ビスポーク(オーダースーツ)

イージーオーダーでスーツを作る時のコツ その1:目的を決める

投稿日:平成24年(2012) 7月15日  更新日:平成27年(2015) 10月12日 

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イージーオーダーでスーツを作ったことがありますか?
「ある」という方は既にご存じだと思いますが、
オーダーという名前は仰々しくも、とても安価にカスタムスーツが作れるのです。

そんなイージーオーダーについて、複数回に亘り考えてみようと思います。
今回は、イージーオーダーをする上でまずは決めて置いた方が良いことを取り上げます。
なお、イージーオーダーって何? と言う方は、こちらの記事か、本文冒頭の解説を御覧下さい。

(参照:パターンオーダー、イージーオーダー、フルオーダーの違い

 


【解説】イージーオーダーとは:従来のオーダー(フルオーダー)とちがい、予め用意されているスーツの「型」に対し、コンピュータ等を用いて着用者本人の体型に合わせた補正を掛けて作るオーダー(ビスポーク)のこと。

【解説】イージーオーダーの流れ:概ね、
1.生地を選ぶ → 2.スーツの型を選ぶ → 3.採寸 → 4.ディテール選択(ボタンや裏地など)
の順で進行する。


 

これはイージーオーダー(EO)に限らないのですが、
経験上、目的もなしに店を訪れて作った服にろくな服はありません。

勿論、店に行き、良い生地が無いか訊ね、その生地からできあがりを想像した上でオーダー(ビスポーク)する、などという事も無いことは無いですが、ビスポーク初心者がこれをやるとほとんど失敗します。

そこで、目的を定めることが非常に重要になります。

 

■ スーツの着用シーンを考える

その服の着用シーンを考えることで、スーツ作成(ビスポーク)の目的を明確化します。
といっても、そんなに難しいことでは無く、次の3つを書き出してみてください。

    1. 着用時期(季節)
    2. 着用場所
    3. 予算

書き出せましたか?
それでは、一つずつ見ていきましょう。

 

■ 着用時期(季節)を決める

スーツには大きく分けて夏用と冬用の、2種類の生地があります。(春秋用の生地はここでは除きます)
ですから、どの時期に着るスーツなのかを決めることで、生地の種類を絞ることが出来ます。
また、裏地の張り方などのディテールも、おおかたこれで決められます。

手持ちのスーツを見てみましょう。夏用のスーツが多いですか? 冬用のスーツが多いですか?
各シーズン、最低3着ずつは欲しいところです。
ワードローブを見て、一番必要としているシーズン用を選ぶと良いと思います。

また、最近では春秋冬兼用の3シーズン、盛夏以外着用できる4シーズン用の生地なども有ります。
迷ったら、これら汎用性の高い生地を狙うのもアリだと思います。

 

■ 着用場所を決める

そのスーツはどこに着てゆくものですか?
平日の会社用? 週末も着たいですか? はたまた葬式用ですか?
着用場所を決めることで、スーツの目的はさらに明確になっていきます。

たとえば、「会社にも着ていきたいけど週末も着たい」なんて欲張りな目標がある場合。
紺無地の生地を使い、ボタンを少し明るめの茶にし、短丈(着丈を短く)すれば、
平日はスーツとして、休日は紺のジャケット(替え上着)として着ることが出来ます。

ただ、あまり多くの場所を設定しすぎると、それぞれが中途半端になってしまうので注意。

 

■ 予算を決める

どのくらいまで出せるのかを事前に決め、店員に伝えることが重要です。
店員に勧められるがまま、生地を選び、オプションをつけると、いつのまにか高額に……。そして、恥ずかしくてオプションをやめたり生地を変更したり出来なかった、なんてことになりかねません。

よく言われる目安として、「年収の3%」なんていうものがあります。
つまり、年収300万円の人は300×0.03=9万円が予算、と言った具合です。

スーツを消耗品と考え※たとき、これは非常に理にかなったものだと思います。
夏3着、冬3着、1着の寿命が5年と考えたとき、年に1.2着作り替える必要があるからです。
年収300万円は手取りで200万円強。年間10.8万円が、せいぜい上限の基準でしょうか。

