ビスポーク(オーダースーツ)

着用者が注目すべきスーツの「サイズ感」7つのポイント【サラリーマンのためのオーダースーツ講座06】

投稿日:平成27年(2015) 4月26日  (更新:平成30年10月14日)

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スーツの見た目を大きく左右する「生地」「ディテール」「サイズ」の最終章、「サイズ」について考えます。

サイズはディテール以上にスーツの見た目を左右しますが、着心地とトレードオフであったり、出来上がってみないと分からなかったりと、難しい部分でもあります。なにしろ、「フィッター」という専門の役割があるくらいですから。

そこで、今回は「細かいところや技術的な部分は専門家(テーラー)に任せる」という前提のもと、我々着用者側がテーラー側に伝えるべき、思い通りのサイズ/フォルムにするためのポイントを考えてみたいと思います。

 

『サラリーマンのためのオーダースーツ講座』一覧

第1回:いま、オーダースーツとテーラーがアツい!
第2回:フル/イージー/パターンオーダーって何?
第3回:おさらい! オーダースーツ用語「生地編」前編
第4回:おさらい! オーダースーツ用語「生地編」後編
第5回:見た目を左右するオーダースーツ10の「ディテール」
第6回:着用者が注目すべき「サイズ感」7つのポイント【今回】
第7回:手縫いと機械縫いの違いとメリデメを考える
第8回:スーツのオーダー、10の失敗から学ぶ)

 

 



1.(上着)「着丈」はイメージに合っているか

オーダースーツならではのサイズ合わせのポイントとして、着丈があります。(着丈とは、襟ぐり<襟廻りの裾、ネックライン>から裾までの長さのこと)

流行で着丈は変わるのですが、執筆時点/20代~30代を考えたときは、お尻が半分隠れる位が適切とされているようです。

テーラー側もこの点を考慮してサイジングをするはずですが、自分がそのスーツ/ジャケットをどの様な用途で使うのかにより、サイズを少し変えることをお薦めします。たとえばスポーティな用途だったら若干短く、保守的なスーツにしたいのであれば若干長く、と言った具合です。

吊しの服(既製服)であっても、着丈を詰めたり出したり出来なくは無いのですが、ポケットやボタンの位置は変更できないため、着丈を変えるとバランスがずれてしまうと言う問題があります。そのため、一緒に位置をずらすことの出来るオーダースーツならではのサイズ変更ポイントと言えます。

 

 



2.(上着)「胴回りのゆとり」は適正か

胴回りも、着用者の好みによってサイズが変わる部分です。ゆとりを多く持たせれば、それだけ息苦しくなくなりますが、若年層の場合はだらしなく見えてしまうポイントでもあります。

拳1個分とか、胸ポケットに手を入れたときに苦しくない程度のゆとりとか言われますが、基準が曖昧なので、若年層であれば見た目優先で決めても良いと思います。たとえば、ボタンを閉じたときにX字に皺が寄らない程度まで絞ると、腰のくびれが強調されて格好良くなります。

ある程度絞ると、座ったときに窮屈に感じるかも知れませんが、スーツのマナー上は着席時はボタンを外しても構わない(文献によっては外した方が良いとの記載もあり)ので、問題ありません。

 

 

3.(上着)「袖丈」はイメージどおりか

これは私個人の意見なのですが、着丈同様、上着の袖丈もジャケットのイメージに合わせて変えるべきだと考えています。(袖丈とは、袖<そで>の付け根から袖口までの長さ)

スポーティな替え上着であればビジネス用のスーツより若干短めにすることで、軽快な印象に変わります。その際、シャツの袖丈にも注意。いつもの長さのシャツを着ていると、袖口からシャツが出過ぎてしまいます。(1~1.5センチ覗く程度が目安と言われています)

逆に、ジャケットが得意なテーラーでスーツを仕立てるときには注意しましょう。袖丈が短くなって、スーツに威厳が出なくなります(経験済み)。

この様に、仕立てるスーツやジャケットのイメージをテーラーに伝え、相談しながらバランスが悪くならない程度にサイズを変更すると、効果的に印象を変えることが出来ます。

 

 



4.(上着)「ラペル」が運動後に浮いていないか

ラペル(下襟)が胸から浮いている方をよく見かけます。スーツを着た直後は問題ないが、少し時間が経つとなんだか浮いている……そんな経験をした方がいるかも知れません。学生時代にスポーツをやっていて、胸板が厚いという人に多いと思います。

