低金利時代の終焉が噂されているためか、はたまた住宅ローン控除制度の関係か、私の親族や会社の同僚が相次いで家を建てたり、リフォームしたりしています。みなさんは如何ですか?
直近で建てる計画が無くとも、いつかは……と思っている方も多いのではないでしょうか。
私は仕事上、建築士やデベロッパー関係者と会話することが多く、スーツやジャケットの収納についても(私の実益を兼ねて^^;)意見交換することがあります。
本日は、その中で出てきたTIPSを、私自身の経験も交えてご紹介します。(作り付けの収納を中心にお話しします。)
1.クローゼットは家具から「作り付け」へ
スーツやジャケパンの収納には、洋服ダンスやクローゼットといった独立した家具よりも、「作り付け収納」がおすすめです。
既製家具の問題
洋服ダンスを使っている方はあるあるだと思いますが、「ジャケットを吊している部分の下がデッドスペースになっている……」とか、家具を買うときも「柱までジャストサイズのタンスが無い……」とか、完璧な物を見つけるのは難しいものです。
このように、既製品の家具では、自分が必要とする衣類の種類/量に合わせた空間の確保が難しく、無駄な空間が生じやすいという問題があります。(スチールラックならある程度調整は出来ますが、見た目の問題もあります。そして、見た目の良いオーダー家具は値段がべらぼうに高く、手は出ない……)
また、一般的に洋服ダンスは狭く通気性が悪いため、カビや虫食いの原因になりやすく、さらに地震の際に家具が倒壊し、怪我や最悪の場合命を落とすリスクも。
作り付け収納のメリット
一方、作り付け収納は、柱から柱まで、壁全面を無駄なく収納にすることが出来、さらに自分の持っている衣類の量や種類に合わせて広さや間仕切りを自由に設計できます。湿気や結露対策として家具と壁の隙間を空ける必要もありません。
また、そもそも空間が大きいことで空気が移動しやすくカビが発生しづらい上、さらに24時間換気の換気計画にクローゼットを含めることで、通気性が飛躍的に向上します(排気口をクローゼットの中に作るなど)。
壁面を利用すれば、もっと空間を効率的に利用出来、さらに隣室との境に設置することで、防音効果も発揮するなど「一粒で二度美味しく」なります。
費用面は……?
新築の場合はもちろん、リフォームでも他の工事と一緒に発注することでかなり費用を抑えることが出来ます。使用する材料や広さによっても異なりますが、+10~15万円程度で造作の扉付き壁面クローゼットを作成できます。
オーダーの家具と比較をすると、かなり割安ですよね……。
2.ハンガーパイプは上下二段を活用する
普通の家具でも、作り付け収納でも、「上下二段」のハンガーパイプ活用をオススメします。
「上下二段」とは、一つのクローゼット内に二つの棒(パイプ)を設置してハンガーをかけられるようにする方法です。ジャケット類は、上下二段にかけられるようにすることで、空間を2倍有効利用出来ます。
また、コーディネート上も、「上段にスーツの上着、下段にジャケットの上着」「上段に春物、下段に夏物」など、瞬時に見分けられる工夫にも繋がります。(左側、右側だと、いつのまにかミックスされてしまいます。……私だけ?)
ただし、全てを二段にするとオーバーコートを掛けられなくなるので、一部は一段を残しておきます。
3.奥行き90cm、75cmは広すぎる
営業担当者や工務店によっては、作り付け収納を奥行き約90cm、そこまで行かずとも約75cmを提示してくるところがあります。和室の「押し入れ」だったらこの奥行きで良いのですが、クローゼットの場合は広すぎます。
何も入っていない状況だと奥まで広く使えて便利そうに見えますが、実際にジャケットを掛けてしまうと、クローゼットの奥は暗くなって、かつ手前のジャケットが邪魔をして取りづらくなり、有効活用は困難です。
したがって、標準的なジャケットの肩幅45cm+両腕4cm+遊び6cmの約60cmで十分です。
4.「憧れののウォークイン」には無駄が多い
憧れの収納として、「ウォークインクローゼット」を思い浮かべる方も多いでしょう。
ウォークインクローゼットは、部屋の一部を仕切るか、部屋そのものを収納とした空間で、中に入って歩き回れるほど広いものです。
ウォークインクローゼットは、見た目は豪華な一方、無駄が多いというデメリットもあります。具体的には、
- 収納効率が悪く、総収納量を減らしてしまう
- 衣類以外の物も入れがちになり、整理しづらくなる
- 照明や別途の換気計画などの設備費用がかかる
といったところです。
もちろん、家づくりはファッションと同様、「自分の好み」や「憧れ」も重要で、効率性ばかりを追求していては面白くありません。また、土地や資金に余裕がある方は問題無いでしょう。(うらやましい。)
しかし、都心部など敷地面積が狭い場所への建築や、広い家になってしまう事によるライフプランへの影響を考えると、効率性もある程度考える事が必要です。
ウォークインクローゼットについて興味がある方は、以前記事にしていますので、そちらをご覧下さい。
5.クローゼットの中は、ビニールクロスではなく紙クロスや板材で
作り付けの収納は、内装材料も重要です。内装材料とは、クローゼットの内側(壁面や床面)に貼られている素材のこと。この素材が、衣類への影響や清掃性などに関わってくるためです 。
一般的に、住居内の壁や天井に使われているのは「ビニールクロス」という素材で、同一の素材をそのままクローゼットの内装に使うパターンが多いです。
しかし、このビニールクロスは、透湿性が悪くカビやすかったり、静電気を発生させやすかったりと、あまり収納向きではありません。
そこで、クローゼットの内装はビニールクロスではなく、「紙クロス」や「板材」をオススメします。
紙クロスや板材を使うと、ビニールクロスより若干値段が上がり、かつ防汚性能は下がりますが、透湿性が高く、特に杉板は防カビ効果が高いため、オススメです。
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作り付け収納は、新築やリフォームでないと検討は難しいかも知れませんが、もしそういう機会が訪れた場合は、積極的に既存家具からの置き換えを検討してみてください。
私も従来は家具派でしたが、作り付けを使うようになってからは、考えが変わりました。部屋の模様替えが出来なくなるというデメリットも存在しますが、それを上回るメリットがあります。
みなさんの理想の収納はどんな物でしょうか?