ビスポーク(オーダースーツ)

オーダースーツ、おすすめのオプション5選

投稿日:令和3年(2021) 1月17日 

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オーダースーツについての記事をアップしたところ、コメントやメッセージを多数戴きました。ありがとうございます。

記事の中でオプションについて触れたところ、「オススメのオプションがあったら教えて欲しい」というものがありました。そこで本日は、私がスーツを注文するとき、つけることが多いオプションを5つご紹介したいと思います。

はじめに

オーダースーツの「オプション」とは

オーダースーツのオプションとは、注文者が好みで選ぶ、標準とは異なる仕様のことです。

スーツの拡張性、オリジナリティや快適性を上げる重要な項目である一方、追加料金がかかることもあります。(本記事で取り上げるオプションは、特にイージーオーダーの場合有料なことが多いです。)

付けすぎ注意

そして、オプションは、最初からあれもこれもと付けていると、どんどんと価格がつり上がっていきます。(仕立て工場の貴重な収益源でもあります。)

したがって、高級生地と同様、1着目からガンガン選ばず、ある程度納得がいくスーツが出来上がってから選ぶと良いでしょう。

 

1.キュプラ裏地

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スーツには、外側を覆う表地に加え、着用時に滑りを良くするための裏地があります。

その裏地を「キュプラ」(又はベンベルグと表記)に変えることで、快適性を上げることができます。

だいたい、通常の裏地に+2,000円程度か、無料で選べるでしょう。

メリット1:静電気が発生しづらくなる

安いものを中心として、スーツの裏地にはポリエステルが多く使われます。しかし、ポリエステルは帯電しやすいというデメリットがあります。

一方、キュプラは帯電しにくいため、静電気が苦手な方には本当にオススメです。

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特に、スリーピース好きの方にはオススメです。というのも、ベスト(ウェストコート)は背中にスーツの裏地を使うため、椅子の生地とスレることで帯電し易いためです。

メリット2:吸湿性が高い

キュプラは、コットンから作られる再生繊維で、ポリエステルに比べて吸湿性が高く、汗をかく季節も快適に過ごせます。

「キュプラってどうせ化学繊維で、ポリエステルと似たり寄ったりでしょ?」と言う声がありそうですが、化学繊維は、主に石油系を原材料とする合成繊維と、天然繊維を原材料とする再生繊維の2種類あり(下図)、キュプラ等の再生繊維は比較的快適な着心地であることが多いです。

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メリット3:肌触りや滑り心地が良い

これは私個人の感覚かもしれませんが、ポリエステルに比べてキュプラの方が肌触りが良く、袖を通したり、背もたれに寄りかかったりした際に快適です。

デメリット

一方でデメリットもあります。

種類が少ない

まず、キュプラ100%の生地から選ぶ場合、ポリエステルに比べて種類が少なく、デザイン面で苦労するかも知れません。もちろん店によって異なりますが、好みの生地だと思ったらポリエステルだった……というのは、よくある話です。

耐久性が低い

劇的に弱いわけではありませんが、キュプラはポリエステルに比べて耐久性が劣ります。

とはいえ、10年着ているキュプラ裏地のスーツを持っていますが、今のところスリ切れは発生していません。

 

2.ベスト(ウェストコート)

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今流行しているとは言え、既製品では、ベスト(ウェストコート)付きのスーツは限定されます。しかし、オーダーならば簡単にスーツにウェストコートを追加することができます。

メリット1:見栄えが良くなる

オーダースーツにはウェストコートを付けることで、スーツに特別感を出せます。

ウェストコートのサイズ合わせがシビアです。そのため、既製品のウェストコートはサイズが合わず、だらしなく見える事が多いです。しかし、オーダーであればピッタリ体にフィットしたウェストコートになるため、仕立ての良さが際立つのです。

メリット2:ジャケットを気軽に脱げる

スーツの世界では、シャツは下着と同等と見なされるため、ジャケットを脱ぐことは失礼に当たります。(最近ではその考えも古くなってきましたが、原則的にそういうルールであり、そういう見方をする人がいる、ということは覚えておいて損はありません。)

しかし、ウェストコートを着ていれば、シャツ一枚にならず、ジャケットを気軽に脱ぐことができます。

実は私も半分はこの理由で三つ揃いを好んでいます。重ね着のようですが、ジャケットを気軽に脱げるという、むしろ暑がりの人にお勧めのオプションです。

メリット3:コート要らずで温かい、ズボン吊りが気軽に使えて綺麗に見える等々

その他にも、ズボン吊り(サスペンダー)が気軽に使えて綺麗に見えるなどのメリットがありますが、文字数の関係で割愛します。詳しくは以下の記事をご覧下さい。

デメリット:金額と納期

気に食わなければ着なければ良いだけですので、このオプションを選ぶことでスーツ本体への影響はありません。

ということで、主なデメリットは金額と納期です。

値が張る

テーラーによって異なりますが、イージーオーダーの場合、だいたい上下の20%くらいでウェストコートを仕立ててくれることが多いようです。

つまり、5万円のスーツであれば1万円で、10万円ならば2万円をプラスすれば作れるわけです。

私はメリットの方が大きいと感じており、ほとんど全てのスーツでウェストコートを付けています。

納期

最近はスリーピースが人気で、このオプションをつけることで納期が長くなることがあるそう。

とはいえ、伸びても1~2週間ですから、気長に待ちましょう。

 

