靴の手入れ 靴底

靴底の修理1:パーツ別に修理方法、タイミング、延命策などを考える

投稿日:平成29年(2017) 8月27日  更新日:平成30年(2018) 9月24日 

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皆さんはどんなタイミングで革靴をリペアしますか?

良い靴は①日常の手入れ、②パーツ別の修理、そして③靴底全体の交換(オールソール)をすることで、10年以上履き続けることができます。

本サイトでは、これまで日常の手入れを扱うことが多かったのですが、今回は②のパーツ別の修理について、靴底に絞ってとりあげます。

どんな場所がどんなときに傷むのか、どの様な修理方法があり、どんなタイミングで修理すべきか、さらに傷みを防ぐにはどうしたら良いのか等々を考えます。

1.主な靴底リペアーの種類

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ひとくちに靴底といっても、つま先、ソール、ヒールと、ダメージが発生する箇所は主に3つに分かれます。

当然、靴底全体の交換(オールソール)をすれば全て一気に修復できます。しかしその費用は1万円を優に超えるため、まずは個別での修理を検討します。

※ ただし、セメンテッド製法など、オールソールが難しい製法の革靴もあります。オールソールについては次回は取り上げる予定です。。

 

2.つま先

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革靴はつま先に余裕をもったデザインになっています。さらに、コバ(靴底の取り付けと、表革を防護するため張り出し)があるため、スニーカーに比べると全長が長くなります。

そのため、あまり注目されませんが、つま先は意外に良く削れます。特に、革靴になれていない方は、知らず知らずのうちに摩耗しているケースが多いと思います。

どんなときに傷みやすい?

新品の靴

おろしたての靴は、靴全体がピンと張り、靴底も曲げづらいですよね。

新品の靴は、ソールが硬くまっすぐな時期なため、つま先が地面にあたりやすく、ガンガン削れてしまいます。

つま先が長く細い靴

革靴には様々なデザインが有り、流行廃(はやりすた)りがあります。なかでも、つま先の変化はその典型です。

そして、長いつま先を履いていると良く削れます。特に、普段つま先の短い靴を履いている人がなおさらです。

また、長さの他に、つま先のデザインによっても削れ方は異なります。例えば、ラウンドトウやスクエアトウよりも、ポインテッドトウと呼ばれる細長いタイプは摩耗しやすいです。

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▲ ポインテッドトウ

良く管理された靴

靴を保管するときには、靴が反ってしまわないよう、シューツリーを入れます。

しかし、反ってしまわない様にするということは、新品の靴同様、それだけつま先が地面に近づくことになります……。

良く管理・メンテされた靴ほど、つま先が削れやすいという皮肉な状況。まぁこれはどうにもならない、やむを得ない話ですね^^;

どんなタイミングで修理すべき?

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つま先は、当然ですが靴の先端――コバの部分から削れていきます。そして、コバは底面が靴底、上面がウェルト(細革)に分かれています。

このとき、ダメージがウェルト(赤点線部分より上)に来てしまうと、単につま先部分だけのリペアで済まなかったり、ソール交換時に費用が増えてしまったりします。

従って、ウェルトにダメージが到達する前に、補修する必要があります。

どんな修理方法がある?

代表的な例で言うと、つま先にゴムを貼り付けての補修や、ビンテージスチールと呼ばれる鉄製の板を取り付けたりします。

ビンテージスチールはお洒落で人気が高く、特に靴好きの方が愛好しているイメージがあります。

しかし、歩くときにカツンカツンと音が鳴ったり、摩耗して薄くなると手入れをする際に手を切ったりと危険で、賛否は分かれます。

ちなみに、個人的にはゴムによる修理で十分だと思います。

なお、修理屋の腕によっては、「ゴムを上手く固定出来ない」と修理を断られるケースや、修理しても取れてしまうケースがあるため、店の見極めが重要です。

耐久性を上げる方法は?

経験上、なにも対策をしないと、ソール部分よりも先につま先の寿命が来ることが多いです。そのため、どうすれば耐久性を上げられるのかを考えてみます。

履きおろす前に補強する

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▲ つま先の飾り釘

革に比べ、ゴムは耐摩耗性が強い素材です。最初に取り付ければオールソール(靴底全体の交換)まで持つことが多く、購入時に取り付けてしまうのも手です。ビンテージスチールも同様。

また、飾り釘を打ち込むというパターンもあります。(靴のメーカーによっては、予め飾り釘が打ってあるものもあります。)

補強済の靴を買う

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▲ スコッチグレインのトップゴムレザーソール

自分で補強するまでも無く、市販の靴には、予めゴムによる耐摩耗性の向上が図られたものがあります。

代表的なのはスコッチグレインのトップゴムレザーソールでしょう。

履きおろすときに靴を曲げる

初めて靴を履くときに、シューツリーが無い状態で、手で靴を90度くらいに何回か屈曲させます。これにより、靴底に曲がるクセがつき、つま先が削られにくくなります。

初めて靴屋でこれを教えて貰ったときにはかなりビックリしましたが、それなりの効果はあるようです。

ただし、靴は在庫流通期間に乾燥してひび割れやすくなっているため、この屈曲をする前に必ず手入れをしてからにします(下記記事参照)。

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3.ソール

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続いて靴の真ん中の部分、ソールです。

どんなときに傷みやすい?

