皆さんは、どんなクローゼットを使っていますか?
高級賃貸や、注文住宅の仕様として最近増えているウォークインクローゼット。先日、親族の付き添いで複数のマンションギャラリーを巡ったのですが、驚いたことに、どこにいってもウォークインクローゼットが装備されていました。
今回は、最近流行のウォークインクローゼットが本当に良いのか、メリデメを考えた上で、私なりの結論を導いてみようと思います。また、デメリットの解消法も考えてみます。
1.ウォークインクローゼットとは
ウォークインクローゼットは、名前の通り、自分が中に入って(ウォークインして)使用するクローゼットです。図面にはWICなどとも表記されます。
衣装部屋との違い
従来、このような空間は衣装部屋と呼ばれていましたが、ウォークインクローゼットは着替えスペースが原則無く、広さも衣装部屋より狭いのが特徴です。(但し、厳密な定義はないそうです。)
衣装部屋が4畳半以上になることが多いのに対し、ウォークインクローゼットは1畳程度の物(良い悪いは別にして;後述)も存在します。
場所も、独立して作られるより、クローゼット同様に居室(特に寝室)に附属することが多いようです。
ウォークインのシューズクロークも登場
また、注文住宅の一軒家を中心に、靴やコート置き場として使う「ウォークインシューズクローク」も流行しています。
ウォークインクローゼットは、「衣装をたくさん収納できる夢の場所」として、営業担当者から説明されることも多いのですが、果たして本当なのでしょうか。
メリットとデメリットをフラットな視点で考えてみます。
2.ウォークインクローゼットのメリット
はじめに、ウォークインクローゼットのメリットについて、スーツやジャケットをたくさん持っているビジネスマンという前提で、考えてみます。
メリット①:服の管理が容易
「あの服、どこに入れたっけ?」という経験は無いでしょうか。
服をたくさん持っていて複数のクローゼットに収納が分かれている場合、普段から整理していないと、服をどこに仕舞ったかわからなくなることがあります。
また、いざ発見しても「これじゃなくあっちの方が良かったかも……」と、コーディネートに迷うと、クローゼットとクローゼットを行き来することに。
朝の慌ただしい時間にあっては、かなりのタイムロスに感じます。しかし、収納力の高いウォークインクローゼットであれば、一カ所で集中管理できるため、お目当ての服がどこにあるか一目でわかりますし、コーディネートの確認もその場で完結します。
メリット②:除湿や掃除が簡単
「クローゼットに除湿剤を入れたもののしっかり湿気が取れているかわからない」、「クローゼットにゴミや埃がたまってかび臭い」といった悩みは多いです。
しかし、ウォークインクローゼットなら、クローゼット内に電源を取って本格的な除湿機(除湿剤とは比べものにならないほど湿気が取れます)を置くことができますし、掃除機やロボット掃除機を入れてカビの原因になるホコリを掃除することも容易です。
(このとき、鞄や衣装ケースを床に直置きするのは、カビの原因になるのでNGです。掃除機のホースまたはロボット掃除機が入るくらいに床との隙間をとったスチールラックを並べ、その中に鞄や衣装ケースを入れるようにします。)
メリット③:大型の荷物も置ける
ウォークインクローゼットは、クローゼットに比べ、大型の荷物を容易に置くことができます。
たとえば、大型の鞄やスーツケースなど、置き場所に困る荷物も収納できるため、出張が多い方は便利だと思います。
また、メリットの①とも関連しますが、ウォークインクローゼットの奥や入り口に姿見を置くことで、鞄を含めたコーディネートも完結できます。(とはいえ、男性は鞄を取っ替え引っ替えするパターンは少ないため、女性向けのメリットかも知れません。)
3.ウォークインクローゼットのデメリット
続いて、ウォークインクローゼットのデメリットを見ていきます。
デメリット①:利用効率が悪い
ウォークインクローゼットは、通常のクローゼットに比べて空間の利用効率が下がります。
理由は、クローゼットの中に通路を作っているからです。
通常のクローゼットは、通路部分が居室と共用のため、無駄はありません。しかし、ウォークインクローゼットにすると、どうしても「ウォークイン部分」専用の無駄が出るのです。
デメリット解消案
まず、絶対に避けるべきは片側のみ収納があるタイプです。両側に収納を設置することで、「ウォークイン部分」の利用効率が2倍になるからです。
言い換えると、収納と通路合わせて1.5畳でもウォークインクローゼットは作れますが、両側に収納を作るとなると最低でも2畳以上は必要だと思います。
そして、「ウォーク”スルー”クローゼット」として、出入り口や廊下の機能と共用にすれば、さらに利用効率を上げることができます。(但し、衣装部屋的な特別感は無くなりますが……。)
要するに、ウォークインクローゼットは、狭い家に無理をして作るのには向かないのです。
デメリット②:カビの温床になりやすい
メリットの②で除湿しやすいと書きましたが、逆に意図的に除湿をしていないとカビの温床になります。
というのも、居室のクローゼットでしたら、人の出入りやエアコンで空気の流れはできていますし、ある程度の快適な湿度が保たれます。
しかし、ウォークインクローゼットの場合は、窓無しで出入り口が一カ所のケースが多く、換気が難しいですし、専用のエアコンが付くことも少ないからです。
デメリット解消案
解消案の一つは、コンセントを設置して除湿機やサーキュレーターを置く方法です。しかし、それよりもオススメなのが24時間換気の吸気口(ダクト式排気の場合は排気口)を設置することです。
そうすることで、ウォークインクローゼットに空気の流れができ、カビの発生を防ぐことができます。また、ダクト排気式の場合、排気口を床面に設置することで、服から発生するホコリを集塵する効果も得られます。(ただし、フィルターはしっかり定期的に掃除する必要があります。)
デメリット③:自分の自由がきかなくなる
クローゼットの場合、多くは居室にそれぞれ設置します。しかし、ウォークインクローゼットは、よほど大きな家で無い限り、全ての居室に付けることは不可能です。
したがって、ウォークインクローゼットはファミリークローゼットと言い換えられることもあるとおり、家族と共用になることが多い、いわば「共用クローゼット」なのです。
そして、御家族をお持ちの場合、共用のクローゼットは家族内で陣取り合戦が起きやすいのです。
また、きれい好きの御家族の場合、自分が必要とする水準以上に整理整頓が求められるかも知れませんし、逆にご自身がきれい好きの場合、家族の乱雑に置かれた荷物がストレスになるかも知れません。
デメリット解消案
例えば左側は自分、右側は家族用などと予め使用する領域を分けるか、自分専用のウォークインクローゼットが設置できる広いお家を見つけるしか解消法はありません……。
4.自分なりの結論
私自身の結論としては、郊外の広い家に住み、一カ所でワードローブを管理したいのであればウォークインクローゼットはアリだと考えます。
一方で、都心部など住宅の面積が限られる環境の場合は、普通のクローゼットを採用した方が、面積を有効活用できるので良いでしょう。特にコスパを重視する方はこちらです。
* * *
みなさんのご家庭にはウォークインクローゼットはありますか?
もし、ウォークインクローゼット良いよ! とか、ここがイマイチだった……というご意見がありましたら、是非コメント欄から教えてください。