スーツのVゾーンを華やかにし、そして引き締めてくれるネクタイ。上質なものとそうでないものとで、全く雰囲気が変わるアイテムでもあります。
先月、オーダーシャツで利用しているFirst Experienceから、絹製品の名産地である京丹後とコラボし上質を謳うネクタイが発売されたので、早速人柱として購入してみました。
実際に着用しつつ、その特徴やメリデメ、どんな人に向いているか等をレビューしたいと思います。
1.製品概要
- 製品名:TANGO
- 製品番号:TIE-TANGO-0001
- 価格:8,800円(税抜)
- 素材:シルク(ツイル)
- 色展開:今のところネイビーの無地のみ
- <製品ページリンク>
価格は8,800円と、一般的なセレクトショップのオリジナルネクタイと似た様な価格帯です(大体2~3ラインくらいあって、安い方と同じくらいですよね)。
一方で製品説明を読むと、ネクタイとしては12,000円のグレードと同等かそれ以上との記載があります。果たしてどんな物なのか見ていきましょう。
2.開封レビュー
外観
(お詫び)撮影時にホワイトバランス調整に失敗しまして、この項目のみ少し黒っぽく出ています。色味は次項以降を参考にして下さい。
ネイビーのソリッドです。
First Experience独自製品のため、ネーム入り。
丹後、京都製であることをアピールするタグも。
裏地も表地と同色(但し、共地では無い)のシルク素材です。
日の丸をイメージしたという白と赤のかんぬき止め。
実測は8.1センチでした。
生地
かなり目の詰まったツイルで、重厚かつ上品な光沢があります。
華やかさではサテン生地に叶いませんが、ビジネスや改まった場であればこちらの方が向いていますし、なにより高級感があります。
絹100%です。
3.着用レビュー
実際にトルソーに着せつつ、シャツやスーツをを合わせてみました。
タイドアップ時のフォルム
ネクタイは生地が綺麗でも、実際に結んでみると芯地や仕立てがダメで貧相に見えてしまう事がありますよね。
一方でこの製品(TANGO)は、とても肉厚でプレーンノットでもこれだけの立派なノットが出来上がります。
また、ディンプルも一発で決まるので、普段スーツを着ない(ネクタイを結ばない)方でも、簡単に綺麗なノットが作れると思います。
生地の張りが強く、横から見てもかなり綺麗です。
ネクタイは、(やり過ぎは下品ですが)少し持ち上げるだけで、とても華やかな印象になります。
TANGOは、芯地・表地ともとても腰が強く、カラークリップやタイバーを使わずとも、この写真ようにネクタイが自然と持ち上がりました。
また、多少動いても緩みにくいため、この状態をキープしやすいことも特筆すべき点です。
紺無地の三つ揃いと
少々ストイックな感じですが、紺無地の三つ揃いに合わせてみました。
シャツが水色の細かいストライプ、ネクタイがネイビー、スーツが紺と、青系統のグラデーションです。
このように紺の同系色でまとめると、統一感が出ると共に畏まった雰囲気が出せます。(これでシャツを白無地にすれば、さらに落ち着いた印象になりますが、逆にビジネスとしては硬すぎかもしれません。)
きれいなディンプルが入ります。
紺のマイクロチェックスーツと
もう少し軟らかくするために、マイクロチェックのスーツにも合わせてみます。
シャツ、タイ、ジャケットの全てを柄にしてしまうとガチャガチャしますが、うち2つ、かつ柄(柄の幅)が被らなければ、大丈夫。
少し明るい印象になります。
紺無地のタイは地味な印象があるかも知れません。しかし、柄のあるシャツやジャケットと合わせることで、華やかな雰囲気の悪影響である「浮ついた感じ」が出るのを防ぎ、引き締めの効果を期待できます。
4.(参考)どのくらい肉厚?
