイント
重要なポイントは3つです。
- 首まわり:第一ボタンがしまるか、指1本分くらいの余裕か(シャツはS/M/Lでなく、1cm刻みのサイズを選べる物を)
- 袖丈:ジャケットからシャツの袖が出るか(1cm程度で良い)
- 手首まわり:ブカブカではないか(既製のシャツはだいたい大きめに作られいていて、実寸+6~8cm位が丁度)
以上はジャケットを羽織る前提ですが、夏場、ジャケットを脱ぐ場合はいくつかの要素が追加になります(肩幅が広すぎて落ちていないか、胴まわりがだぶついていないか等)。
袖丈の調整については下記の参考記事をご覧下さい。また、手首まわりのブカブカは、自分でボタンの位置をずらす事で解消出来ます。
参考記事:シャツの袖が長いときの3つの対策を考える
まずは身近な所から5つに絞って考えてみました。
本当は他にも沢山(ロングホーズの事、時計の事、ベルトの事、カバンの事、靴の種類、等々)新入社員向けに書きたい事はあるのですが、まずは頻出するNGポイントから、上記5点に絞りました。追加はおいおいと言う事で……。