この運動後に上着のフィッティングがずれるという問題は、テーラーによると、特にラペルの胸からの浮きや、カラー(上襟)のシャツからの離れに起きやすいそうです。

スーツやジャケットをビスポークした経験のある方は分かると思いますが、採寸やフィッティングの際、私たちは殆ど立ったまま行います。当然ですが、歩いたり走ったりはしないわけです。一部のテーラーでは体を動かして様子見ることがありますが、少数でしょう。

仮縫いの無いイージーオーダーやパターンオーダーの場合は「次回作る際に」という対応になってしまうかも知れませんが、フィッティング時に実際に体を動かしてみて、スーツに問題が出ないか確かめてみると良いと思います。

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なお、胸の浮きを解消する方法としては襟ぐりを小さくするほかに、あごダーツがあります(あごグセ、ゴージダーツ)。写真中央の縦に走る線があごダーツで、ちょうどラペルの裏側にあります。これで胸の形状が立体的になり、ある程度浮きをとることが出来ます。

 

 

5.(ズボン)「幅」はイメージどおりか

スーツ用ズボンの適正な幅(裾幅やわたり幅)と、ジャケパン用ズボンの適正な幅は異なることが多いです。いつもスーツをオーダーしているテーラーに、たまにジャケパン作って貰うと、スーツ用の幅で仕上がってきて「あちゃー」となることがあります。

これも好みや流行の問題でもあるのですが、テーラー側に「ジャケパン用なので少しタイトに」などと伝えると良いと思います。

一方でその逆もしかりで、ジャケパンを作っていたテーラーでスーツ、それも三つ揃いなどを作ると、実寸以上にピチピチに見えてしまいます。不思議ですよね……。

タックの有無で機械的にゆとり幅を増減出来るので、好みにうるさくなければ、スーツ用→1or2タック、ジャケット用→ノータックなどとすることで、ある程度の「作り分け」をすることが出来ます。(出来ればテーラーに用途とゆとりの希望を伝えた方が良いですが)

 

 



6.(ズボン)「股下」が運動後にだぶつかないか

フィッティング時や履いた直後は想定通りに裾口のクッションが出来ていたのに、平日いざ会社に出るとハーフクッションがシングルはたまたダブルクッションになっている……なんてことがあります。

これは、(サイズの問題と言う事も有るのですが)ウェスト位置の指定誤りによることが多いです。「普段どの位置でベルトをしめていますか」などと聞かれ、そのまま採寸するテーラーが多いのですが、このとき張り切ってズボンを上まであげてしまうとこの悲劇が起きます。

今履いているズボンに同様の現象がある場合は、次回ズボンを作る際テーラーに、腰骨でズボンを支えられるラインをズボンの位置にしたい、と伝えてみて下さい。なお、ハイウエストをご希望の場合は、ズボン吊り(ブレイシーズ/サスペンダー)を使うと、快適に過ごせます。

 

 

7.(ズボン)座ったときに膝が突っ張らないか

椅子に座ったとき、ズボンが膝で突っ張るような感覚は無いでしょうか。直ちに見た目に影響することは無いのですが、この状態が続くと、ズボンのクリースが消えたり、酷い場合には立っているときに、膝が当たっていた部分が盛り上がってしまう事があります。

ズボンのフィッティングをするときに、座らせないテーラーもおり、座らせても見た目を気にするだけで、本人に「突っ張りますか」と聞かない場合も多いです。そこで、フィッティングの際には必ず椅子に腰掛け、異常がある場合にはテーラーに申告するようにします。

但し、多少の突っ張りであれば、我慢した方が綺麗なシルエットになるのが難しい所です。この場合、座るときには太ももの上辺りを摘まみ、裾をすこし上げることで突っ張りが解消されます。(「尻に食い込む」のを少し我慢すると、「臀部の綺麗なシルエット」を実現できる事に似ていますね^^;)

 

 


単に「サイズは合っているか」「変なシワが無いか」を見ることも大切です。しかし、それらはテーラーが見つけることの出来る(見つけるべき)項目です。私たちは、私たちに出来ることとして、自分がイメージした服に少しでも近づけるためのサイズ感をテーラーに伝えるべきだと考えています。

もちろん、テーラーの見立てによっては別の観点が、または縫製の種類によっては出来ること/出来ない事があると思いますが、テーラーとコミュニケーションする上でのツールとして、役に立てば幸いです。

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