着こなし

スーツスタイルの制汗と防臭を考える(防臭編)

投稿日:平成29年(2017) 3月5日 

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皆さんは、「臭い」に気をつけていますか?

もうすぐ寒い季節も終わり、だんだんと温かく、そして湿度の高い――嫌な臭いが発生しやすい時期になります。電車、職場、出先で、不快な臭いを感じたことがある方も多いのではないでしょうか?

私は、香りもスーツスタイルの一つだと考えます。しかし、人間誰しもが、服、靴、体から、好まれない香りを発生させる可能性があります。今回は、どうすれば嫌な臭いを防ぐことが出来るのか、まとめてみました。

1.防臭の必要性

本題に入る前に、防臭の必要性について考えてみます。

スーツスタイルの要素は、服装だけでは無い

狭く捉えると、スーツスタイルといえば服装に限定されるでしょう。しかし「スタイリングとは、人が他人に自身を表現する手法の一つ」という点から見ると、髪型や所持品はもちろん、「香り」もスーツスタイルの一つとして挙げることが出来るのではないでしょうか。

香り・臭いが他人に与える影響はとても大きい

服装、髪型、所持品などは主に「視覚」によって知覚されますが、香りは「嗅覚」です。嗅覚は他の感覚と違い、脳の原始的な部分(大脳辺縁系)へ直に伝達されるため、記憶や感情へダイレクトに作用します。

ファッション、スタイリングに気を遣う目的は人それぞれでしょう。しかし、殆どの目的において、他者からどう見えるか、という観点が含まれるはずです。そんなとき、嗅覚に気を遣わない選択肢があるとは思えません。

特に、人付き合いが基本のサラリーマンにおいてはなおさらです。ビジネスでは、不快な臭いをさせることは、だらしない格好をする以上に問題がある事だと思います。

 

2.生乾き臭を解消・予防する

梅雨時から秋口にかけて、最も不快な臭いの一つか生乾き臭ではないでしょうか。満員電車やエレベーターで、隣に強烈な生乾き臭がすると、今すぐにでも逃げたくなります。

そして、この生乾き臭は強烈であると同時に、誰もが発生しうる臭いであるのがやっかいなところです。

臭い予防にはクリーニングも手

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生乾き臭の原因は、その名の通り不完全な乾燥による雑菌の繁殖にあります。特に、綿100%のシャツは水分を保持しやすく乾きにくいため、発生源になりやすいアイテムの一つです。

洗濯後すぐにアイロンを掛けつつ、完全に乾燥させるのが一番ですが、特に一人暮らしの場合は限界があります。忙しいサラリーマンは洗濯を外部委託する(クリーニングに出す)のも手でしょう。

ちなみに、私もシャツは全てクリーニングに出しています。ただ、靴磨きと同じで、洗濯やアイロン掛けを趣味にする方もいます。あくまで選択肢の一つと考えて頂ければ幸いです。

臭いがついたら酸素系漂白剤を活用する

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一方、いったん臭いがついてしまうと、通常の洗濯では取れにくくなります。

そこで活躍するのが、ワイドハイターなどの酸素系漂白剤です。従来の塩素系漂白剤や、逆性石けんなども良いのですが、取り扱いが難しいため、まずはこちらがオススメです。

使い方は簡単で、酸素系漂白剤を入れた50℃くらいの熱めのお湯に、シャツを浸けて放置するだけ。皮脂汚れなどもとることが出来ます。

綿100%にこだわらない決断も必要

湿度が高い季節や、職場環境である場合、なかなか乾かない綿100%のアンダーシャツは、臭いの元になる事があります。

制汗を扱った前回の記事でも取り上げましたが、化繊の機能性下着は乾きやすいので、生乾き臭を効果的に防ぎます。さらに、汗対策や体臭を防ぐ仕組みが備わる製品も多く、防臭に効果を発揮します。

綿素材は肌触りがよく、私も出来れば綿を着たいと思っています。しかし、汗対策や防臭を目的として、やむを得ず夏場は化繊の機能性下着を着ることが多いです。

 

3.スーツの臭いを解消する

着用の頻度にもよりますが、スーツの生地が傷むため、頻繁なクリーニングはおすすめしません。

一方で、どんなに気をつけていても、スーツは周囲の臭いを吸って臭くなるのも事実です。そこで、スーツの臭いを解消する方法をいくつかご紹介します。

基本はローテーションと通気

一度着たスーツが、次に登場するのは何日後でしょうか? また、脱いだスーツを、すぐにクローゼットへしまっていないでしょうか?

