スリーピース

【よくあるNG】ベストからシャツ、はみ出していませんか?

投稿日:平成30年(2018) 12月9日  更新日:令和3年(2021) 11月12日 

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昨今の英国調回帰ブームも手伝い、すっかりメジャーになったスリーピーススーツ(三つ揃い)。

愛用しているという方や、職場でよく見るようになったという方も多いことでしょう。

しかし、増えるスリーピース人口に比例して見かけるようになったのが、ウェストコート(ベスト)とトラウザーズ(ズボン)の間からシャツがだぼっとはみ出しているという着こなし。

これは本当にもったいなく、ぜひ解消すべき課題だと思います。そこで今回は、シャツがはみ出るメカニズムとその解決策について考えてみました。

1.不格好なシャツのはみ出しとは?

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まず、こちらの写真が普通の状態です。

ズボンとベストの間に、シャツは見えません。

 

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そして、ズボンやベストが短かったり、ズボンがずり落ちていたりすると、こんな感じでベルトやシャツが見えてしまいます。これが第1段階。

この時点でもNGなのですが……

 

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こんな感じにシャツが出てしまうのが第2段階です。

ベストによって上半身は綺麗に整えられていますが、腰からまるでティッシュペーパーの様にシャツがあふれ出ています。

腰部におけるシャツのあまり具合は、スーツ上下(ツーピース)の時と変わらないのに、ズボンとベストの連続面に出来た「亀裂」によってシャツが強調され、非常に不格好に見えてしまうのです。

意識して確認しないと分からない

こいつが厄介だと感じるのは、いつの間にかこうなっているところ。

たとえば、手で触れたり、洗面所の鏡で後ろ姿を見たりするなど、能動的に確認する必要があるのです。

 

2.シャツがはみ出す仕組み(私見)

どうすればはみ出さなくなるのかを考える前に、なぜはみ出すのかという理由について触れたいと思います。

いくつか理由があると思うのですが、私が考える一番の原因(というかメカニズム)は、「ズボンのポジション直し」によるはみ出しです。

トルソーを使って実験してみたいと思います。

(1)ズボンがずり下がる

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まず、ズボンのサイズが合っていない等を理由として、ズボンのウェスト位置が下がります。

当然、履いていて不快感がありますし、ズボン裾の見た目も悪くなるため、ベルトの部分を持ち上げながら直しますよね。

(2)シャツと一緒にズボンが持ち上がる

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ズボンを少し持ち上げるとこんな感じです。

一見隙間が埋まった様に思いますが、よく見るとシャツが少し溢れています。

これは、ズボンを持ち上げるときに、シャツも一緒に持ち上がってしまったからです。

(3)再度ズボンが下がる

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ズボンを持ち上げたところで、動くと再度ズボンは下がってしまいます。

このとき、先ほどズボンと共にずり上がったシャツも、一緒に下がっていけば良いのですが、往々にしてなってしまうのがこの状態。

つまり、ズボンは下がるがシャツは下がらない、というパターンです。

理由は不明ですが、シャツにおけるズボン側の摩擦よりも、体側の摩擦が大きいとなるのでしょうか。一方でズボンを持ち上げる際は、ズボンの前側を引っぱりながら上げがちなため、シャツをたくし上げてしまうのかも知れません。

(4)再度ズボンを上げる

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もう結果はおわかりかと思いますが、ずり落ちたズボンを再度上げるとこんな感じになります。

(番外)目立つベルト

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番外としてこんなのもあります。

先ほどは黒色だったためあまり目立ちませんでしたが、シャツの他にベルトも、ベストとズボンの連続面を壊してしまうアイテムです。

写真はシャツも出ているために”二重苦”状態になっていますが、色ベルトはたとえシャツが出ていなくても、ズボンが下がっていなくても、連続面を壊してしまうためスリーピースでは注意すべきアイテムだと思います。

 

それでは、いよいよ対策について考えていきます。

 

