皆さんはどんなヒゲソリを使っていますか?
髭剃りは、成人男性、
それもスーツスタイルのサラリーマンならほぼ毎日行っている動作です。
しかし、スーツや靴そのものが注目され、ブラッシングや靴磨きが注目されないのと同様に、
髭を剃った状態であるかどうかのみ注目され、
「剃ること」「剃り方」についてはあまり注目されません。
そこで今回は、自分に合ったヒゲソリの見つけ方を考えるべく、
その道具や道具の使い方にはどの様な物があって、
それぞれどんなメリット/デメリットがあるのかを中心に考えます。
1.髭剃りの道具には何がある?
まずは、髭の剃り方にはどの様な方法があるのか、洗い出してみましょう。
主力方法としては、以下の通りです
- 電気シェーバー
- T字カミソリ
- カミソリ(西洋カミソリ、日本カミソリ)
- 毛抜き
このうち「カミソリ」と「毛抜き」はあまり推奨されていません。
カミソリは、床屋で髭を剃って貰うときに使うアレです。
これがおすすめされない理由は、剃るためには一定の技術が必要な上、
あごの裏側など、自分自身では剃りづらい為です。
また、毛抜きを“剃り方”に含めるのも微妙ではあるのですが、
この方法は、肌を傷つける「埋没毛」を誘発するため、かなり危険な処理方法だと言えます。
(埋没毛は、髭を抜いた時に毛穴が傷つき、次に生えた毛が、外に出られずに発生します)
ということで、今回は電気シェーバーと、T字カミソリに選択肢を絞り、
考えていきます。
2.電気シェーバー? T字カミソリ?
それぞれを深く見る前に、まずは電気シェーバーとT字カミソリの特徴をおさらいしてみます。
- 電気シェーバー
○: 肌の負担が少ない、手間や時間がかからない、どこでも使える
×: 深ぞりしにくい、音がうるさい(一部方式)、初期投資が高い - T字カミソリ
○: 深ぞりしやすい、趣味性を高められる、初期投資が安い
×: 肌の負担が大きい、手間や時間がかかる、洗面所が必要、ランニングコストが高い
ご自身の注目するところ、無視しても良いところなどを当てはめながら、
電気派の方はT字カミソリを、T字派の方は電気シェーバーの利用を検討してみて下さい。
3-1.電気シェーバーの種類と剃り方
シェーバーの種類
男性用電気シェーバーには、大まかに以下の3つの種類があります。
- 往復式
ブーンという音と振動で、日本では電気シェーバーの代表格といっていい方式。
パナソニック、ブラウンといった主要メーカーの主力品が、全てこれです。
日本で発売されているシェーバーの種類のうち、約8割弱がこの方式です。
○: 種類が多く選びやすい、短時間で剃れる
×: 音がうるさい、髭のカスが飛び散る、ヘッドが大型の物が多い - 回転式
シャリシャリという音と少ない振動で、海外ではメジャーなのに日本ではマイナーな方式。
主力品ではフィリップスのみ。携帯用としてはその他のメーカーも発売しています。
日本で発売されているシェーバーの種類のうち、約2割がこの方式です。
○: 静か、肌に優しい、刃が長持ち(往復式の倍以上)
×: 往復式より時間がかかる、剃るのに慣れが必要 - ロータリー(輪転)式
現在発売しているのは日立の4機種のみ(生産終了品をのぞく)。
ネットの評判を見る限り、良い評価と悪い評価に二分されていますが、
どうやら慣れないと出血することがあり、それが一因のようです。
○: 短時間で剃れる、静か
×: 種類が少ない、替え刃が高い、メンテナンスが面倒(注油など)
この中で、私は往復式でパナソニック2台、ブラウン2台を、
回転式でフィリップス3台を使ってきました。(常に2~3台を並行して使っています)
剃り方の種類
次に、剃り方(使い方)の分類をします。
- そのまま
何もせず、電気シェーバーを使う方法です。
○: コストが安い、手軽
×: 肌への負担が大きい、深ぞりできない - プレシェーブローションの利用
事前に滑りをよくする化粧液を塗布し、剃る方法です(但し、剃るときは乾燥させてから)。
○: 比較的手軽、シェーバーの滑りがよい、ある程度深ぞりできる
×: まれに肌が荒れたり体質によって避ける必要がある(エタノールが含まれるため) - シェービングフォームやジェルの利用(ウェット剃り)
T字カミソリと同様に剃る方法です。一部(主に主力機)の電気シェーバーで対応しています。
○: 深ぞりが可能、肌の負担が小さい
×: 時間がかかる、使用後のシェーバーの手入れが面倒(洗浄/注油が必要など)
プレシェーブローション(資生堂 ウーノ)の例
液体の物と、ジェル状の物が有る
肌にのばすとエタノールが揮発して、粉状になる
3-2.電気シェーバーの種類と剃り方を選ぶ
シェーバーを選ぶ
朝時間がない方は往復式(かロータリー式)をお薦めします。
これは、回転式の場合慣れた人でも最低で5分、人によっては10分以上かかるからです。
肌が弱い方には、回転式をお薦めします。
回転式は強引に毛を引っ張ったりすることが少なく、
また、仕組み上、刃が常に研がれた状態になるため、”なまくら”による肌への被害が少ないからです。
上記2点を中心に選ぶとスッキリすると思います。
ネット上では、回転式は深ぞりが出来ない、髭の濃い人は往復式がよい等の情報もありましたが、
回転式は深ぞりが出来ないのでは無く、深ぞりするのに時間がかかる、というのが正しいです。
また、髭の濃い人について、たしかに新品の刃の時は往復式の方が良いのですが、
使い続けていくと、常に刃が研がれる回転式の方が相対的に良くなるため、こちらも好みの問題です。
剃り方を選ぶ
まず「いまそのまま剃っている」と言う方には、
エタノールが苦手な方を除いて、ぜひプレシェーブローションの利用をお勧めします。
肌への負担が、格段に減るからです。
特に、ドライシェーブ(水で濡らさないで剃る方法。前項の1番と2番が該当)で
深ぞりをするためには必須です。
また、何もつけないよりも早く剃ることが出来ます。
次に、朝シャワーを浴びることが多い方などは、
シェービングフォームやジェルを使った、いわゆるウェット剃りをお薦めします。
おそらく、一番肌の負担が少なく、かつ、深ぞりが出来るでしょう。
ただし、お使いのシェーバーがウェット剃りに対応している事が必要です。
また、シェービングフォームやジェルを利用した場合の、
所定のメンテナンス方法を取扱説明書などで確認してください。
お薦めの種類、剃り方は?