スーツにお金を掛けられる人はこの数値を3%以上に、
靴にもっとお金を掛けたい、という私みたいな方は2%位に落とすと良いでしょう。
こういう、服飾の予算ポートフォリオを考えるのも、面白いですよね。

※:スーツは消耗品か
消耗品として扱いたくは無いのですが、次の2点から消耗品と言えます。
1.靴は経年で味が増しますが、服は買ったときが一番見栄えが良く、5年も経てばみすぼらしくなります。
2.たとえ綺麗な状態であっても、ラペル幅や肩幅など流行が変化し、着られなくなってしまいます。
複数着回し手入れを怠らず、流行に左右されぬよう保守的に作ったとしても、せいぜい5年が限界です。
但し、休日用のジャケットはスーツほど流行が無く、着用機会も少ないため、この限りではありません。

 

■ 目的に合ったスーツを作る

じつは、上記3点に、そこまで具体的なイメージが無くても構いません。(今更ですが^^;)
というのも、店員に決めて貰っても良いからです。
最低限、着用時期/場所/予算という「軸」が決まっていれば、大きくぶれることがないのです。

店員に会ったらこのように言いましょう。
「冬用のスーツで会社用、予算は6万円程度で私に合う生地をいくつか見せて貰えますか?」と。

中級者の方は、自分の中に、ある程度スーツのイメージが出来ていると思いますから、
「紺色で」とか「ストライプで」とか付け加えれば、さらに良いと思います。
初心者のかたは、「ワードローブにはグレーの無地が多い」とかでも十分です。

自分がビスポークの初心者である場合は、「こういう生地が良い」というより、
「こういう目的のスーツが欲しい」という、店側が提案しやすい言い方がベストです。
そして、まずは店の薦めに従って作り、2着目から1着目の改善をしてゆけば良いでしょう。
(但し、予算を伝えることを忘れずに。店員のノルマ稼ぎに使われてはかないませんから……。)

 

■ まとめ

  • イージーオーダー(EO)を失敗しないためには、目的の明確化が重要
  • 着用時期、場所を想定することで、本当に必要な服を作ることが出来る
  • 初心者のうちは、上記想定を店員に伝えた上で、生地候補選びやディテールを店員に任せる
  • 年収の3%を目安に、予算上限を設ける(これで、店員の好き勝手を防止できる)
  • 1着目は目的だけ明確にした上で詳細は店に任せ、2着目から改善を加えるようにすると上手くいく

 

ビスポークスーツとはbe spoken――店員との話を通じて作り上げるスーツです。
これはEOでも同じ事で「この生地が良いなぁ、このディテールが良いなぁ」ではなく、
客側はどっしりかまえて「これこれこういう目的のを仕立てて欲しい」くらいの態度で十分です。

あとは、随所随所で店員が好みを聞いてくれるハズ……。
ですから、あとは店員の腕とセンスになってきます。
ということで、次回は「店選び」を考えてみたいと思います。

作るスーツの目的を明確にした上で、その目的に沿ったスーツを作り上げてくれるテーラーの探し方、
チェーン店のメリットデメリットなどをご紹介できればと思います。

 

こちらに移ってからめっきりコメントが減ってしまいましたが(FC2時代は結構あったのですが)、
取り上げて欲しいポイントなどあれば、コメントして戴ければ幸いです。
(匿名希望の方はFacebookコメントでは無く、一番下のコメント欄をご利用ください)

それでは。

 

追記:
このサイトは大学生向けでもあります。年収の○%だとあいませんよね^^; 失礼しました。
大学生は、着用回数も毎日ではありませんし、着数も少ないので「恋人への、誕生日プレゼント金額の倍額程度まで」 としておきましょうか。 俗っぽいのが嫌な方は、「アルバイト1ヶ月分」でどうでしょう。

要は「継続して、古くなったスーツを更新できる、身の丈に合った金額」ということです。

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