先述の通り、TANGOは結構肉厚です。どのくらい肉厚なのか測定してみました。
比較したのは、セレクトショップオリジナルのネクタイからバーニーズニューヨーク、阪急メンズの2つ(何れもここ1~2年で購入した冬物)、それと手近にあったフランコバッシのタイの計3つです。
厚さは薄い方から順に、フランコバッシの12.8mm、阪急が16.5mm、バーニーズが17.7mm、そしてTANGOが20.4mmでした。
厚ければ良い、という物では無いが
決して、ネクタイは厚ければ良いという物ではありません。
しかし、軽快なプレーンノットでも重厚感を出せる、結び目が自立する、大剣がヒラヒラしないなど、ビジネス用途としてはメリットは多いです。
単に芯地を厚くしたり、表地のたたみを多くするだけでも厚さを出せますが、TANGOについては生地そのものの目が詰まっていて厚みがあるため、ノットももっさりせず、高級感があります。
5.TANGOの良いところと要改善点
続いて、今回レビューしてみて感じた、TANGOの良いところと要改善点をまとめてみました。
良いところ
- 生地が良質:無地は生地の善し悪しが分かりやすいですが、遠目に見ても良質の生地だと分かります。
- 綺麗に結べる:適当な厚さがあり、ノットやディンプル(結び目の下に出る凹み)がとても綺麗です。
- 解けにくい:結んだノットが解けにくく、ノットから大剣にかけてのドレープが綺麗に保たれます。
- 手の出せる価格:絶対的な価格は安いわけではありませんが、品質に比べると良好なコスト(つまりコスパが良い)です。
要改善点
- 少ないバリエーション:現状、紺無地一択です。ベーシックな物でまとめるとしても、せめて色は茶も、柄もドットを加えた最低4種類は欲しいところ。
- 比較的短い長さ:仕様上140~145cm、実測で146cmでした。厚手のタイはノットが大きくなるため、長さをより多く消費します。146cmならまだしも、大柄かつ首が太い方の場合、140cmだと少し短いでしょう。
- 送料:現状、単品での注文は送料がかかります。シャツと一緒に頼めば問題無い(むしろ「ついで買い」のための商品なのでしょう)ですが、たとえばゆうパケットやEXPACK等を活用して単品での送料無料があると良いと感じました。
また、これは個人的な好みの問題ですが、トレンドの変化でラペル(ジャケットの下襟)幅が広くなっていることもあり、大剣幅は8.5cm位あると良いように思います(現状の仕様は8.2cm、実測8.1cm)。
6.こんな人におすすめ
最後に、どんな人にTANGOがオススメなのかを書き出してみます。
良質な紺無地のタイを持っていない人
紺無地は地味……と、ストライプ等に比べて人気が無いかも知れません。しかし、良質な紺無地のタイは、柄のシャツやスーツとの相性が良く、さらにNGなコーディネートが少ないため、1本あるととても重宝します。
一方で無地は生地の善し悪しが比較的分かりやすいため、生地の質がとても重要。
従って、良質な紺無地のタイを持っていない方にはオススメできます。
紺無地のタイはサテンばかり……という人にも
同じ紺無地でも、TANGOの様なツイルの無地と、サテンの無地では、相手に与える印象がかなり変わります。
サテンはよく言えば華やか、悪く言えばギラついた印象があるため、ビジネスでの謝罪対応など(^^;)は、明らかにTANGOの方がオススメです。
立体的なノットのタイが欲しい人
TANGOは先述したとおり、立体的なノットが作りやすいという特徴があります。
やり過ぎは嫌らしいですが、ノットを少し持ち上げるだけでも華やかな印象になります。
そして構築的なネクタイをしていると、ネクタイばかりか装い全体に高級感が出てきますので、立体的なノットのタイを欲しい方にもオススメします。
とはいえ、持っているのは紺無地のタイばかり……という方もいらっしゃる事でしょうから、これからのバリエーション展開に期待したいです。