3.対策1)適正サイズのシャツを着る

一つ目は、適正サイズのシャツを着るということです。

適正サイズのシャツを着ることで、ズボンの上にシャツが余りにくくする効果があります。

腹回りにゆとりがありすぎないか

「適正」の一つは、なんといっても腹回りのサイズです。

シャツは通常、首のサイズを基準にして選びます。そして、良くてそれに加え袖丈のサイズが選べるくらいでしょう。

既製品のシャツは色々な人が着用できるように作られており、基本的にはゆとりが多めに取られています。

従って、標準体型周辺を含むそれより細い方の多くが、一般的なシャツを着用すると胴回りのゆとりが大きすぎて、シャツが溢れてしまいます。

スリムフィットやオーダーを選ぶ

実は、既製品でもゆとりを何段階か選べる製品が出てきています。例えば、レギュラーフィットとスリムフィットと2種類あれば、スリムフィットの方を試してみましょう。

また、そもそもシャツをオーダーすることで、自分の腹回りに適正なサイズのシャツを作ってしまうというのもアリです。

着丈は短すぎないか

もう一つの「適正」は、シャツの着丈です。

シャツの着丈なんて、ズボンに入ってしまえばどうでも良いのでは? と思われるかも知れませんが、結構重要な要素です。

短すぎると、ズボンをたくし上げたときに簡単にシャツが一緒に上がってしまいます。一方長すぎても、余った部分がそのままズボンとベストの間から出やすくなってしまいます。

お尻が隠れるくらいで

個人の好みや体型があるので一概には言えませんが、私の場合はお尻が隠れるくらいの長さが一番シャツがだぶつきにくくなると感じています。

そして、シャツの裾をきちんと手で引っ張って伸ばしてから、ズボンを履きましょう。

 

4.対策2)ズボンの腹回り・尻周りを適切サイズにする

そもそもズボンがずり下がらなければシャツが溢れる可能性は少なくなります。

ということで、ズボンのサイズを見直すことで対策になります。

腹回り、尻周りを確認する

今履いているズボンのゆとりを確認してみます。大体、ウエスト部分にてのひら1枚が入るくらいが適正と言われています。

また、ウェストサイズに加え、尻周りのサイズも重要で、ここも緩いととズボンがずり落ちる原因になります。(これは、鏡でポケット周りにシワが出来ていないか確認すると分かります。)

「お直し」が有効

ズボンが緩い場合は、修理(お直し)に出してしまうのが一番です。ベルトでもある程度は調整可能ですが、シワが出来てしまい不格好です。

また、ウェストはベルトで調整可能ですが、尻周りの調整は当然難しいので、修理に出すべきです。

ただしハイウェストには注意

ただし、ズボンを履いたとき、腰骨にウェスト部分が引っかかっている状況でなければ、腹回り尻周りを調整しても、日常動作の中でずり落ちていきます。

というのも、(後述するサスペンダーを使わない)普通のズボンは、基本的にウェスト部分が腰骨に引っかかって止まるようになっているからです。

三つ揃いを綺麗に着るためにズボンの股上を深く取りたい、ということもあると思いますが、サスペンダーを使わない場合にはこの様な限界があります。

 

5.対策3)サスペンダー(ブレイシーズ)を使う

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実は、これが一番オススメの方法です。とはいえ、やはりインパクトが強いので抵抗があるという方は多いかも知れませんが……。

そもそもズボンが下がらない

サスペンダーを使うと、そもそもズボンが下がらなくなります。従って、シャツやズボンが多少ブカブカだとしても、かなりスッキリ見えます。

また、ズボンのウェストを腰骨位置よりも高く取ることが出来、ベストとの連続面を維持しやすくなります。さらに、ズボンのクリース(折り目)が綺麗に出るなど、スリーピーススーツがとても格好良く見えます。

実は、三つ揃いでサスペンダーは派手に見えない

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サスペンダーには「お笑い芸人」や「お洒落に凝りすぎている人」というイメージがありますが、ベストを着てしまえば上着を脱いだとしても殆どわかりません。

