レビュー

ラミー×リネン混の麻シャツを楽しむ

投稿日:令和元年(2019) 6月30日

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涼しく、美しく、そして夏らしい麻のシャツは、梅雨時~夏に大活躍します。この記事をご覧の皆様にも、愛用している方が多いのではないでしょうか。

しかし、麻のシャツ素材の多くがリネン(Linen)を使う中、ラミー(Ramie)素材のシャツを仕立てることができましたので、この機会にラミーの特徴やメリットなども交えてご紹介します。

また、併せてFirst Experienceの新しいボタンダウン襟型「NEWボタンダウン」についてもレビューしたいと思います。

 



0.はじめに

リネンだ、ラミーだという以前の話――麻で作られたシャツの特徴やメリットについては、過去に以下の記事を書いています。

本記事は麻シャツが好きな人(麻シャツの良さを知っている人)向けに書かれているところが多いため、「綿と麻で、シャツにどんな違いがあるの?」という方は、まずはこちらをご覧下さい。

 



1.麻=リネンじゃない?

実は、「麻」という素材名は極めて面倒な名称です。

麻といえばリネン

まず、日本工業規格(JIS)や、政府のガイドライン(製品別品質表示の手引き|消費者庁)上は、リネン(亜麻;あま)とラミー(苧麻;ちょま)の2つのみが「麻」と表記できることになっています。

しかし実際のところ、流通している洋装用の麻はほとんどがリネンで、ラミーを見かけることはあまりありません。

従って、麻とリネンは必ずしもイコールではないのですが、流通量の関係でシャツにおいて麻といえば(ほとんど)リネンを指すことが一般的になっています。

ラミーはどこでつかわれる?

では、なぜ洋装で使われないラミーも麻と表記できるのでしょうか。

これは私の想像ですが、(重要無形文化財にも指定されている越後上布(えちごじょうふ)を含む)いわゆる○○上布と呼ばれる着物の原料として、このラミーが使われているからでしょう。

つまり、洋装の麻としてのリネン和装の麻としてのラミーというわけです。

ラミーのシャツ生地?

そんな和装で使われ、シャツ生地として余り出回らないラミーを使ったシャツが、実はとても素晴らしい……というのが、今回の本題です。

(参考)狭義には「大麻」、広義には「有用繊維の総称」

※マニアックな話なので、興味のある方のみご覧下さい……

なお、「麻」の定義をさらにややこしくしているのが、以下の点です。

  • 国語辞典的には、麻とは狭義には大麻(ヘンプ)を指す
  • そして、広義には有用繊維の総称を指す

つまり、(品質表示ではなく)国語的に「麻」と言った場合には、アサ科(旧来はクワ科に分類)の大麻を指していて、リネン(アマ科)もラミー(イラクサ科)も関係ないのです。

さらに、黄麻(シナノキ科)やマニラ麻(バショウ科)なども広義では麻に分類されますが、括弧内に書いた生物分類の通り、どれも全く別の植物です。

「和装のラミー(苧麻)」と書きましたが、大麻が神道の装束や道具に使わているように、わが国における麻は、古くは大麻が主流だったようです。その後、苧麻を含む様々な麻が使われるようになったものの、戦後にGHQの指示で大麻の栽培が出来なくなったため、JIS上で麻と言えばリネンとラミーになったのだと思われます。(戦前の価格統制規則を見ると「苧麻、大麻等統制規則」とあり、流通量としてはラミー、ヘンプ、リネンの順で多かったのでしょう。)

 

2.リネンとラミー、シャツ生地の違い

それでは、具体的にリネンとラミーのシャツ生地には、どんな違いがあるのかを見ていきます。

光沢感

一番の特徴は光沢感でしょう。

一般的なリネンは、かなりネップ(繊維の節)があるため、表面にかなりボコボコとした素材感が出ます。一方でラミーは繊維が長いこともあり、かなりの光沢感が出ます。(高番手のラミー生地は、まるでシルクのような光沢を感じられます。)

メーカーや製品にもよりますが、マットなリネンの方が比較的カジュアルに見えやすく、グロスなラミーの方がドレスに見えると思います。

ハリ・コシ

着用時に感じるのが、ラミーのコシの強さです。

ここは好き嫌いが分かれるかも知れませんが、個人的には通気性が高くなるため、コシのあるラミーは大好きです。

 

ラミーとリネン、どちらが良いというわけではなく、用途に合わせた使い分けたいですよね。

また、今回レビューするシャツのように、ラミーとリネンを混紡させることで、いつもの麻のシャツにラミーの個性を出すことも出来ます。

 



3.購入の経緯

ラミーを使ったシャツが忘れられなくて……

実は、今から10年ほど前、行きつけのテーラーで一度だけラミーとリネンの混紡生地が入荷していて、シャツを仕立てたことがありました。

そのシャツは、ハリと艶が他の麻シャツに比べて良く、かなりヘビーローテーションしました。

しかし、それからあまりラミーを使ったシャツ生地を見かけることは無かったのですが、先日First Experienceでラミーの生地が入荷したという情報をメールマガジンで見つけ、衝動的に購入してしまいました。

 

