ようやく、春を感じられる暖かい日が、多く訪れるようになってきました。 まさに、季節の変わり目といったところでしょう。
そして季節の変わり目は、次の季節の装いを先取りするチャンスでもあります。
ということで今回は、スーツスタイルにおける、春らしい、旬な装いにはどんな工夫が可能なのかを考えてみます。
なお、当然ファッションには正解がありませんから、今回ご紹介する方法はほんの一例です。自分はこういう工夫をしている、こっちの方が良いのでは? というご意見がありましたら、コメントから是非お寄せください。
1.そもそも春らしい装いって何?
たとえば、オーバーコートをトップコート(スプリングコート)にするなど、季節を代表するアイテムに変更するだけでも、季節感を出すことはできます。
とはいえ、男性の服装、とりわけスーツスタイルはアイテム数が限られることもあり、少し工夫が必要です。
そこで今回は、以下の3つの視点から、春らしさを付加するTIPSを探してみます。
- 「色」に春らしさを取り入れる
- 「素材」を春らしくする
- 春らしい「香り」を纏(まと)う
2.「色」に春らしさを取り入れる
最も簡単で、かつ効果的な方法かもしれません。
それは、春らしい色をコーディネートに取り入れるというものです。
緑色
春の色ときいて、一番最初に思い浮かぶのが、新緑の色、緑色ではないでしょうか。
ネクタイ、ジャケット、ポケットチーフなど比較的取り入れやすい色でもあります。
茶色や黄色等とも相性が良く、また写真のように様々な色合いの製品が出ているので、コーディネートも思ったよりも簡単です。
桜色
日本人にとって、桜は特別な存在です。ということで薄いピンクである桜色も、春を代表する色と言えます。
アイテムとしてシャツ、ネクタイ、ポケットチーフが考えられます。
ただ、気をつけないとパーティーのような雰囲気が出てしまいますし、軽薄というマイナスイメージを連想する方もまだまだ多いので、業種/職種によっては、ビジネス用途として少し使いづらいかもしれません。
3.「素材」を春らしくする
次に考えるのは、素材についてです。
ご存知の通り、素材にも季節感が存在します。
夏の綿や麻、冬のウールやカシミアと聞くと、想像がつきやすいかもしれません。
先取りがポイント
では、春の代表的な素材とは何でしょうか。
春物、間物(あいもの)用を謳う素材は無くもないですが、個人的には、夏向けとされる素材を少しずつ先取りする事が、季節感にコントラストをつけるという意味で、良いのではと考えています。
勿論、やりすぎはリゾート感が出て、ビジネスには不適当になりますが、以下の取り入れ方であれば、多くの業界で受容されるのではないでしょうか。
- シャツを麻素材(または、綿と麻の混紡)にする
- メッシュ素材のネクタイにする
- 三杢フレスコなど、あまり透け過ぎない夏素材のスーツを先取りする
なお、ジャケパンではもう少し遊ぶことが出来るため、以下の工夫も可能でしょう
- 綿や麻素材(ビジネス用途ならばウール混紡が良い)のジャケットにする
- 綿素材のスラックス(ビジネス用途ならばクリース入りが良い)にする
△ ウール麻混のジャケット(艶を出したい場合は、ウール麻シルクの三者混にすると良い)
4.春らしい「香り」を纏う
通常なら、色と素材だけなのですが、今回は香りについて、香水の観点からも考えてみます。
香水に季節がある?
年間を通して1本の香水しかつけないという方もいらっしゃる事でしょう。 これは、好みやセルフブランディングの観点からは全く問題ありません。
ただ、香水には、(香水によって程度の差はありますが)「イメージされる季節」があります。
使われている香料の種類、香りの系統、香水ブランドのイメージ戦略等々、様々な要因から季節性が出ます。
ちなみに、私の場合は季節ごとに使用する香水を使い分けていて、ONの日用の香水としては年間で4~5本入れ替えています(ラインナップはここ数年変わらず)。
春のイメージがある香りとは?
春のイメージがある香水といえば、一般的にはシトラス系やアクア系等が想起されます(個人的にはアクア系は好みではありませんが^^;)。
これに、スーツスタイル――ビジネスでの利用を想定すると、多少のウッディやグリーン分が入っていると真面目な印象が出ます。
個人的には、草をイメージした香りは、スーツに良く合ってオススメです。
例えば、ベチパーは、春の代表的な香りです(と、個人的には思っています。もちろん、通年でも全く問題なしですが)。
いくつもの「ベチパー」の名前がつく香水が出ていますが、個人的にはゲランのベチパーと、クリードのベチパーが好きです。
こちらはクリードのグリーンアイリッシュツイード。
レモンバーベナやアヤメの香りを基調とし、春先の肌寒い季節をイメージできるグリーンアイリッシュツイードという名前からも、その雰囲気を感じられます。
少し年齢層が高いほうが似合う香りかも知れません。
春らしい香りを選ぶ際、当然デパートなどで実際に試香するのが一番ですが、fragranticaなど、データベースで当たりをつけていくと良いと思います(英語サイトです。残念ながら、この手の日本語サイトあまりありません)。
こんな感じに、どの季節に合うか、人気投票を見ることが出来ます(赤枠が「春」の項目。なお、ビジネス用途であれば、一番右の”night”より、右から2番目の”day”が勝っているのを選ぶと良いと思います)。
業種/職種によっては、まだまだ香水の利用がなじまないところがあるかも知れませんが、もし許されるのであれば是非チャレンジしてみて下さい(その際、「香害」には要注意です。過去に香害について記事に書いていますので、初めての方は是非こちらをご覧下さい)。
5.最後に
この時期、寒い日と温かい日が入り交じり、体調を崩してしまうこともあれば、花粉による不快感も増してきます。
しかし、私はこの時期の気候が一番好きです。
寒い日にはコートを羽織ることができるし、温かい日には春を先取りした軽快な格好も出来るからです。
秋も似た様な気候ではありますが、「季節の先取り」が粋であるという観点に立つと、温かい秋の日に夏の格好をするのはちょっと……というのが理由です^^;
皆さんは、この季節、どんな装いを取り入れていますか?