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夏のスーツスタイル ――夏をおしゃれに、快適に過ごすためには――

投稿日:平成23年(2011) 6月5日  更新日:平成27年(2015) 10月12日 

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みなさんは今年の夏、どの様なスーツスタイルにしようか考えていますか?
「節電」と「自粛」によって、この夏はクーラーが例年よりも弱い運転になる事が予想されます。

ただでさえ暑い日本の夏……裸になるだけなら猿にも出来ます。
おしゃれをしながら、どの様にこの夏を乗り切れば良いか、考えてみました。


「脱ぐ」という安易な方向に走る前に、ジャケットを着用した上で如何に涼しく過ごすかを考えてみます。

■涼しいスーツスタイルとは? 1:素材で涼しくする

盛夏といえば、「麻」「綿」「モヘア」「トロピカルウール」といった素材が挙げられます。
いずれも、スーツやジャケット用の素材としては非常に一般的です。

・ 麻
特に、麻については汗をよく吸収し、風邪を通し、べたつかず、水に強いという性質のため、
雨の多い日本の夏には最適の素材と云え、非常にお薦めです。

一方、麻の弱点は、シワになりやすいところです。
従って、麻のトラウザーズ(ズボン)はすぐにクチャクチャになります(ズボンプレッサー必須)。
また、紺色などの生成り以外の色は、ウールに比べクリーニング時に褪色しやすことが挙げられます。

・ モヘア
次にお勧めなのが、モヘア素材です。
モヘアはアンゴラ山羊から取れる生地で、非常にシャリ感が強いのが特徴です。
シャリ感が強い上に、麻にくらべればゴワついた見た目では無く、かえって光沢感もあります。

弱点としては、水に弱いこと、ウールに較べて生地が弱いところでしょう。
また、モヘア100%では、光沢が強すぎ、さらに生地が弱くなるため、ウールモヘア混がお勧めです。

そのほかの素材としては、
若干カジュアルにはなりますが、綿素材や綿麻素材などもお勧めです。

■涼しいスーツスタイルとは? 2:ディテールで涼しくする

・ 裏地を少なくする
ご存知の方も多いと思いますが、
ジャケットの裏地には全てに裏地を配する「総裏」、背の部分を取る「背抜き」、
ほとんどの裏地を取る「大見返し」、など数種類の配置方法があります。

裏地役割は、滑りを良くする、生地(表地)の痛みを防止するなど、結構大事なのですが、
一方で、非常に暑くなるデメリットがあります。
ですから、夏用のジャケットは最低でも背抜き、出来れば大見返しで作る(買う)と良いと思います。

・ 本切羽を開く
また、余り知られていませんが本切羽はかなり涼しくなります。
3つくらいボタンをあけ、さらにシャツを折り返すと非常に涼しいばかりか、
ちょっとしゃれた感じになります。(女性用スーツでは、一般的な着方ですよね)

・ 芯地/肩パッドを薄くする
堅い芯地や肩パッドはジャケットを構築的に見せるための必須ツール。特に英国スタイル好きには重要なパーツですよね。
一方で、これらの副素材は断熱性が高く、湿気を余り逃がさないため、暑くなってしまいます。
そこで、薄い芯地や薄い肩パッドを使うことで、幾らか涼しくすることが出来ます。

・ フロントボタンを少なくする
ジャケットには3つボタン、2つボタンなどの種類がありますが、以下の順で涼しくなります。

(←暑い) 涼しい→
4つボタン < 3つボタン < 3つボタン段返り ≦ 2つボタン < 1つボタン < 1つ拝みボタン

4つボタンはモード系、1つボタンはフォーマルウェア系ですが、
1つ拝みボタンはジャケットの前を開けている様な快適性があり、私も結構注目しています。

・ ジャケットの着丈を短くする
ジャケットの着丈は流行によってその長さが異なります。
シングルブレストのジャケットであれば、「両手を垂らした状態でジャケットの裾をつかめる程度」が、
本稿執筆時点においては最適と云われています。

しかし、このジャケットの着丈をもう少し短くすると、結構涼しくできるのです。
また、着丈を短くすることで、ピンストライプなど明らかに「スーツ」という感じでなければ、
スーツの上着をジャケットとしても転用しやすくなります。

ただし、短くしすぎることに注意して下さい。(少なくともおしりの半分が隠れるくらいにはしたいです)
特に、海外に行く機会が多い場合は、あまり短くするべきではありません。(マナー違反と云われることが多いため)

■涼しいスーツスタイルとは? 3:今こそウェストコート

シャツが肌着として、その露出が今より禁忌であった頃、当時の男たちはどの様に過ごしていたのでしょうか。
昔の写真を見ると多いのが、ウェストコート(ベスト)だけを着用した姿です。

そう、ウェストコートを羽織ってしまえば何の失礼もないですし、
いまではウェストコートはおしゃれアイテムの一つになっています。
ここでポイントなのは、サイズのあったウェストコートを着用することが大事です。

東京大手町や丸の内を見る限り、
サラリーマンではおしゃれな人を中心に、ウェストコートを着用する人が増えているようです。
しかし、サイズが合っていない人が多すぎるのです!

ウエストの部分は背中のベルトで調節できるので良いのですが、
アームホール部分がだぶついていたり、着丈が合っていなかったりと、結構残念な例が多いです。
ウェストコートはそこまで値が張らないので、是非ともビスポーク(オーダー)して欲しいと思います。

■涼しいスーツスタイルとh……もうジャケットは嫌だ!

どんなに涼しい素材と、スタイルにしようとも、暑い物は暑いのです。
天気予報の気温は、あくまで百葉箱の基準であって、
都会の夏のコンクリート上は40度を軽く超えるのが普通なんですよね。

ということで、次回はジャケットやウェストコートを頑張って着るのを断念した例について考えてみたいと思います。


皆さんこんにちは。Shichilieです。
やっぱりジャケット無しよりはジャケット有りの方が、タイ無しよりはタイ有りのほうが格好良いんですよね。
そりゃぁ、胸は構築的になりますし、差し色は入れられますし……

でも、あついものは暑い。いっそのこと、和服という選択肢はどうなんでしょうかね。
ゲタに着流し、カンカン帽。そして扇子と巾着……。
2ヶ月後には「サラリーマンの和服スタイルを考える」にタイトル変更しましょうか^^;

ただ、浴衣はだめですよ。あれはパジャマですから。

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