参考までに私が採用している組み合わせは、
・忙しいとき → 往復式 + プレシェーブローション
・時間に余裕があるとき → 回転式 + シェービングフォーム or プレシェーブローション
です。 特に後者の(プレシェーブローションの)組み合わせを常用しています。
メーカーについては、回転式はフィリップス一択、
往復式はかつてはブラウン派だったのですが、現在では性能の向上でパナソニック派です。
いずれも自動洗浄装置がついていますが、
フィリップスのみ、薬液にエタノールが含まれておらず、
コストパフォーマンスが高い印象です。
4-1.T字カミソリの種類と剃り方
T字カミソリの種類
- 両刃カミソリ
一枚刃なのですが、安価なプラスチック製製品の1枚刃ではなく、
いわゆる安全カミソリを装着するタイプの一枚刃です。(下のイラスト参照)
高価なグルーミングセットなどの多くはこの方式です。
○: 替え刃が安価、深ぞりできる、高級感がある(趣味性が高い品がある)
×: 上手く剃るために慣れが必要、剃るのに時間がかかる、取扱店が少ない
- 多枚刃カミソリ
2枚刃~5枚刃のものまで存在します。
日本でT字カミソリと行ったらほぼこのタイプです。
3枚刃までは深ぞりを、4枚刃以上は肌への負担軽減が謳われることが多いようです。
○: 剃るのが早い、種類が多い、(両刃にくらべ)肌の負担が小さい
×: ランニングコストが高い(替え刃が高価、交換頻度が高い)
剃り方の種類
- 何もつけない(あるいは水のみ)
流石にやっている人はいないと思いますが、肌への負担を考えると絶対に止めるべきです。
○: 剃毛後に顔を洗わなくて良い
×: カミソリ負けする、時間がかかる - 石けん
昔ながらの、普通の石けんを泡立て潤滑剤とする方法です。
○: コストが安い、刃の手入れが楽
×: 肌荒れしやすい、カミソリ負けしやすい - シェービングフォーム
スプレー缶などから泡や、泡になるジェルを出して、これで剃る方法です。
なお、シェービング専用と称している石けんを使う場合も本項と同様です。
○: 肌への負担が少ない、手軽
×: 剃る部位の確認をしづらい - シェービングジェル
最近主流になりつつある方法で、ジェルを潤滑剤として剃る方法です。
○: 剃る部位を確認しやすい、手軽
×: 刃の手入れが面倒、剃っている最中にジェルが乾燥しやすい
4-2.T字カミソリの種類と剃り方を選ぶ
正直、無難な選択は3枚刃~5枚刃を選ぶことだと思います。
そのなかで、ランニングコストを考えると3枚刃が一番です。
一方、趣味性を考えると両刃も視野に入れることになります。
一度購入してしまえば、ランニングコストは多枚刃よりも安いのは嬉しいところです。
そして、剃り方はシェービングフォームかジェルを、
両刃で趣味性を重視するのであれば、シェービング専用の石けんを使うのがお薦めです。
順ぞりと逆ぞりについて
本稿での「剃り方」は何を使って剃るか、という意味ですが、
T字カミソリを使う場合、もう一つの剃り方、カミソリを走らせる方向が重要になります。
髭の生えている方向に剃ることを「順ぞり」、その逆を「逆ぞり」と言いますが、
一般に、
順ぞり: 肌への負担は優しいが、深ぞりが出来ない
逆ぞり: 肌への負担は大きいが、深ぞりが出来る
とされています。
床屋などに訊くと、順ぞりをしてから逆ぞりをするのが一番とのことでした。
逆ぞりで肌を傷める原因が、刃が毛を持ち上げすぎてしまい、皮膚まで切ってしまうからで、
順ぞりをした後、毛が短くなってからだと、持ち上げすぎがなくなり、負担が減るとのこと。
如何でしたでしょうか。
私個人としては、「回転式+プレシェーブローションの利用」の組み合わせがおすすめです。
T字カミソリも良いのですが、皮膚に負担がかかる点、剃る場所が限られる点がマイナスでした。
さて、今回は文字数が多くなった関係で、あくまで概説的な話にとどめ、
具体的な機種名の紹介や解説を敢えて避けましたが、今後、具体的な製品のレビュー記事を、
シェービング/グルーミングに関するエントリーとして追加して行ければよいなと考えています。
男性は思春期を迎えてから死ぬまで、特にサラリーマンは毎日髭剃りとつきあうわけで、
ヒゲソリを「面倒な朝の一手間」から、趣味性の高い「朝の儀式」にしてしまえば、
毎日がいまよりももっと、良い気分で始められるかも知れませんね。
それでは。