考察

ボタンダウン的なのにフォーマルに使える? スナップダウンシャツを考える

投稿日:平成29年(2017) 10月29日  更新日:令和3年(2021) 2月28日 

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前回の記事で、スナップダウンシャツについて言及したところ、もう少し詳しく聞きたいとのメッセージを読者から戴きました。

実は、丁度先週、新しいスナップダウンシャツが出来上がったので、この機会に取り上げてみようと思います。

1.「ボタンダウンシャツはビジネスで使えるか」問題

まずは、なぜわざわざマイナーなスナップダウンシャツをテーマに挙げたのかを、ボタンダウンシャツのビジネスNG問題を通してご紹介します。

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畏まった場でボタンダウンシャツはNG?

最近、企業のビジネスマナー講座では、ファッションにも言及する事が多くなりました(私の勤務先だけ?)。

この中では、「業界によっては、ビジネスシーンでボタンダウンシャツは避けた方が良い」というアドバイスがされることもあるようです。

一方で、ボタンダウンシャツはネクタイを外した際に襟が綺麗に見えるため、実際には多くのサラリーマンが重宝しているのでは無いでしょうか。

スポーティ/カジュアル寄りなのは確か

本当に、ビジネスの場でNGなのかですが、私の中では下記の整理です。

  • ボタンダウンカラーは、出自がスポーツ用途とされ、見た目にもカジュアルな装飾であり、畏まったシーンには不適
  • しかし、現実のビジネス現場での利用は少なくなく、世の中の認識では「ビジネスシーン全てでNG」では無い
  • とはいえ、まだまだ重めのシーン――例えば、大事な商談、謝罪対応、冠婚葬祭などには向かないと感じる
  • また、敢えてクラシカルな印象を持たせる為に着ることが多い三つ揃い(スリーピース)との相性も悪い
  • 一方、週末のジャケパンや、ネクタイを外すシーンがある場合は、ボタンダウンの相性が良い

本題から外れるため、箇条書きのみとしますが、個人的にはこんな考えです。

(参考)結婚式にボタンダウンシャツはあり?

以前、一度記事にしたことがあります。宜しければご覧下さい。

襟を固定したい!

これだけビジネスの場にボタンダウンシャツが浸透したのは、(特にIVYに縁の無い若手は)やはりクールビズの影響が大きいと感じています。

ボタンダウンカラーなら、ネクタイがあっても無くても、襟を綺麗に固定でき、だらしなく見えないからです。私も実際に、スーツ量販店でもそのように宣伝を受けたことがあります。

そんな中、「普通の襟を、ボタンを使わずに固定してしまえば良いのでは?」ということが出来るのが、スナップダウンカラーです。

 

2.スナップダウンカラーとは?

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スナップダウンカラーとは、文字通り、スナップ(凹凸を押し合わせて固定する留め具)が仕込まれた衿型を言います。

以前はビスポークシャツ(オーダーメイドシャツ)くらいでしか見かけませんでしたが、最近は少しずつですが既製品にも出回るようになってきました。

未だ少数派

とはいえ、このスナップダウンカラーは、シャツのビスポークが出来る店でも工場が対応していなかったり、注文するときに見せられる「衿型一覧」には乗っていなかったり、レギュラーカラーにしか対応していなかったりと、まだまだマイナーな衿型です。

個人的には、もう少し普及しても良いのでは? と思うのですが……。

外観

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こちらがワイドカラーをスナップダウンカラー仕様にしたものです。 First Experienceで注文しました。

実は、同店でもほぼ裏メニュー扱いで、普通に注文を進めても、画面上にこのオプションは現れません。

別途、オプションとして別の画面からオーダーを入れ、一緒に決済する必要があります(手間なのであまり対応したくないのでしょうか……^^;)。

 

3.ネクタイを結んだ様子

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まずは、ネクタイを結んだ様子から。

ワイドカラーですので、全く違和感はありません。よく見なければ――いや、よく見てもスナップダウンシャツには見えないと思います。

ウエストコートにシャツ襟が乗っかるのを回避出来る

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もちろん、ウェストコート単体でも違和感はありません。

むしろ、「ウェストコートの上に、シャツの襟が乗っかったままになる」という格好悪い事態を回避出来る、有能な仕様です。

 

4.ネクタイを外した様子

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これも、外からは殆どスナップが見えません。

 

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かなりズームしても、同じ。

通常のワイドカラーシャツは、ちょっと動くとシャツカラーがジャケットの襟に潜ってしまうのですが、留めてあるので当然このままです。

 

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ちなみに、普通のワイドカラーはこんな感じで潜り込みます……。

 

5.スナップダウンカラーの欠点

良いことずくめの様に見えるスナップダウンシャツですが、気をつけておくべき点――要は欠点もあります。

今のところ、私が認識しているのは以下の通りです。

① 薄い生地のシャツや硬いエリには向かない

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シャツの襟先から、フロントにかけて薄く皺が入っているのが分かりますか?

これは、シャツ襟がスナップ経由で生地を引っ張ったために出来ているシワです。

この現象は、引っ張られやすい薄手の生地や、引っ張り強度が強くなる硬い襟芯を使うと起きやすいです。

② 若干浮く

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分かりやすい様、フラッシュを直射してみました。この様に、スナップの厚み分、段差になります。

とはいえ、フラッシュを直射しないと分からない程度で、かつジャケットやウエストコートに隠れるので殆ど問題になりませんが……。

なお、スナップではなく、ボタン留めのヒドゥンボタン(タブダウン)仕様のものはもっと浮きます。

③ 追加料金がかかる事が多い

ボタンダウンは基本料金に含まれることが多いですが、スナップダウンはあまり選ばれない仕様だからか、追加料金を取られることが多いように感じます。

今回注文したFirst Experienceでも、通常は540円(税込)の有料オプションになっています。

④ クリーニング業者を選ぶ

スナップごとプレスしたときに、スナップの形がシャツに残ってしまう事があります。

格安業者に多いと感じます。

 

6.おわりに

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もっと一般的なオプションになってほしい

スナップダウンシャツは、ボタンダウンシャツの利便性と、フォーマルシーンにも十分耐えうる外観を持ち合わせています。

フォーマル性を確保しつつも、夏場のノーネクタイもだらしなくしたくないサラリーマンには、うってつけの衿型だと感じます。

この様な良さに溢れるスナップダウンカラーは、もう少しメジャーなオプションになっても良いのでは? と思います。

なお、スナップは単体で販売されているため、ボタン付けが出来る方であれば、後から自分で取り付けることも可能です。

ボタンダウンにはボタンダウンの良さも

誤解されないように書いておきますが、私はボタンダウンも好きです。

特に、スポーティな印象にしたいジャケパンスタイルでは、ボタンダウンシャツはかなり重要なアイテムです。

これは、「襟が留まるから」という理由よりは、「襟にボタンがついている見た目」と、「スポーツ用途だったという物語性」による、スポーティさの演出という点が大きいです。

従って、スポーティ/カジュアル用途におけるボタンダウンの地位を、スナップダウンが取って代わろうとしてもムリだろうと思います。

 

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