だんだんと温かくなり、例の感染症が落ち着きを見せる中、延期されていた結婚式や披露宴が開催されはじめた様ですね。
先日、結婚式や披露宴に参加する際のスーツスタイルはどのようなものが相応しいかという質問を複数いただきました。
NG/Goodポイントについては以前記事にしましたが、全体を網羅したことはありませんでした。この機会にまとめてみましたので、参考になりましたら幸いです。(少々初心者向けの内容です。)
本記事の前提条件
本記事は、以下の前提で書かれています。
- 対象は「一般参列者の男性」(主賓や親族ではない)
- 一般的な「ホテルや結婚式場での結婚式や披露宴」を想定(カジュアルなレストランウェディングではない)
- 服装は「スーツ」に限定(礼装/準礼装や和服、制服ではない)
服装、特に礼服は地方によって様々なローカルルールがあると聞きますが、今回は東京の都市部における結婚式や披露宴を前提としています。
なお、いつも書いているとおり、ファッションに絶対はありませんので「こう言う見方があるのか……」程度にご覧下さい。そして、「自分はこう考える」という意見や感想がありましたら、是非記事下部のコメント欄に書き込みをお願いします。
スーツ
まずは、どんなスーツを選べば良いか見ていきます。
形
ボタンが1列に並ぶ「シングル(シングルブレステッド)」でも、2列に並ぶ「ダブル(ダブルブレステッド)」でもどちらでも良いでしょう。
重厚感はダブルの方が上ですが、シングルは着席時にフロントボタンを外すので、披露宴で沢山食べたい方にはシングルがオススメです^^;
シングルの場合はウェストコート(ベスト)付きの三つ揃い(スリーピーススーツ)にすると、華やかさが増します。
また、薄いグレイの替えベストがあれば、そちらを着ても綺麗だと思います(ただし、本則の三つ揃いからは外れます。)。
色、柄
色は紺かグレーで、柄は無地がオススメです。
地方の成人式や、芸人が着るような、極端な淡色スーツは避けた方が良いでしょう。また、ダークトーンの方が格式高く見えます。(特に、親戚や主賓として呼ばれた際には、ダークトーンがオススメです。)
レストランウェディングや二次会のみの参加など、カジュアルな雰囲気であれば、淡色や柄物も積極的に取り入れると良いと思います。
なお、完全に黒無地でも日本のルールでは問題ないですが、よほど良い生地を使わないと安っぽく見えるため、個人的にはオススメしません。
その他の注意点
また、以下の点にも注意して選ぶと良いでしょう。
- みすぼらしくないか(ほつれ、スレ、テカリなど出ていないか)
- カジュアルなディテールが入っていないか(革のくるみボタン、色が目立つステッチ、パッチポケットなど)
オススメの買い方
ビジネス用のスーツで十分です。したがって、追加で調達する場合でも、ツープライス店やスーツ量販店などでも問題無いです。
もちろん、ハレの日用に良いスーツを購入したり仕立てても良いと思いますが、結婚式などそう何度も出るわけではありませんから、よほどの服好きで無い限りは、ビジネスと兼用にすることをオススメします。
シャツ
続いて、シャツを見ていきましょう。
色、柄
色は白色か極薄めのアイボリー、柄は無地が良いでしょう。ただし、織り柄(色で付けた柄では無く、織り方で表現した柄のこと。)であれば問題無いと思います。
個人的には薄い水色も好きですが、披露宴はともかく結婚式に参加するときは避けた方が良いでしょう。
襟型
個人的にはワイドカラーやセミワイドカラーがオススメですが、襟の開き具合は好みで何を選んでも良いと思います。
ただし、ボタンダウンについては、盛装用ではなくスポーツ用の意匠なので避けたほうが良いです。
カフス
シングルカフスでもダブルカフスでもどちらでも良いでしょう。
ただし、ダブルカフスにしてカフリンクス(いわゆる「カフスボタン」)を用いると、華やかな雰囲気を出せます。お持ちの方は活用すると良いでしょう。
参考情報
その他の注意点
また、以下の点にも注意して選ぶと良いと思います。
- みすぼらしくないか(襟や袖が黒ずんでいないか)
- カジュアルなディテールが入っていないか(色糸ステッチ、色糸ボタン、二重襟など)
- アンダーシャツが透けて見えていないか
オススメの買い方
こちらも、ビジネス用シャツの流用で十分です。
それでも買う必要がある場合、通販であればシャツでも無料で返品交換が可能なLANDS'END、実店舗であれば鎌倉シャツあたりがオススメです。
オーダーシャツであれば、オンラインならばFirst Experience、実店舗であればDo-1ソーイング系がオススメです。
ネクタイ
続いてシャツに結ぶネクタイについて見ていきます。
色、柄
かつては、「慶事の白ネクタイ・弔事の黒ネクタイ」といったように、判を押したように白ネクタイだらけでしたが、今は白にこだわる必要はありません。
ただし、カジュアルな雰囲気にならないよう、以下の点を踏まえると良いでしょう。
- 柄は無地のほか、ドット、小紋などの細かい柄(細いストライプや遠めで無地に見えるハウンドトゥースなどもOK)
- 色は黒以外
正直な所、結婚式/披露宴のネクタイ、それも色についてはかなり自由度が高いと思います。
手っ取り早く華やかさを出したいのであれば、シルバーが良いでしょう。