4.今回選んだ生地

混紡を選ぶか、ラミー100%を選ぶか

今回は生地に3つの選択肢がありました(何れも麻としては100%)。

  1. ラミーとリネンの混紡生地(1:1)
  2. ラミー100%の生地
  3. ラミー100%の高番手生地

「ここで注文しなければまた出会えなくなるのでは無いか」と散々悩んだのですが、問い合わせたところ「夏限定で仕入れるものの、今後定番生地として扱う予定」とのこと。

無難に1のリネンとの混紡生地を選ぶことにしました。

※ なお、特別にそれぞれの残布をいただきましたので、項番6で比較してみたいと思います。

 



5.フォトレビュー

開封

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純白のシャツです。

衿が少し小さく見えるのは、「NEWボタンダウン」という新しい襟型を選んでみたからです。(最後にレビューします。)

 

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涼しげな白蝶貝のボタンを選びました。

定価が約1万6千円のところ、セールで1万3千円、この白蝶貝とネーム刺繍のオプションを含め税込14,623円でした。

国産の生地でこの値段は、First Experienceにしては高い方ですが、そもそも海外製のラミー生地は(たぶん)無いでしょうから、止むなしです。

外観

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トルソーに着せてみます。

 

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リネンとの混紡ではありますが、ラミー独特のハリと光沢の強さが出ていて美しいです。

コーディネート

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綿麻混紡のジャケットを着せてみます。

 

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ポケットチーフはあった方がよいかもしれませんね。

 

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白なので、いろんなジャケットと合わせやすいです。

見た目について

ラミー生地独特の光沢については、(私の腕が悪いせいもありますが)写真ではあまり伝わりづらいところがあります。

綿の高番手生地のようなギラギラとした光沢はないのですが、上品な艶がとても美しいです。

ラミー独特の質感によって、麻100%なのにカジュアル感が強くなく、ビジネス用途としても使える生地だと思いました。

 

6.リネン混、ラミー100%、高番手ラミー100%の比較

今回はラミーを使った3つ生地から選びました。先述の通り、端切れを貰ったので、それぞれ比較してみます。

透け感

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一番の違いは、透け感でした。

左から、リネン混、ラミー100%、高番手ラミー100%です。順に透けていっているのがわかります。

高番手ラミーのもう少し大きな端切れを手や腕に掛けてみましたが、かなりスケスケでした。高番手ラミーの肌触りはとてもよいものの、正直ビジネス用途には向かないと思います。

ネップ感/光沢感

光沢感は高番手ラミーが一番高く、次いでラミー100%、リネン混の順でした。

とはいえ、ただ光沢があれば良いというわけでもありません。今回選んだリネン混は、所々にリネンのネップが混ざり、カジュアル過ぎない範囲で「麻らしさ」も表現出来ていました。

オフィスカジュアル用途としても考えていたため、正直これは正解でした。

一方で、たとえば慶事用には、ラミー100%がとても映えると思います(次回セールがあったら多分買います)。

 

7.着心地レビュー

実際に、蒸し暑い日に1日着てみての感想を。

風通しがかなり良い

一番に思ったのが、風通しが良く、とてもヒンヤリ感じる事です。

一般的なリネンやリネン綿混のシャツも十分風通しが良いですが、それ以上でした。

シャリ感が気持ちよい

これは好みが分かれるかも知れませんが、一般的なリネンのシャツに比べてシャリ感が強く出ていました

汗でベトつくこの時期、個人的にはかなり心地よく感じます。

季節感があり、楽しい

これは麻シャツ共通の事項かも知れませんが、季節感があってよいですね。

ジャケットを羽織っていても、とても涼しげに見えます。

そして、シャツの一般的素材である綿ではなく、麻、それも珍しいラミー生地を纏っているというだけで、なんだか気分が高揚します。

 

8.おわりに

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麻100%はカジュアルに見えるから……と今まで経遠していた方も、ラミーによる麻100%であれば、ビジネス用途として上手く活用出来そうです。

一方で、価格が一般的なリネンのシャツに比べて高い(インポート物のリネンシャツ並の値段な)こと、そしてなにより入手が困難という問題もあります。

入手性の問題は、今回First Experienceが定番生地として販売をしていくという点が、大きな改善の一歩になると思いました。

一方で価格の問題は、他の店舗でも取り扱われるようになり、流通量や価格競争が進まないと解決しないのかも知れませんね……。

(それでも、その価格に見合ったメリットがあると、個人的には思います。)

 

(おまけ)NEWボタンダウンレビュー

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おまけで、今回選んだ新しいFirst Experienceの襟型「NEWボタンダウン」について、簡単に見ておきます。

これまでの課題は、高すぎる衿

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上が従来のボタンダウン(襟腰4.5/剣先9.2)、下がNEWボタンダウン(襟腰4.1cm/剣先7.6cm)です。

従来のボタンダウンは、襟腰も高いのですが、剣先が9センチ以上あり、かなり大げさな感じでジャケットから飛び出していました。

重さに耐えられない?

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また、衿が高い弊害として、軟らかい素材を使うとボタン側の生地が引っ張られてしまい、衿が潰れてしまっていました。

 

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一方で、NEWボタンダウンはその問題が解消されていました。

ただし、もう少し剣先が長くても良い気がしますね……。(8センチちょっとくらいが適当かも知れません。)

 

 

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