昨年11月の記事「ネクタイの本数、価格、寿命、買い方などを考える」の末尾で、およそ1ヶ月間、ネクタイに関する意識調査のアンケートを実施しました。
なんと、予想を大きく上回る318名の方にご回答戴き、うち50名近い方からコメントも戴きました。有り難う御座います……。
本日は、そのアンケート結果について、皆さんと考察していきたいと思います。
1.調査方法
初めに、アンケートの取得方法について記載します。
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- 有効回答数:318(Cookieによる多重投票排除)
- 実施期間:平成28年11月27日から30日間
- 実施場所:記事「ネクタイの本数、価格、寿命、買い方などを考える」内末尾
- 回答者年齢層:20~30代:59.8%、40~50代:39.6%、60代~:0.6%
- 回答者職種比率:会社員(内勤):49.1%、会社員(外勤):23.6%、公務員:11.9%、専門職:7.2%、自営業:3.1%、学生:3.1%、フリー:0.3%、アルバイト:0.3%、その他:1.3%
一昨年の香水に関する意識調査が回答数186でしたから、およそ1.7倍の投票があったことになります。皆さんの興味の大きさが窺えます。
2.ネクタイの所有本数は?
それでは早速、回答結果を確認していきましょう。まずはみなさんのネクタイ保有本数から。
① 総合
ネクタイの所有本数は、約40%の方が6~15本程度、次いで約30%の方が16~30本、約15%の方が31~50本となりました。
半数近くが10本前後という状況が見て取れます。
これは、完全にローテーション出来たとして2週間に1回の登場頻度です。まぁまぁの数値に見えますが、コーディネートの関係で完全なローテーションは難しく、個人的には20本くらいは欲しいと感じます。
② 年代別
続いて、年代別に集計してみました。
青色が若年層(20代~30代)、オレンジ色がミドル層(40代~50代)です。
予想通り、ミドル層は20本前後が多く、さらに50本を超える量(51~100、それ以上)を持っている方も20%以上いました(若年層では6.3%)。
③ 職種別
職種によってネクタイの所有本数は異なるのでしょうか?
最後に、職種別の保有割合を表にしてみました。
赤色が濃ければ同一職種内での割合が高く、橙色、黄色、緑色と割合が低いことを示しています。
会社員の外勤メインの方は、内勤メインの方に比べ、0~5本や6~15本などの少量保有者割合が少なく、16~30本と31~20本のレンジが多いようです。
ただ、面白いのは50本を超える、いわば大量保有者は内勤の方が圧倒的と言う事です。外勤は汚しやすい → 長持ちしにくいとかあるのでしょうか……。(と思ったのですが、後で出てくる年間購入本数も内勤メインの方が多い結果に^^;)
3.良く買うネクタイの価格帯は?
皆さんはどんな価格帯のネクタイを買っているのでしょうか……?
続いては「最も良く買うネクタイの価格帯は?」への回答結果です。なお、価格は定価ではなく、購入時の金額を前提としています。
① 総合
良く買うネクタイの価格でダントツに多いのが、5千円~1万円のレンジ。割合で60.7%でした。続いて4千円未満(20.1%)、11~20千円(16.4%)と続きます。
おおよそ全体の8割が1万円未満、97%以上が2万円未満という事が分かりました。
こうして見ると、いわゆるブランド物といわれるネクタイ(安くて1万円以上、物によっては2万円以上)の人気のなさが分かります。
② 年代別
続いて年代別の数値です。色分けは所有本数と同じく、青が若年層、橙がミドル層です。
少し比較しにくいので、全体では無く同一年代内の割合を出してみました。
当初、若年層は安価なタイが中心なのかと思ったのですが、2万円以下のネクタイであれば、若年・ミドルの世代間であまり差が無いことが分かります。
ただし、2万円を超えはミドル層がやはり多いようです(若年1.1%対ミドル6.6%)。
ミドル層が安価なものから高価な物まで幅広く購入しているのは、既婚者と未婚者で、服飾に掛けられる予算が異なるからでしょうか……。 回答項目に未婚/既婚の質問を入れ忘れたのが悔やまれます。
③ 職種別
職種別の結果です。3万円を超えるネクタイを買っていた方は専門職でお一方のみ、1万円~2万円も会社員4名、公務員1名、自営業2名という状況でした(学生でも1名いらっしゃいましたが、どんな方なのでしょうか^^;)。
こうしてみると、5千円から9千円の間が、職種問わずネクタイの売れ線だということがよく分かります。
なお、所有本数別や年間購入数量別で関連がないか見てみましたが、アンケートの採り方が選択肢だったこともあって、相関などは認められませんでした。
4.年間のネクタイ購入本数は?