3.本切羽

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本切羽とは、袖のボタンが飾りでは無く、止め外しが出来る仕様のことです。

一時期、「本切羽は高級スーツの証し」などと雑誌でもてはやされましたが、今では既製品を含む多くのスーツで見られるディテールで、差別化要素にはなりづらいです。しかし、以下のメリットがあります。

メリット1:見栄えが良くなる

本当の穴を開けることで、袖口のボタン穴がしっかり見えるため、袖口がポイントとして強調され、見栄えが良くなります。これはツルツルとした生地で顕著です。

もちろん、フルオーダー等で採用されることの多い手かがりの方が綺麗に見えますが、機械で開けたボタンホールであっても、十分印象が良くなります。

メリット2:腕まくりが出来る

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これは夏場のジャケットにオススメですが、タンをいくつか開けて袖まくりをすることで、涼しげに見えますし、なにより本当に涼しくなります。

(逆に、袖まくりもしないのに、「本切羽は高級スーツの証し」と、高級スーツであることを見せつけるために、ボタンをあえて開けておくのは、これ見よがしで、個人的には好みません。)

デメリット:袖丈が修正しづらくなる

一方、生地に穴(ボタンホール)を開けてしまうため、袖丈を修正しづらくなります。オーダースーツなので、修正するシーンはそうそう無いと思いますが。

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なお、冬場のジャケットなど、デザイン的にボタンホールが不要というパターンもあるため、是非テーラーと相談してみて下さい。

イージーオーダーの場合、3,000円から高くても5,000円で付けることが出来ますし、ラインによっては標準装備の場合もあります。

 

4.たばこポケット

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通称「たばこポケット」とは、ジャケットの内ポケットの下にあるポケットです。

その名の通りたばこを入れておくためのポケットですが、喫煙者が減った今、スマートフォンを入れておくのに役立ちます。

メリット:スマホを入れても見た目が悪くなりにくい

「内ポケットや外ポケットがあるじゃないか」という声が聞こえてきそうですが、他のポケットではなぜダメなのでしょうか。

まず、外ポケットは飾りの意味合いが大きく、見た目が悪くなるので物を入れることはオススメしません。

内ポケットも、外ポケットよりはマシですが、スーツの見せ所である胸の裏側にあるため、硬いスマートフォンをいれると、(特に胸が大きい方や、ゆとりが少ないジャケットなど)スマートフォンの形が見えるなど悪い影響があるためオススメしません。

一方、たばこポケットなら、体と密着しない位置にあるため、ジャケットのシルエットに影響を与えづらいのです。

こちらも、ラインによっては標準でついてきますし、無くても2,000円程度で追加出来ます。

もちろん、本当にシルエット重視なら、たばこポケットすらNGなのですが、そこは利便性と天秤に掛けて下さい。

デメリット

特にありません。

 

5.フラワーホールの手かがり

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最後はフラワーホールの手かがり(手縫い)です。

フラワーホールとは、ラペル(下襟)にあるボタンホールのことで、スーツが詰め襟だった名残です(第1ボタンの意匠)。

現代では社章などの徽章、名前の由来になったブートニア(披露宴などで用いる花飾り、ブートニエール。)その他のアクセサリーを付ける穴として用いられています。

メリット:上質なスーツに見せることが出来る

このボタンホールを手かがり(手縫い)にすることで、スーツの見た目をキリッとさせる効果があります。

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僅かな違いですが、手かがりのボタンホールは、写真の通り、かなりくっきりとした見た目になります。女性が目にアイラインを引くのと同じですね。

また、一番目につくボタンホールを手縫いにすることで、例え機械縫製のスーツだったとしても、手縫いのスーツっぽく見せる効果も^^;

相場はだいたい5,000円くらいですが、対応していない店も多いです。

デメリット

こちらも特に無いですね。

 

さいごに

冒頭に記載したとおり、オプションはあくまでオプション。良い生地、デザイン、採寸、縫製があった上でのオプションですから、まずは良い店を見つけて、完成度の高いオーダースーツにすることが先決です。

その上で、さらに見た目や着心地、そして愛着の湧くオーダースーツを作るために、オプションを活用すると良いと思います。

皆さんがオススメのオプションはありますか? よろしければコメントをお待ちしています。(いつもコメントを楽しみしています。ありがとうございます。)

 

 

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