考察

ノーネクタイでの、シャツ襟の型を考える

投稿日:令和5年(2023) 6月3日 

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すっかり定着した夏のノーネクタイ姿ですが、襟が潰れる、だらしなく感じるなど、イマイチしっくりこないという方もいるのではないでしょうか。

理由は色々あると思いますが、もし、「普段着ているシャツのボタンを外しただけ」であれば、イマイチさはそれが原因かも知れません。

ノーネクタイ用のシャツ、特に今回はシャツ襟について、私の経験も交えながら考えてみたいと思います。

1.シャツ襟選択の重要性

ジャケットの有無に関わらず、シャツの襟は着る者の印象に大きな影響を与えます。なぜなら、人々はまず相手の顔に注目するもので、顔に最も近い衣類の部分はシャツの襟であるからです。

そのため、まずは襟が皺だらけになったり、汚れて清潔さを損なったりしていないかを確認しましょう。(ただし、カジュアルなシーンで皺が特徴的なリネンシャツを着こなす場合はこの限りではありません。)

 

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△ 寝たり、ジャケット襟に隠れてしまった状態

その上で、襟がどのように見えるかを考えてみます。羽根が不自然に寝てしまったり、ジャケットの下襟に隠れてしまうことは避けたいですよね。

シャツの襟はあなたの顔を引き立て、全体のスタイルを整える役割を持つため、襟型の選び方はとても重要なポイントです。

 

2.ボタンダウン V.S. ホリゾンタル

タイドアップを前提としたシャツは、先述したとおり「襟羽根が不自然に寝たり、ジャケットの中に入り込んだり」しやすいという問題があります。

そこで、もっともポピュラーな方法は、「ボタンダウンカラーにして襟を立たせる」か、「ホリゾンタルカラーにして寝てしまっても綺麗に見せる」の2つでしょう。

ボタンダウン

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ボタンダウンカラーは、襟の先端をボタンでシャツに固定する襟型です。もともとポロ競技で襟が顔に当たらないようにという実用的な理由から生まれ、その後カジュアルシャツの定番になりました。

この「襟が強制的に立つ」というのが、ノーネクタイではとても重要で、いつでも襟が整った状態を保つことができます。

一方で、その出自やボタンが余計についているという見た目から、ボタンダウンカラーはややカジュアルな印象を与えます。したがって、個人的にはタイドアップ時で畏まったシーンには着用することは避けています。(私個人は、ほとんどノーネクタイ専用として揃えています。)

カジュアルさが気になるという方は、襟羽根を長くするとドレッシーに見えるので、参考にして下さい。

なお、襟が二重になっていたり、派手な色のボタンやステッチがついている製品も多いですが、上質で自身の体に合った、プレーンなものが一番だと思います。

ホリゾンタル

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ホリゾンタルカラーは、襟の先端が水平に広がって見えるほど、開きの広い襟型です。シャツの開口部がエレガントに開き、ノーネクタイ時でも整った印象を与えます。

ボタンダウンカラーが襟を強制的に立たせるのに対し、ホリゾンタルカラーは寝てしまっても綺麗にみえるのが特徴です。また、ネクタイを結び、ドレスアップするとかなり豪華な印象になります(弔事には向かないですが、慶事には良さそうです。)

一方で、個人的にはジャケットとの相性は(悪い意味の)微妙だと思っています。というのも、後述する第2ボタンの位置によっては、やはり襟羽根がジャケットの中に隠れてしまい、なんとなくだらしない印象になるからです。オーダーシャツ等で、厚手の生地にしたり、芯地の硬さを工夫すれば巻き込まれにくくなりますが、それでも限界はあります。

ということで、私の中ではボタンダウンカラーが第一選択になっています。

 

3.まだある「襟がだらしなく見えない」tips

実は、ボタンダウンとホリゾンタル以外にも、襟がだらしなく見えないための方法はあります。以下ご紹介します。

スナップダウン

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スナップダウンカラーは、ボタンダウンカラーの一種で、襟の先端にスナップボタンを使用する襟型です。このスナップボタンが襟羽根をシャツに固定し、だらしなく見えるのを防ぎます

ボタンダウンカラーとの最大の違いは、「ボタンダウンに見えないこと」です。つまり、タイドアップしてもカジュアルに見えませんし、そのままネクタイを外してもシャツ襟が立ったままになるのです。

デメリットは、既製品が少ないことで、気に入ったサイズや生地の物を入手したいのであれば、オーダーしてしまうのが一番手っ取り早いでしょう。

詳細は過去に記事を書いていますので、興味がありましたら参照してください。

特殊なカラーキーパー

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カラーキーパーとは、襟の裏に入れる、襟の形状を保つための小さなプラスチックや金属製の板こと(カラーステファネス、カラーステイなどとも言います)。

この板を延長したり、磁力を使ったりと、襟先を固定する面白いギミックを有し、扱いは難しいですがノーネクタイ時でも襟が潰れにくく、綺麗に見せることができるものがあります。

具体例としては、過去には↓のような製品をレビューしています。

また、昨日他記事のコメントで、↓のような製品をご紹介いただきました。リョウ様ありがとうございます。(ただし、小型のネオジム磁石を利用しているため、自宅に乳幼児がいる方は採用が難しいかも知れません……。)

第2ボタンの位置を上げる

ノーネクタイスタイルでのシャツ選びにおいて、襟の形状やデザインはもちろん重要ですが、見落とされがちなのが襟の開き具合で、これを決めるのが「第2ボタンの位置」です。

ノーネクタイスタイルでは、通常、第1ボタン(最上部のボタン)を開けることが多いですよね。そうすると、シャツの襟は当然第2ボタンで止めることになります。その時に、第2ボタンの位置が低いと、首元が大きく開いてしまい、だらしない印象を与えます。

逆に、第2ボタンの位置を適度に上げることで、首元の開きが小さくなり、またアンダーシャツが見えづらくなるため、清潔感を出す事ができます。

しかも、襟羽根が引き寄せられるため、襟自体潰れにくくなり、シャツ全体のバランスも保たれます。

以前は第2ボタンの位置を上げるよう指示してオーダーするしかありませんでしたが、最近は既製品でもノーネクタイ用に第2ボタンの位置を上げた製品が出ているようです。

(番外)開襟シャツ

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開襟シャツは、襟先が大きく開き、ノーネクタイを前提としたスタイルです。かつての日本では最もポピュラーな夏の襟型でしたが、現在では余り見かけなくなりました。

正直、現代のビジネスシーンでは絶滅危惧種でかなり目立つことが想定されてるため、必ずしもこれを推奨できないところはありますが、個人的にはもっと見直されてもよい襟型だと思っています……。

 

最後に

本記事は、読者の方から戴いた質問を元に、私の経験や好みから書いたものです。shiroさん、ありがとうございます。

ホリゾンタルやエクストラワイドを好んでお召しだが、カラーステイが押し戻されてお困りとのご質問でしたが、第2ボタンの位置を上げたり、スナップボタンを試されると良いのでは? と思います。

いずれもオーダーになってしまいそうですが、綺麗に纏まりそうな気がします。

 

 

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