続いて、年間の購入本数を調べた結果です。
① 総合
年間のネクタイ購入本数は、全体の約6割が年間3本以下、その上位(4~7本)とあわせ約9割の方が年間7本以下の購入という結果でした。
一方で全体の1割と少数意見ですが、24名の方が年間8本以上、4名の方が16本以上という回答もありました。
② 年代別
こちらも年代別で見てみます。
若年層は圧倒的に年間の購入本数が少なく(3本以下)、8本以上購入している方の多くがミドル層である事が分かります。
ちなみに、年間16本以上購入している方のうち、若年層の1名は4千円以下のタイを、ミドル層3名は4千円以下・2~3万円・3万円以上がそれぞれ1名でした。(2万円以上のタイを年間16本以上というのはうらやましいかぎりです……^^;)
③ 職種別
最後に職種別で見てみます。
会社員においては、4~7本とそこそこ購入する方は外勤メインに多いようです。しかし、8本以上とかなり購入する方は内勤に多いようです。(所有本数も似た様な傾向でしたね。)
公務員の方の購入数が少ないことを除けば、あまり偏りの無い結果と言えます。
5.ネクタイをよく購入する場所は?
つづいて、どこでネクタイを購入しているのかへの回答です。
今回は択一では無く、最大で3つまでの複数回答をお願いしました。
① 総合
まず、全体の約3割が主にネットでネクタイを購入していることが分かりました。これは、結構な割合だと思います。次いでテーラーとスーツ量販店が約15%ずつと続きます。
一昔前のネットだと、小さな画像とにらめっこをしながら、ギャンブル的に購入するしか方法がありませんでした。しかし、今では返品交換自由な通販サイトが増え、利用者が格段に増加したのだと思います。
私の場合、最近はAmazonを使う事が多くなりました。タイムセールや衣料品割引セールなどでかなり安価に購入することが出来る様になったからです。特に、(意外と知られていませんが)Amazonが直売している衣料品ならば30日間返品交換自由なのが重要です。
② 年代別
続いて年代別の結果(年代内の割合に換算)も見てみます。
意外だったのが、ミドル層の方がネットを利用した購入が多いことでした。一方で、若年層はスーツ量販店での購入が多めの結果に(これは、安価だからだと考えられます)。
スーツ量販店とテーラーの世代別割合が対照的なのは、年齢層が上がると量販店からテーラーへ主要な購入先が移動するためかも知れませんね。
60代以上はサンプル数2ですが、お二方ともネクタイ専門店で購入ということ。何かポリシーを感じます。
6.好きなネクタイブランドは?
続いて、好きなネクタイブランドの結果を。
今まではこちらが用意した選択肢を選ぶ形で投票して戴きました。しかし、この項目だけは投票者が勝手に選択肢を増やせるようにしました。その結果、多種多様な回答が……^^;
① ランキング
※選択肢が多くなってしまったため、3票以上投票のあった物のみ、ブランド名を掲載しています。
ダントツの1位が鎌倉シャツでした。投票数46票。圧倒的な支持を集めていることが分かります。皆さんのお気に入りは入っていますか?
続いて、上位10位を抜粋し、年代別の割合を表示した表も作ってみました。
面白いのは、鎌倉シャツ支持者は若い世代が中心かと思いきや、むしろミドル層の方が高い結果になったことです(若年層13.7%、ミドル層15.9%)。
一方で、実際に若い世代がミドル世代に対して突出したのは、2位のタイステーションと7位のドレイクスでした。どちらも素材の光沢感があったり、ビビッドな色使いであったりと、若々しい雰囲気のブランドなので納得です。
なお、この表を見てみると、私の好みとかなり一緒で、なんだか親近感が湧いてきます……。
「複数回答」というのは「タイユアタイ、ニッキー、ゼニア、フランコバッシ」などの複数ブランドを一つの回答欄にまとめた方がいらっしゃって、これに7票も入った結果です。一つだけなんて選べない! という気持ちはよく分かりますが、集計できなくなるので困ります(^^;
② 気になったブランド
表外(3票未満)を含む、回答の中で気になったブランドをいくつか。
なお、以下のタイブランドについては、以前の記事で言及しています。各記事へのリンクです。
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- ルイジボレッリ、ドレイクス
- タイステーション(レビュー)
- 鎌倉シャツ(レビュー)
7.ネクタイの捨て時、手放す方法について
今回、自由記述欄でネクタイの捨て時について皆さんにお伺いしました。お寄せ戴いた回答をいくつかご紹介します。
① 捨て時
ネクタイは折り目が擦り切れてきたら捨て時かなと思います。
公務員、フェアファックス好き さん
(20~30代、所有本数:6~15、最頻購入価格:5~10千円)
ネクタイの捨て時は、擦り切れた時に捨てるですかね。
会社員(内勤)、フェアファックス好き さん
(40~50代、所有本数:51~100、最頻購入価格:5~10千円)
この様に、すり切れり汚れたら手放すとコメントしている方が多かったです。
飽きたら捨てるかあげる
自営業、主にセール品好き さん
(60代以上、所有本数:6~15、最頻購入価格:11~20千円)
なかには「飽きたら」という方もいらっしゃいました。
捨て時について回答します。新しくネクタイを購入したときです。※ネクタイの所有上限数を決めているため,増やした分だけクローゼット内のネクタイを廃棄しています。