ソールについては、靴底の材質、革の状態、本人の体重などが大きく影響します。

靴底の材質

そもそも、靴底が革で無くラバーであれば、かなり耐摩耗性があります。ただし、足が蒸れやすいという欠点はありますが。

また、同じ革でも、革の種類(牛の年齢や個体差、鞣し方、部位等々)によっても異なってきます。

革の状態

革底の場合、極端に乾燥している時と、雨に降られるなど水に濡れている時に傷みやすいです。

本人の体重

これはどうしようも無い話ですが……。身長はいかんともしがたいですが、体重はコントロール出来るので、太りすぎな方は痩せると靴の傷みが減ると思います。

どんなタイミングで修理すべき?

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▲ 親指で軽く押してみて、容易にへこむようなら薄くなっている状況

次回(オールソールをとりあげます)詳述しますが、次の2パターンでしょうか。

  • 穴が開いたとき:当然ですが……
  • 靴底を指で押してみて、プニプニするとき:穴が空く寸前で、小石や点字ブロック等の突起で、容易に穴が空く可能性があります

いずれにせよ、日常のメンテ時に靴底にも気を配り、ソールが薄くなっていないか確認することが重要です。

どんな修理方法がある?

簡単な修理で言うと、靴の裏側にラバー(と言い習わしていますが、正確にはプラスチック樹脂が多いようです)を接着剤で貼り付けます。

革に比べて耐水性、対スリップ性、耐摩耗性などが向上し、かつ値段も手頃(安いところで両足3千円くらい)です。

しかし、靴が蒸れやすくなる、見た目が気に入らないなど、ラバーの貼り付けに対しては否定的な意見もあります。

ラバーを張るのは嫌だという場合は、次回のテーマであるオールソールが選択肢になります。

耐久性を上げる方法は?

つま先と同様、購入当初からラバーを張ってしまうのも手です。

ただ、最初は革底を楽しみ、減ってきたらラバーを張るほうが経済的なので、こちらのパターンが多いと思います。また、革底の場合、極端な乾燥や水濡れを防ぐことで摩耗を減らせます。

ソールが乾燥していると思ったら、ソールオイルを塗ります。また、雨が降る日はゴム底の靴を履きましょう。もし革底で雨に降られてしまっても、十分に乾燥させた後、ソールオイルで油分を補給します。

なお、ソールオイルはコロニルのものが手軽ですが、独特な臭いがあるタピールのレーダーゾーレンフレーゲ(革底専用オイル)もオススメです。(過去にソールオイルの比較レビューをしていますので、興味がある方は下記の記事をご覧下さい。)

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4.ヒール

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ヒール、つまりかかとの部分も削れやすい場所です。

どんなときに傷みやすい?

靴屋曰く、歩き方のクセによってはとても削れやすいとのこと。具体的にいうと、踵から強く着地する歩き方です。

実は親類に似た様な歩き方をする人がいるのですが、踵を見ると確かに削れ易いようです。

とはいえ、普通に歩いても最初に着地する場所は踵。大小の差こそあれ、誰もがダメージを受けやすい場所なのは間違いないです。

どんなタイミングで修理すべき?

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本格靴の場合、ヒールは革の層が幾重にも積み重なっています(木材ではありません)。したがって、上層部まで削れてしまうと修理金額が上がりやすくなります。

目安は写真の赤点線部分のところまで。もう少しでここにかかりそう、という時には修理に出します。(この写真は結構限界です。)

どんな修理方法がある?

ヒールに自分でパテを塗って修理する、という方法もあるようです。

いずれレビューしてみたいですが、靴底の仕上がりは靴の見た目に大きく影響をするため、修理屋でのヒール交換が一般的です。

また、ヒールにはラバー、ハーフラバー、フルレザー、さらにラバーにも様々な種類があるなど、選択肢は多数有ります。

レザーソール(革底)の靴なら、見た目と耐久性のバランスに優れるハーフラバー(上の写真のタイプ)がオススメです。

耐久性を上げる方法は?

グースステップス(ガチョウ足行進)の様に足全体で着地すれば一部だけ削れる、ということもありませんが、普通に歩いた場合は難しいですよね^^;

強いて言えば、優しく歩くようにするか、以前取り上げたSUPERfeet(リンク:7/30の記事)の様な歩行姿勢の改善を謳うインソールを入れるくらいですかね……。

 

5.最後に

当初、オールソールのネタをやりたかったのですが、個別の修理ネタをやっていなかった事に気づきました。

そこで、オールソール記事の冒頭に交通整理としてサラッと触れるだけに留めようとしました。しかし、次から次に考えなければいけないことが出てきてしまい、文字数がオーバー。

そして、1本記事が出来てしまいました。

もっと言うと、本来は「靴底の修理」ではなく、「靴の修理」とした上で、インナー(靴の内側)や表革のクラック(キズ)についても取り上げるべきでしたが、壮大な話になって収拾がつかなくなりそうなので、まずは靴底に絞りました。

なお、身も蓋もないですが、本来、靴の修理については本職の靴修理職人に訊くのが一番です。しかし、意外と修理タイミングや、耐久性を上げる方法などが修理業者のサイトに記載されて居ないことか多く、今回利用者側の視点からまとめてみました。

次回は、いよいよ本丸のオールソールについて、そして、次々回は(すみません連続します……)実際にオールソールに申し込んだビフォーアフターについて取り上げたいと思います。

 

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