スーツや靴を手軽に長持ちさせる方法を知っていますか?
代表的な方法は手入れですが、もっとも効果的な手入れ方法の一つとして「休ませる」ことが挙げられます。今回はスーツスタイルにローテーションを取り入れ、手持ちのスーツや靴を長持ちさせる方法をご紹介します。
【前提】長く使う≠ボロボロになるまで使う
「長持ち」と聞くと、ぼろぼろになるまで大事に使っているイメージがあります。質素倹約さをアピールするならまだしも、ピシッとしたスーツスタイルで、他人に好印象を与えようとしたいならば、本末転倒なことです。止めましょう。
今回のエントリーは、「靴を格好良く、かつ、長く使う」ことを目的とします。
スーツや靴を痛める原因は「水分=汗」
スーツ生地の代表的材料である羊毛(ウール)や靴の革などは、汗などの水分を吸い込むことによって傷みやすくなります。
漫画雑誌を想像して下さい。乾燥した状態では、容易に手で引きちぎる事は出来ませんが、水に浸した状態であれば、簡単に出来ます。
人間は昼夜を問わず、想像以上に発汗しています。一日履き続けた革靴には、コップ一杯分の汗が吸収されるといわれますが、それくらい汗をかきます。
ポリエステル等の化学繊維よりも革やウールなどの天然繊維の方が、着ていて快適なのは、多くの水分を吸収することが出来るからです。一方で、多くの汗を吸収した天然繊維は、非常にもろい状態にあります。
余分な水分を逃がす!
では、どの様にして吸い込んだ水分を追い出せばよいのでしょうか。今回はスーツと靴に限って、簡単にその方法をご紹介します。
スーツの場合
帰宅後、何はともあれハンガーに掛けます。針金ではなく、厚みがあり型崩れしにくいものを使用して下さい。また、吸湿の点から、木材で作られた物を使用し、風通しの良い場所で陰干しすると良いでしょう。
トラウザーズ(パンツ)についても、トラウザーズ用のハンガーがありますので、これを利用し直ぐに掛けて下さい。
▲ 写真は長塩産業の木製オリジナルハンガー
H25.6.1追記:ハンガーのレビュー記事を掲載しましたので、参考にして下さい「お得感満載、ナカタハンガー 5本組木製ハンガー レビュー」
▲ 人間の肩と同じように湾曲し厚みがあること、首の部分にも厚みがあることが良いスーツ用ハンガーの条件
▲ ボトムハンガー ベルトーループが痛むので、ベルトは必ず外してから掛ける。
「直ぐに」の理由は簡単で、型崩れしやすいからです。 水分を吸収した天然繊維は傷みやすいと言いましたが、これは変形しやすいという意味でもあります。 また、変形した状態で乾燥させると、その形から元に戻らなくなります。(髪の毛を考えると想像しやすいと思います)
従って、最適な状態(≒ハンガーに掛けた状態 ※)で乾燥させる必要があります。 また、スーツには芯材があり、そこまで乾燥させるのには2~3日必要です(次回の着用までには2~3日あける必要があります)。
※ ハンガーと人間では、胸板の厚さが絶対的に異なるため、肩の厚いハンガーも実は「最適」ではありません。本来はトルソーが良いのですが現実的で無いため、次善の策として厚手のハンガーを推奨しています。
特に、最初の1日は沢山蒸発するため、クローゼットにはしまわず、風通しの良いところに置いておくことをオススメします。
靴の場合
靴はハンガーではなく、シューツリーを使用します。これにより、正しい形を保ったまま湿気を抜くことが出来ます。
また、購入時についてきた靴箱に収納するのではなく、風通しが良い場所に置くことも、スーツと同様です。 シューツリーについては、解説したエントリがありますのでこちらをご覧頂くと良いと思います。
靴についても、余分な水分は型崩れや摩耗の原因です。 靴を脱いだら、木製のシューツリーを直ぐに入れる習慣を付けると良いでしょう。 (一晩はツリーを入れない方が乾燥させやすいという考え方もありますが、差は僅かで、入れ忘れるリスクの方が危険です。)
また、完全に元の湿度に戻るまで2~3日必要です。同じ靴を毎日履くのは厳禁で、2~3日あけるようにして下さい。
まとめ
スーツや靴を長持ちさせるためには、適度に乾燥させる必要があります。そのためには、連続して着用してはダメなことが分かります。
ローテーションで着用することで、スーツや靴が水分に長時間さらされず、傷みづらくなるほか、ローテーションを意識しなかったために発生する、お気に入りのスーツや靴に負担が偏り、ボロボロになってしまうといった事態も避けることが出来ます。
今回の内容を纏めると以下の通りです。
「スーツや靴などを構成する天然繊維は、水を含むことで傷みやすくなる」
スーツ
- 脱いだら直ぐに、木製の形の良いハンガーへ掛ける
- 連続して着用せず、中2~3日あけるなどローテーションを組む
靴
- 脱いだら直ぐに、シューツリーを入れる
- 連続して履かず、中2~3日あけるなどローテーションを組む
たったこれだけのことで、ずいぶんと長持ちをします。
その他のコツ
手入れ(定期的なお手入れ以外にも……)
帰宅後、ハンガーに掛けたスーツは必ずブラッシングして下さい。 また、シューツリーを入れた靴も、必ず靴専用ブラシでブラッシングして下さい。 更に寿命が延びます。
乾燥させすぎに注意
革は適度な水分がないと、かえってもろくなってしまいます。 乾燥した唇が割れやすいのと同じです。 除湿器で強制的に乾燥させたり、ケアを怠ったりしないようにしましょう。
あえて水をかける(方法に気をつけて下さい)
スーツのしわを伸ばす時には、あえて霧吹きで水を掛けることがあります。 寝癖を直すのと、同じ仕組みです。靴についても、サドルソープという革用石けんで洗うこともあります。 これらは、他のエントリーにて、いずれご紹介したいと思います。
# 例外として、麻に関しては、水を吸い込むと逆に強くなる性質があります。
# これについてもいずれご紹介したいと思います……