会社員(内勤)、好きなブランド特になし さん
(20~30代、所有本数:6~15、最頻購入価格:5~10千円)
この方法は良いですよね。衝動買いを効果的に減らせると思います。
② 売却
登板回数が極端に少ないものは廃棄するか、再販価値があればオークションなどで売ります
会社員(外勤)、Universal Language好き さん
(20~30代、所有本数:16~30、最頻購入価格:5~10千円)
技術系なので客報告や会社の行き帰りしかスーツを着ません。あまり長時間着ないので、少数精鋭でやや高めかつお洒落感のあるポール・スミスを選んでます。また、ブランド買い取り店で使わなくなったのは売ります。そうやって上手く使いながらネクタイと付き合ってます。
会社員(内勤)、ポール・スミス好き さん
(20~30代、所有本数:6~15、最頻購入価格:11~20千円)
売却という選択肢もありますね。飽きた、または好みの大剣剣幅で無くなったという理由で処分する場合は、良い選択肢だと思います。近年では老舗の「ヤフオク」だけで無く、即決販売を謳った「メルカリ」が若年層を中心に人気があるそうです。
③ リメイク
タイが痛んで使えなくなると、分解してチーフに加工します。気に入ったものほど多く〆ることになるので痛みも早く、愛着のあるので捨てられず、加工の楽なカード型チーフにしております。
会社員(内勤)、ETRO好き さん
(40~50代、所有本数:51~100、最頻購入価格:11~20千円)
目立つ汚れや傷が無ければ基本的に捨てません。リメイクして使う事もあります。飽きてしまった場合、欲しい人がいれば譲る事はあります。
会社員(内勤)、Spacca Neapolis好き さん
(20~30代、所有本数:51~100、最頻購入価格:11~20千円)
廃棄する際はタイの布地でカフリンクスを作ってくれるショップを試してみたいと思っています。
公務員、主にセール品好き さん
(40~50代、所有本数:51~100、最頻購入価格:11~20千円)
リメイクという選択肢もありですね。気づきませんでした……。
8.その他のコメント
その他、皆さんに役立ちそうなコメントの一部をご紹介します。
- セレクトショップのネクタイを買うときは ZOZOTOWN で当たりを付けると便利です。
- 本数はたくさんありますが、使用するのは20~30本です。残りはスーツを着たときにあわなかったりしてお蔵入りしています
- 中古店でかいます。
- 仕事時に机などでネクタイの剣先が擦れたり、食べこぼしを防ぐため、冬はスリーピースで、春秋は社内でのみベストを着用して擦れ&汚れ防止をしています。おかげで、ネクタイはクリーニングに出したことがなく、また非常に長持ちしています。
- ボールフレデリックやランズエンドなどの海外通販も、質の良いタイを比較安価で出しています。
- スーツ量販店のオンラインショップだと、アウトレット品でも状態良好な商品が購入できるので、良く利用しています。
- https://www.samhober.com/ こちらで作ってもらうネクタイ(特にグレナディン)が好きです。長さも、締めるノットや身長に合わせて調節して作ります。
- 新橋駅近くの個人店「H&M」でハンドメイド西陣織が1,500円。とても満足でした。
- セレクトシッョプならシップスが、量販店ならスーツカンパニーがお気に入りです
- セレクトショップやブランドのネクタイは暴利だと感じます。身につける人にとって本当に良いものを世に広めて欲しいです。
他にも沢山コメントを戴きました。有り難う御座います。全てに目を通していますが、文字数の都合で、ご紹介が一部になりましたことをお詫びいたします。
9.総評と反省
今回は当サイトをご覧のみなさんの、ネクタイに対する意識を垣間見ることが出来ました。特に、ネットでの購入が多かったこと、意外とブランド物のネクタイは人気が無いこと、そして鎌倉シャツの人気には驚きました(^^;
そして、単に捨てるのでは無く、売ったりリメイクしたりしている事も大変参考になりました。
また、ご自身の状況とアンケートの状況を比べてみてみましたか?
個人的には、ファッションは他人と同じ事をしていてもつまらないという思いがあります。もちろん、他人がどのくらいネクタイに支出し、所有しているのか、同好の士としての興味はあります。しかし、だからといって自分が平均に合わせる必要はないと思っています。
反省点
1つめはなんといっても既婚/未婚(または子供の有る無し)フラグをつけ忘れたことです。可処分所得がだいぶ違うはずで、もっと皆さんの参考になったのではと反省しています。1ヶ月の小遣い額でも良かったかも知れません。
2つめは、具体的な数値を収集しなかったことです。入力の利便性を向上させるため全て選択式としたのですが、ネクタイの所有本数などは具体的な数値を入れるようにした方が、もっと意味のある値/分析しやすい値が集められたかもしれません。
次回に向けて
沢山の方に投票&コメント記入のご協力下さいまして、どうも有り難う御座いました。皆さんの生の声を聞くことが出来ました。
また何か面白そうなテーマがあったら、今回の反省を生かしてアンケートを採ろうと思いますので、その際はご協力をどうぞ宜しくお願いいたします。
ただし、アンケート記事はデータの集計、分析、グラフ作成と、通常の記事の倍くらい時間がかかるため、そうそう頻繁に実施する事が難しいという事情もあり。。。