むしろ、脇からチラッと見えるサスペンダーの色が、コーディネートに花を添えてくれます。

どうせならボタン留めを……

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サスペンダーにはクリップ留めとボタン留めがありますが、オススメは生地も傷まずしっかり固定できるボタン留めです。

 

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ベルトループを無くすのも手

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サスペンダー用のボタンをつけたとしても、ベルトと共用は可能です。

ただ、腰骨よりも上にウェスト位置を設定したい場合や、サスペンダーを常用する場合には、ベルトループを取ってしまうとより腰回りがスッキリして綺麗に見えます。

私も上の写真のように、最近はベルトループをつけていません。

値は張るがアルバートサーストンがオススメ

いくつかのメーカーを試しましたが、着心地と生地の豊富さから、結局アルバートサーストンに落ち着きました。

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△(左)両用タイプの留め具、(右)ボタン専用タイプの留め具

①クリップ/ボタン両用、②クリップ専用、③ボタン専用の3種類があります。通常は①の両用を選んでおけば良いと思いますが、背中の部分にもビスを使っているため、寄っかかると腰に違和感があるかも知れません(上記写真の左側)。

その場合は、③ボタン専用をオススメします。(私の場合は、殆どボタン専用で揃えています。)

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同社製サスペンダーでボタンを利用するタイプ(両用&ボタン専用タイプ)には、ズボン用のボタンが附属しています。

 

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こんな感じに、自分でも簡単に取り付けられます。

 

6.対策4)オーダースーツにする

シャツのはみ出しは、ズボンの他にベストの着丈も関わっています。

そして、残念ながらベスト着丈は修理で直すのはかなり難しいため、手っ取り早いのはオーダーをすることです。

スリーピースを着る上で、オーダーは有力な選択肢

ベストは、サイズの間違いが如実に表れるため、フィッティングにかなり気を遣うべきアイテムです。

そのため、今回の問題以外にも、オーダーを選択する意義はあります。

また、イージーオーダーでは少額の追加でベストを作る事が出来る場合があり、これもメリットの一つです。

オーダーだからといって、即解決にはならない事に注意

とはいえ、例えばハイウェストをベルトで止めようとしたり、シャツが適正サイズで無かったりする場合は、同様に問題が発生するため、オーダーにより即解決とはならないことにも注意です。

また、店員側もスリーピーススーツは「スーツ上下に単にベストを足した物」としか考えていないことがあります。

この場合、ズボンとベストの連続性を無視した採寸をしてしまうため、ベストはズボンにどの程度被るのか、ズボンの股上はどのくらいの長さになるのかなど、確認すると良いでしょう。

欲を言うと、サスペンダー専用のズボンにしてしまう方が良いです。腰骨で止めるズボンは結局股上が浅くなり、ベストの着丈を長く取ることになってしまうため、胴長に見えるからです。

 

7.まとめ

長くなったので、簡単にまとめます。

  • スリーピーススーツ(三つ揃い)において、ベスト(ウェストコート)とズボン(トラウザーズ)の間からシャツが見えてしまう人が結構多く、不格好に見える。
  • シャツが見える理由には、ベストやズボンのサイズが合っていないなどあるが、はみ出す原因としては「ズボンのずり落ち」による「シャツの持ち上がり」が原因ではないか。
  • 対策1:腹回りと着丈が適正サイズのシャツを着て、シャツの持ち上がりを抑制する。
  • 対策2:腹回りと尻周りが適正サイズで、かつベルト留めの場合はハイウェストでないズボンを着て、ズボンのずり落ちを防ぐ。
  • 対策3:サスペンダー(ブレイシーズ)を使ってズボンのずり落ちを防止する。
  • 対策4:オーダースーツによって、適正サイズのズボンやベストを仕立てる事も有力な選択肢である。

 

今回はシャツのはみ出しに焦点を当てましたが、他にも三つ揃いを着るときに気をつけていることや、他人の着こなしで気になっていることなどありましたら、是非コメントから意見をお寄せ下さい。

 

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