前回はジャケットについて考えましたが、今回は革靴をとりあげます。
ビジネスマンの服装において、革靴は清潔感の維持やコーディネートの〆として、かなり重要なアイテムです。これは、オフィスカジュアルやクールビズでも変わりません。
一方で、しばしば靴がぞんざいに扱われ、みすぼらしくなっているのを目にします。
そこで、こんな風に扱ったら美しいまま保てるのに……というシーンについてみなさんと一緒に考えてみます。
1.靴ひもを結んだまま脱ぎ履き
みなさんは靴を脱ぐとき、靴ひもを結んだまま脱いでいませんか?
もしこれをやっている場合は、直ちにやめるか、紐靴では無い別タイプの靴(後述)を検討すべきです。
靴を傷める
靴ひもは、靴を足に固定するためにあります。
そして、一般的に革靴は、靴ひもを結んだまま脱着することを想定して作られていません。
靴ひもを結んだまま無理矢理脱ぐのは、ポロシャツのボタンを外さずに脱ぐようなもの。履き口を中心に痛みが進行します。
靴擦れの原因にもなる
本来、適切なテンションで結ばれた紐靴は、靴ひもをほどかないと脱げません。
言い換えると、靴ひもを結んだまま脱ぎ履きしている靴は、靴ひもがきちんと結ばれていないことになります。
従って、歩くたびに靴の中で足が遊んでしまい、靴を傷めるのはもちろん、靴擦れの原因にもなりますし、自分の経験で言うと歩行時に疲労が溜まりやすくなります。
脱ぎ履きが多い場合はストラップシューズを
とはいえ、個人向け営業の方は客先訪問時に、その他の方も接待や飲み会で、日本のサラリーマンは靴の脱ぎ履きが多いのも事実。そして、そういうときに限って靴ひもを解く/結ぶ時間がないものです。
そんなときに活躍するのが、ストラップシューズです。
ストラップシューズとは
ストラップシューズとは、モンクストラップ、ダブルモンクストラップなどに代表される革靴です。
ここで重要なのは、ストラップの支持部分がエラスティック素材(伸縮素材)で出来ているものを選ぶことです。
エラスティック素材を使ったモンクストラップであれば、ストラップを外すこと無く靴を傷めずに素早く脱ぎ履き出来ます。
最低限のドレス度を保てる
なお、ローファーは脱ぎ履きが多い日本のサラリーマンや学生に愛用されてきましたが、本来はカジュアル靴に分類されます。
一方ストラップシューズであれば、紐靴には劣るものの、最低限のドレス性があると認識されているため、ビジネス面での汎用性がとても高いです。
飲み会のお供に
私の場合は、接待や飲み会が想定される日はかならずモンクストラップを履いていきます^^;
忘年会シーズンは連日になる可能性もあるため、2足あると便利でしょう(かつ、うち1足は、雨に備えてラバーソールにしておくと、汎用性がさらに高くなります)。
参考記事
2.靴をすりあわせて脱ぐ
スニーカーや学生服時代のクセが抜けないのか、飲み屋などで靴を脱ぐときに、靴をすりあわせて脱ぐ方をしばしば見かけますが、これはすぐにでもやめた方が良いです。
かかとの土踏まず側が擦れている靴を見かけますが、原因の一つがこれだからです。
靴は手で片方ずつ脱ぐ
靴は、面倒でも、片足ずつ手を使って脱ぎます。またこのとき、項番1で取り上げた紐を解くことを忘れてはいけません。
畏まった場所や、酔っているなど片足で立ちが難しい場合は、座って脱いでください。
3.靴べらを使わない
革靴を履くときに靴べらを使っていますか?
「使わない時もあるかも……」という方は、靴のかかと(履き口部分)がかなり痛んでいるはずです。一旦潰れたかかとは、元に戻りません。
革靴を履くときには、靴べらを使う。これを徹底しましょう。
携帯用の靴べらを持ち歩く
しかし、例えば飲み会の終わりに店を出ようとしたら靴べらが無かったり、または別の人が店の靴べらを使っていたりで、やむを得ずつま先をトントンしたり、足を無理矢理靴にグリグリ突っ込んだ――なんて経験がある方もいるかと思います。
そんなときに便利なのが携帯用の靴べらです。
お薦めはプラスチック製の携帯靴べら
携帯用靴べらには、プラスチック製、スチール製、高い物では鼈甲(べっこう)製などもありますが、お薦めなのはプラスチック製です。
ズボンのシルエットが崩れない
理由の1つめが、軽くてズボンのシルエットが崩れないことです。
お洒落なスチール製の靴べらも良いのですが、だいたい重かったり嵩張ったりで、ポケットに忍ばせておくには不便です。
鼈甲も軽いですが、価格が高すぎるので……^^;
肝心なときに無い! が無い
300円程度で売っているため、大量に揃えられることが2つめの理由。
私の場合、よく使うズボンと鞄には入れっぱなしにしています。
参考記事
4.毎日同じ靴を履く
毎日同じスーツは着ないようにしていても、靴は連続で同じものを履いていませんか?
連日履き続けることで、靴の寿命を縮めているかもしれません。
最低中2日空ける
革には適切な水分が必要ですが、人間が一日履いた場合は必要以上の水分が与えられた状態になっています。
革靴は、常に蒸れた状態だと傷みが早くなります。
したがって、晴れの日であれば最低中2日、雨に降られた場合は3~4日空けることをお薦めします。
服に合わせて靴を選ぶ
もう一点、ファッションの観点から重要なのは、靴と服のコーディネートです。
単純に中2日から割り出すと、靴は最低3足あれば大丈夫ですが、その日のコーディネートや求められるドレス度などから、5足くらいはあった方が便利です。
5.雨に濡れた後、靴を放置する
雨に濡れて帰宅した後、靴をそのままにしていませんか?
仕事の後、雨の中帰ってきてクタクタな時、そのまま玄関に靴を放置したくなる気持ちはよく分かります。
私もその誘惑に毎回駆られますが、これをやってしまうとカビ、悪臭、革のひび割れ等、かなり面倒なことになるので放置はNGです。
観察しつつ乾燥させる
当然ですが、雨に濡れた靴は乾燥させます。そのときのポイントは以下の通り。
- 日陰の風通しの良いところで、
- 新聞紙や乾燥剤を上手に使いつつ、
- カラカラになる前に手入れする。
日陰の風通しの良いところ
靴底が革の場合は要注意です。そのまま玄関や新聞紙の上に置くと、革底は全く乾かないので、下に何か置くなどして風通しを確保します。
新聞紙や乾燥剤
頻繁に交換しないとかえって湿気がこもるため、新聞紙の利用は人によって意見が分かれるところです。
私は、靴の形を整えやすいということもあり、新聞紙を使う派です。濡れ方にもよりますが、寝る前に1回、朝起きて1回、帰宅後1回程度取り替えれば十分だと感じています。また、心配な場合は専用の靴用乾燥剤を売っているので活用します。
カラカラになる前に手入れ
一旦濡れると油分が少なくなってしまうため、完全に乾燥してガビガビになる前に、靴の手入れをすることが重要です。
私の場合は、半日~1日乾燥させたら、靴クリームを使うなどの手入れをしています。
参考記事
おわりに
今回は、靴の脱ぎ履き、ローテーション、雨の後処理といった、(私自身を含め)サラリーマンか陥りやすい革靴のNGな取り扱い方法について考えてきました。
他にも、手入れの観点、保管の観点、歩き方の観点など様々なNGがあるかと思います。
みなさんが注目している(or 注意している)NGはなんでしょうか? もしよろしければコメントをいただければと思います。