スーツにマッチすればシックに紺やボルドーの無地でも良いですが、スーツと共に艶のあるものを選ぶなど、なるべく華やかさを出すと良いでしょう。
また、「新郎新婦と同窓なのでスクールタイ」(慶應義塾のBRB、早稲田や立命館の臙脂色など)、といったコーディネートでも、もちろん大丈夫です。
オススメの買い方
バーニーズやユナイテッドアローズのオリジナルブランドをファミリーセールで買ったり、セレクトショップのネクタイ工場から安く買い付けているテーラーで買う、といったやり方がお薦めです。
とはいえ、ファミリーセールがしょっちゅうあるわけでは無いですし、披露宴にマッチするものがすぐに出てくるわけでもないので、急ぎの場合は百貨店やスーツ量販店で探す必要があります。
ネットだと、以前はAmazonでFAIRFAXがお勧めの鉄板だったのですが、ここ数年価格が倍以上になったので難しくなってしまいました。返品無料の手頃な価格のネクタイをAmazonで買ってみるという作戦ですかね。。。
(オススメのブランドや買い方などありましたら、是非コメント欄から情報お寄せください。)
参考情報
靴
お待ちかね? 靴の話です。
形
結婚式や披露宴という式典にあっては、基本的にカジュアルな意匠を極力排除したほうが、格好良く見えます。
従って、
- 外羽根より内羽根
- 表面の飾りは少なめ
- 紐靴
この3つを意識すれば良いと思います。
つまり、
「内羽根のプレーントゥ」や「内羽根のストレートチップ」を選ぶと良いでしょう。
詳しく書きたくなりますが、恐らくこの記事を参考にする読者層と需要が異なると思いますので、ぐっと我慢して次に行きます。
(外羽根と内羽根については、以下の記事をご覧下さい。)
参考情報
色
結婚式まで出る場合、色は黒一択です。
また、スエードやグレインレザーなどテクスチャがあるものでは無く、つるっとしたカーフレザーが良いでしょう(光沢のあるパテントレザーでも良いと思います。)。
靴下に注意
見落としがちなのが靴下です。いくら良い靴履き、良いスーツを着ていても、脛やすね毛が見えては台無しです。必ず、膝下まである、無地のハイソックス(ロングホーズ)を着用してください。スーツより少し暗めの同系色か、黒色が良いでしょう。
参考情報
上記記事の「1.ロングホーズって何?」をご覧下さい。
オススメの買い方
こちらも普段ビジネスに使っている靴を、綺麗に手入れすればOK。普段より強めに磨くと良いでしょう。
革靴は磨くとよく光ります。
私も普段ビジネスに使っているストレーチチップやプレーントゥに、少し強めに鏡面磨きを掛けたものを履いていくことが多いです。
(鏡面磨きについては以下の記事をご覧下さい。)
参考情報
アクセサリ
最後にアクセサリについて。
代表的なものとしてポケットチーフと腕時計をとりあげます。
ポケットチーフ
ビジネスでは使わない方が多いかも知れませんが、ポケットチーフは結婚式/披露宴にとてもオススメです。
スーツスタイルは、ともするとビジネス臭がでてしまいますが、パーティー仕様のポケットチーフにしただけで雰囲気ががらりと変わるからです。
オススメの差し方はスリーピークスか、パフド。
色は麻やシルクの白色がオススメです。(ネクタイとセットのものもありますが、個人的には野暮ったく見えるので好きではありません。)
腕時計
(時間を気にするのはマナー違反なので付けないという考え方もありますが)腕時計もスーツスタイルに許される数少ないアクセサリの一つです。
結婚式など、フォーマル度の高い催し物の場合には、
- 3針か、出来れば2針(2針:時針と分針、3針:2針+秒針)
- ケース厚の薄いもの
- 黒革のストラップ
- 文字盤は白系
をオススメします。
ケースはゴールドでもシルバーでも良いですが、カフリンクス(いわゆるカフスボタン)と色を揃えてください。
まとめ
まとめるとこんな感じです。
- スーツ:シングルダブルどららでも良い。シングルは三つ揃いがオススメ。色は紺色か灰色の無地を。
- シャツ:白色の無地を。襟型は好みだが、ボタンダウンは×。
- ネクタイ:無地かドット、その他カジュアル過ぎない細かい柄で、色は黒以外。白色で無くて良い。スクールタイも可。
- 靴:黒色の内羽根ストレートチップ又はプレーントゥをよく磨いて。靴下は丈の長いものを。
- アクセサリ:麻やシルクの、白色のポケットチーフをスリーピークスかパフドで。また、時計は2針か3針、ケースが薄く白文字盤に黒革のストラップを。
今回は概論的な話でしたが、スーツ、シャツ、靴など、結婚式や披露宴における選び方や着こなしの工夫など、まだまだあると思います。
その点については、皆さんからのコメントを吸収しつつ、別の機会にご紹介していきたいと思います。(ということで、よろしければ是非コメントをお願いします!)
また、スーツ以外にもブラックラウンジスーツ(ディレクターズスーツ)やディナージャケット(タキシード)など、来賓や親戚として出席する際に着用したい、スーツの一段格上にあたる装いもあります。こちらも今後紹介しようと思います。
最後に、一部スーツとは関係ないですが基本的な話を。
結婚式や披露宴に向けては、1週間前までに床屋に行き、前日に爪を切ってスーツとシャツの皺を伸ばし靴を磨き、当日の朝によくヒゲを剃った上で顔と手を保湿して身だしなみを整えれば完璧です。
いってらっしゃい!