ウールは天然繊維のため、着ている間に料理や煙草などの臭いを吸収してしますが、通気性の良いところで陰干しをすると、その多くは数日で消えます。最低1日は陰干しし、できれば2日以上休ませる事が大事です。

また、クローゼットは通気性が悪く、湿気が籠もりやすい場所です。そのため、帰宅後すぐにスーツを収納すると、干したことにはなりません。厚手のハンガーに掛け、風通しの良いところに吊しておくことが必要です。

取れにくい臭いはスチームで

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しかし、強い臭いなどは陰干しでは取れないことがあります。そんなときに試したいのがスチーマーによる蒸気での臭い取りです。

ウールの表面は、人間の髪の毛でいうキューティクルのような「うろこ」(スケール)に覆われています。このスケールは、スチームを当てると開き、その後水分が放出される過程で臭いが抜ける作用があります。

従って、ウール生地のスーツは、スチーマーで簡単に臭いを取ることができます。(スチーマーが無い場合は、お湯を張ったバスタブでもOK。)

なお、テーラーの中には変色するからと、ファブリーズなどの衣類用消臭剤を嫌う人がいます。ネットを検索しても、似た様な記事を散見します。真偽の程は不明ですが、そもそもウールは綿などと違い、臭いが取れやすい生地なので、消臭剤は不要という認識です。

 

 

4.足と靴の臭いを解消する

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会食や飲み会などで、座敷に上がる機会はありますか?

そんなときに問題になるのが足の臭いでしょう。続いて、足や靴の臭いについて考えます。

こちらもローテーションを大事に

スーツと同じく、靴もローテーションを大事にします。足は思った以上に汗をかくため、一日はいた靴はかなりの水分を吸っています。

一日では抜けきらないため、こちらも最低2日、できれば3日以上開けます。

防臭剤を活用する

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防臭剤も活用出来ます。オススメはグランスレメディです。今まで試した靴用防臭剤の中で一番効果があり、愛用しています。

靴下に白い粉がつくため、座敷に上がる当日には使えませんが、数回連続して使うと半年は効果がある優れものです。

革底の靴を選ぶ

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革底の靴は湿気を多く吸い、さらに外部へ放湿するようで、ゴム底に比べて足が蒸れません。雨や摩耗に弱いなどの弱点はありますが、足の蒸れ対策では革底がオススメです。

また、静電気が嫌いな方にも革底は適しています。通電しやすい革底からアースされ、ビリッとしにくくなります。

雨が降ったら乾燥させる

濡れた靴にはカビや雑菌がとても繁殖しやすいため、雨に濡れたら当日すぐに乾燥させます。このとき、シューツリーはすぐに入れないことに注意してください(湿気をかえって留めてしまうため)。

数時間おきに取り替える事が出来れば、吸湿剤は新聞紙でも大丈夫です。しかし、取り替えが難しい場合には、靴用の除湿剤がオススメです。なお、靴用乾燥機やドライヤーを使う手もありますが、温風での乾燥は革を傷めるためオススメしません。

また、今回のお題(防臭)とは関係ありませんか、保革のため、本格的にずぶ濡れになった場合は、すこし乾燥させた後に、乳化性クリームで表革を手入れをすることが重要です。

 

5.体臭について考える

いくら衣服に臭い対策をしても、体から臭いが出てしまっていては台無しです。最後に、体臭の予防を考えます。

※ なお、体臭改善ネタについては詳しくなく、意図的に言及を避けています。あしからずご了承ください。また以下は、毎日風呂に入って、体を清潔にしていることが前提の話です。

まずは制汗剤を

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汗そのものは、あまり臭いません。しかし、汗に雑菌が繁殖すると強烈な臭いを発します。従って、汗を拭いたり、汗を吸った服を交換したりすることが重要です。

そこで、一番手軽なのは制汗剤でしょう。前回も紹介した、脇の下に塗るタイプの制汗剤が手軽で効果が高いためおすすめです。

アンダーシャツを活用する

夏場、どうしても汗をかいてしまうことがあると思いますが、職場にアンダーシャツを置いておき、いざというときにトイレや更衣室で着替えると汗臭さが無くなります。

……アンダーシャツ着ない派の方、すみません。。。

香水は最終手段

香水は、体臭を隠すために発達したと言われています。しかし、体臭を隠すための香水の利用は、現代ではオススメしません。

なぜなら、香りで臭いを消すためには、その臭いを超えるほど香水を使う必要があるためです。大量の香水はかえって「香害」を産みます。

ですから、基本は無香料の制汗剤や着替え、使い捨てタオル等での清拭が基本です。

 

6.おわりに

神経質すぎることはよくありませんが、臭いに気を遣うことはとても大切だと思います。

かつて「いかにも」な香りが多かった、男性用化粧品やデオドラント製品に、無香料のものが増えました。また、百貨店の男性向け香水の売り場もかなり広くなりました。これらは、男性の臭いや香りに対する興味が、増してきた証拠では無いかと考えています。

皆さんはどの様な臭い対策をしていますか? これからもスーツスタイルの一環として、臭い・香りについて取り上げていければと思います。

(おまけ)臭いは他人で無いと分からない?

自宅は臭わないが、他人の家は臭う。同じ香水を使い続けると、香りが物足りなくなってくる。これらは、同じ刺戟を受け続けることによって、感覚が鈍る「順応」が原因で起こることがあります。

同じように、自身の臭いにも人間は順応してしまいます。他人には不快な臭いを放っているのに、自分では余り臭わない、という現象が起きるわけです。

したがって、臭い対策の一つとして、気軽に臭い旨を指摘してくれる、友人や家族も大事だと思います。香水のつけすぎも、指摘してくれるように頼んでおくと良いでしょう^^;

 

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