みなさんはスーツのオーダー(ビスポーク)をしていますか?
このサイトをご覧の方は、オーダースーツ利用者が多いようですが(2年前にアンケートをした際、7割の方がオーダースーツ利用者でした)、会社の同僚や、友人と話をしていると、「やってみたい」が「敷居が高い」「高そう」といった、一歩踏み出せない場合が多いようです。
書店のファッション雑誌をとってみても、広告主との力関係なのか、既製のブランド服ばかりで、オーダースーツに関する記述が少なく、情報源に乏しいのも踏み出せない原因の一つなのでしょう。
そこで、「サラリーマンのためのオーダースーツ講座」として、複数回に亘って記事を書いていこうと思います。店側やファッション業界からの視点では無く、あくまで非業界人の、一人のサラリーマンから見た、オーダースーツの楽しさやコツなどを、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
今回は本題に入る前の、「オーダースーツ? それって美味しいの?」という方向けに、少し前置きの話を……。
『サラリーマンのためのオーダースーツ講座』一覧
第1回:いま、オーダースーツとテーラーがアツい!【今回】
第2回:フル/イージー/パターンオーダーって何?
第3回:おさらい! オーダースーツ用語「生地編」前編
第4回:おさらい! オーダースーツ用語「生地編」後編
第5回:見た目を左右するオーダースーツ10の「ディテール」
第6回:着用者が注目すべき「サイズ感」7つのポイント
第7回:手縫いと機械縫いの違いとメリデメを考える
第8回:スーツのオーダー、10の失敗から学ぶ)
1.オーダースーツ業界復活の兆し?
オーダースーツというと、なんだか敷居が高い、値段も高い、おじさん臭いなどなど、若い世代にはあまり良いイメージが無い存在でした。また、スーツ業界は、スーツ量販店、ツープライスショップの増加と、低価格化が進んでいたはずでした。しかし、最近は徐々に違ってきているようです。
イージーオーダー専門店、ビッグヴィジョンは4~11月の売り上げが前年を上回った。3月の消費増税による駆け込み需要の反動から4~6月は水面下だったが、8~10月が堅調だった。11、12月は売り上げが前年並みだが利益は増加傾向にある。
販売着数は減少したものの、客単価は上昇したため、売り上げの底上げになった。スーツの平均単価は約4万5000円と前年に比べ5000円ほど高まった。数量的には2万円台がボリュームだが、5万~6万円台の購入客も増加している。「お客様は絶対的な安さよりもコストパフォーマンスの高い商品を求めるようになってきた」(吉村雅隆社長)とみている。
メルボメンズウェアーが運営する「麻布テーラー」は今年の消費増税後を含めて3~8月は12%増と伸び、9月も好調だった。リピーターと共に新規顧客も増えており、客単価も上がった。10月には首都圏で雑誌風の冊子100万部を配布した。今期(15年2月期)は28店で、売上高50億円(11%増)となる見込み。
ここ数年、紳士服業界全体が縮小傾向にあるなか、オーダースーツ専門店は健闘しているようです。また、単なる安売りではなく、単価の高いこだわりを持ったスーツを作る人が増えているようです。
客層も変わってきているようです。実際にいくつかの店で話を聞いてみると、これまで40代、50代が中心であったところ、こだわりのある20代、30代の若年層利用者が増えているということでした。店側も意図的にそういった新しい層への働きかけを強めているとも感じます。
オーダースーツ業界が、少しずつですが変わりつつあるようですね。
好みの細分化や個性の尊重など、いまの若年世代と、自分で生地やディテールを選べるオーダースーツとは相性が良いのかも知れません。また、オフィスのカジュアル化が進んだのもこの世代で、カジュアル化が逆に、スーツが制服ではなくファッションになったのも大きいと思います。
そんなオーダースーツですが、具体的に何が良いのかを次に考えたいと思います。
2.オーダースーツはジャストサイズと自分の好みを両立できる
セレクトショップや百貨店で自分好みのスーツを見つけても、いざ袖を通すと自分の体型に合わないことが多々あります。既製のスーツは「標準体型」を元に作られていますが、標準体型に近い人は多く居ても、標準体型そのものの人は少ないわけでして……。
また、自分の体型に近いスーツがあったとしても、生地が、デザインが、裏地が、縫製が、コレジャナイと思ってしまうことも多々あるわけです。さらに、ぺらぺらの、皆と同じようなスーツを着続けるというのも、就職活動の時ならまだしも、20代後半になってくると考えるようになるものです。
そこでオーダー(ビスポーク)なら、自分好みの生地をつかい、自分の選んだデザイン/ディテールで、自分のサイズにあった、オリジナルのスーツが作れるわけです。(当然、良いサイズと良い縫製を実現するためには、良い店を選ぶ必要はありますが……)
さらに、パターンオーダーやイージーオーダーなら、既製服と殆ど変わらない値段で作ることが出来るのも、オーダースーツの魅力でしょう。
3.テーラーはファッションコーディネーター
オーダースーツを作ってくれるテーラーですが、テーラーはスーツだけを作っているわけではありません。
たとえば休日用のジャケパン、冬のコート、単品使い出来るベストなどもテーラーで作ることが出来ます。ジャケットだけに絞っても、ウール、カシミア、麻、綿、シルク等々、様々な素材で、様々な見た目と用途を持った服を作ることが出来ます。
さらに、店によってはシャツ、ネクタイ、帽子、靴、革小物なども扱っており、男性ファッションのかなりの部分を揃えられます。しかも、その殆どがデザイン、サイズ、素材、装飾などを好き放題に決められるわけです。
オーダースーツだけで無く、多くの「きれいめ男性ファッション」を、適正サイズ/自分好み/適正価格で揃えられるテーラー。こんなテーラーを、活用しない手は無いと思いませんか?
それでは、次回以降、具体的にオーダースーツについて皆さんと一緒に考えていきたいと思います。