皆さんはサスペンダー(ブレイシーズ、ズボン吊り)を使っていますか?
かつては、懐古趣味者や芸人しか使っていないイメージがありました。しかしここ数年、復権/流行の兆しがあります。実際、街中のオシャレなスーツ屋やセレクトショップでは、ショーウィンドーやレジ前でよく見かけるようになりましたし、職場でも若手の着用者に遭遇するケースがチラホラ……。
今回は、サスペンダー初心者の方向けに、見た目と機能面、2つの観点から、(多数派の)ベルトとの違いを解説します。
1.見た目の違い
まずは、サスペンダーが、見た目に及ぼす影響を見てみます。ベルトでズボンを着用する場合と、どの様な違いがあるのでしょうか。
スーツスタイルに幅が出る
元々、サスペンダーはベスト(ウェストコート)の下に着用するこめ、あまり露出するものではありませんでした。
しかし、近年はツーピース(ジャケット×ズボン)で着ることも多くなり、サスペンダーも露出するようになりました。そのため、サスペンダーそのものでオシャレを楽しむ方が増えた印象です。
例えば、カラフルな単色を差し色にしたり、柄が入ったものをアクセントに使ったりできます。
ベルトでも布やメッシュを使えばカラフルさを楽しめますが、材質的にあくまでもカジュアルです。サスペンダーは一部に革を使いますが、基本的には全体は布製ですので、きちっとさを維持したまま、「ハズシ」を楽しむことが出来ます。
悪目立ちに注意
ただし、ベルトに比べ、圧倒的に専有面積が広いため、やり過ぎには注意が必要です。特に、サスペンダーが芸人のアイコンに用いられることが多いため、奇抜すぎるものはビジネスにおいて場違いになることも。
悪目立ちする可能性が残る点は、サスペンダーのデメリットかもしれません。
ベストを使うならマスト
オーダースーツの人気が高まるにつれて、ベストの人気も高まっています。(スーツ着用者におけるスーツ好きの相対的増加、安いオーダースーツの一般化、などが影響していると思いますが、そのあたりの考察は別の機会に……。)
そんなベストを格好良く着こなす最大のポイントは、「いかにズボンとの連続性を保つか」。そして、連続性を保つために有効なのがサスペンダーというわけです。
一方、ベルトは、その連続性を壊してしまうアイテムでもあります。
以前、詳細に解説しましたが、ベストとズボンの間に隙間ができたり、ましてそこからシャツが出てしまうのはとても格好が悪く見えます。
ベルトはズボンのウエスト位置を腰骨の位置でしか保てないため、この格好悪い状況が簡単に生まれてしまいます。
その他にも、ズボンがずり落ちたり、ベルトやバックルがベストとズボンに断絶があることを主張したり、とにかくベスト=ズボンの連続性を壊してしまうのです。
ベストを着用する際は、是非サスペンダーを使ってみて下さい。
ズボンが綺麗に見える
ベストはズボンを垂直に吊ることが出来ます。
そのため、ズボンが綺麗に見える重要なポイントである、クリース(縦に走る折り目)やシルエットそのものを綺麗に出す事が出来ます。
もちろん、仕立てとサイズがしっかりしたズボンをベルトで着用しても綺麗に出ます。しかし、サスペンダーの方がワンランク綺麗に出ることが多いです。
というのも、ベルトはズボンの上部を腹(腰骨の上部分)に押さえつけることで止めるため、極端に言うと、ズボンが巾着袋のように上がすぼまってしまいます。
一方、サスペンダーであれば地面とほぼ垂直に吊る形になるため、ズボンのシルエットが綺麗に出る、と言うわけです。
2.機能面の違い
つづいて、機能面の違いを見てみます。サスペンダーを使ってズボンを履くと、ベルトとどの様な違いがあるのでしょうか。
ズボンのウエストサイズを(あまり)気にせず、かつ快適
ベルトを使ってズボンを履くと、実はサイズをかなりシビアに考える必要があります。
「え? ベルトはズボンのサイズを調節するために使うのでは?」と思っているなら、注意が必要です。
究極的には、ベルトは単なる飾りです。
というのも、大きすぎるサイズのズボンを、ベルトで締めて履くと、先述した「巾着袋」状態がより酷くなってしまうからです。
ですから、ベルトを使う場合、理想的には「ベルトを外してもズボンが落ちない状態」がベストです。
一方でサスペンダーを使う場合は、多少サイズが大きくても、履き口を巾着袋にしなくても落ちないため、シルエットに影響しません。
つまり、
- 会食で腹一杯食べたい(ズボンをタイトに作る必要が無いため)
- 礼服などたまにしか着ない服(ウェストサイズが変わることが多いため)
- スポーツをやっているなど、腹周りが頻繁に変わる
という場合、サスペンダーは大変活躍します。
もちろん、ズボンとシャツの隙間が分かるくらいブカブカ過ぎると格好が悪くなりますので、全く気にしなくて良いわけではありませんが……。
肩が凝りやすくなる
ここまではサスペンダーのポジティブな面が多かったですが、ネガティブな面もあります。1つは、ベルトと違って肩に影響し、肩こりに発展する可能性があることです。
サスペンダーは、ズボンの重みを肩で支えます。したがって、個人的な体感ですが肩が多少凝りやすくなるように思います。
特に、ズボンを持ち上げすぎると(サスペンダーの調整でテンションをかけ過ぎると)顕著ですので、ズボン毎にサスペンダーの長さをしっかり調整してあげる必要があります。
(私はこの調整が面倒なので、ズボンにサスペンダーを付けっぱなしにしています。ただしその場合は、ズボンの本数分のサスペンダーが必要になりますし、色柄を変えて遊ばない前提になります。)
ベスト着用時、トイレ(大)が大変に
もう一つデメリットを。
さきほど、ベスト着用時にサスペンダーがオススメと書きました。しかし、その場合、機能面のデメリットが発生します。
それは、トイレ(大)で一々ベストを脱がないといけなくなる、というものです。
サスペンダーは、ベスト非着用時であれば、肩からバンドを下げ外すだけなので、むしろベルトよりも簡単にズボンを下ろすことができます。
しかし、ベストを着用していると、サスペンダーの上にベストを着用する関係で、ベストを一度脱ぐ必要が出てくるのです。
お腹が弱い方など、一刻も早くズボンを脱ぐ必要に迫られている際は、ヒヤヒヤするかも知れません^^;
3.まとめ
まとめます。
- 見た目の違い
- スーツスタイルに幅が出る(但し、悪目立ちに注意)
- ベストを使うならマスト
- ズボンが綺麗に見える
- 機能面の違い
- ズボンのウエストサイズを(あまり)気にしなくて良くなる
- 肩が凝りやすくなる
- ベスト着用時、トイレ(大)が大変に
こうしてみると、悪目立ちにさえ注意すれば、見た目上はベルトよりもサスペンダーにアドバンテージがあるように思います。特にスリーピーススーツを着る方には、サスペンダーを是非オススメしたいです。
一方、機能面はサイズ調整や着用の快適さでサスペンダーが大変有利ですが、肩こりやトイレのことは考慮に入れる必要がありそうです……。
私はサスペンダーを多用する派(ただし、ジャケパンには使いません。)なので、サスペンダー寄りの意見になってしまったかも知れません^^;
皆さんのご意見は如何でしょう?
サスペンダーが好きな方はもちろん、サスペンダーをやめた方、ベルトの方が良い派の方も、ぜひご意見お寄せ下さい。
また、サスペンダーを使う上での質問や疑問などもどうぞ。