迷ったらコレを買え！③：靴クリーム編

ビジネスマンが革靴を綺麗に保つために必要な靴クリーム。

様々なメーカーから、数多くの靴クリームが発売されており、このサイトでも何度か取り上げてきました。

正直、靴クリームについては仕上がり、使い心地、着色性能、香りなど、様々な要素があり、靴磨きが好きな方は、「時と場合によって使い分ける」というケースが多いのではないでしょうか。

今回はあえて、どれを買ったら良いか分からないという方向けに、迷ったらコレを買っておけ、という靴クリームを理由と共にご紹介します。

０．選定基準

1. 使いやすいこと
2. 安価で入手しやすいこと
3. 単品で綺麗に仕上がること（この製品のみで使い続けられること）
4. 色の種類がある程度あること
5. 臭いがキツくないこと

今回は以上の5項目から製品を選定しました。

1つ目と2つ目は、本シリーズは初心者をターゲットとしているので、まず入れました。

3つ目の「単品で綺麗に仕上がること（この製品のみで使い続けられること）」は、靴磨きを趣味としている方にとっては不要な項目かも知れません。しかし、時間に追われるサラリーマンや、そもそも製品選定に迷っている初心者からすると、まずは単品で綺麗に仕上がることが、靴磨きの入り口として重要なので取り入れました。

4つ目の「色の種類がある程度あること」は、昨今ジャケパンで勤務する方が増え、茶靴に対応することが必須のため入れました。

5つ目「臭いがキツくないこと」は、玄関という狭くかつ家族共用の空間で磨くことが想定されるため、加えました。

 

１．モゥブレイ「シュークリームジャー」

もし、靴磨き初心者の方にオススメを聞かれたら、まずはモゥブレイを紹介します。

モゥブレイを選定した理由

モゥブレイは、標準的でとても使いやすい靴クリームです。　安価で、比較的どこでも入手可能で、カラーバリエーションも豊富、そして臭いもキツくありません。

なにより、この製品のみを単品で使い続けられる、という点がとても優秀です。

靴クリームは製品によって、ロウ分過多（光沢は出るが栄養分<油分と水分>が少ない）、油分過多（水分が入っていない）、ロウ分が少なく雨で色落ちしやすい等々、色々な特性があります。

それぞれの特性を把握していれば、例えば「ステインリムーバーで古い靴墨を落としてから、デリケートクリームを塗って皮を保湿し、油分とロウ分が多めのクリームで光沢を出そう」といった磨き方が可能になります。

しかし、靴磨き初心者の方にとって、そういった組み合わ技はとっつきにくく、さらに忙しく靴磨きに時間を掛けられないという方も多いでしょう。

モゥブレイ「シュークリームジャー」は、そういったことを考えず、古い靴墨を落としながら油分と水分を入れつつ適度な光沢を生むこと、それらをまったく意識せず行うことが出来る点にメリットがあります。

また、メルトニアン（モゥブレイの前身）の時代から長年靴好きに愛用されてきたという安心感も大きいですね。

靴磨きが好きな方へ

ところで、「なんだ、モゥブレイかよ」と思った方、ぶっちゃけて言うと、私もそう思います＾＾；

私自身も、最初の頃はモゥブレイを使っていましたが、靴磨きが趣味になってくると、靴の状態にあわせ複数の様々な製品を組み合わせ使うようになりました。　むしろ、モゥブレイ単品で靴磨きをすることの方が少ないです。

しかし、思い返すと、複数の靴クリームを比較する際に、ベンチマーク（価値判断の基準）としてあったのはモゥブレイでした。

今回初心者向けとして考えた選定基準を前提とすると、モゥブレイになったのは必然かも知れません。

他の製品が何故選ばれなかったのか、は次項で詳述します。

 

２．他の製品が選定から外れた理由

次に、なぜ他のブランドが選ばれなかったのかを簡単に説明します。

サフィール ノワール「クレム1925」

実は、私が普段使いしているのはクレム1925です。理由はとても美しく仕上がるから。

しかし、この靴クリームは水分が少ないこと、またロウ分が多く塗りムラができやすいこと、そして近年価格改定を繰り返し値段が高騰していことるから、初心者がとっつきにくいため、選定から外しました。

なお、下位ブランドのサフィール（無印）の「ビーズワックスファインクリーム」であれば、それらの問題がクリアされており、機能面ではモゥブレイと同等ですが、モゥブレイより２割程度高いため外しました。

コロンブス「ブートブラック シルバーライン」

これもオススメの靴クリームです。機能性もモゥブレイと同等に感じます。ただ、問題がその臭い。

刺激臭がかなり強く、家族と共用の玄関で使うと嫌がられる可能性があります。

一人暮らしで、自身が臭いに敏感で無ければ、モゥブレイより1割程度安いのでこちらでも良いと思います。

コロニル1909「シュプリームクリームデラックス」

もし、モゥブレイの3倍の値段ではなく、色も黒色だけでなかったらこれを選んでいました。

個人的な体感ですが、モゥブレイより耐水性が高く、色移りも少ないと思います。

高くても、黒靴だけでも良い、これ一本でシットリ・ツヤツヤにしたい、という方は試して見ると良いと思います。

イングリッシュギルド「ビーズリッチクリーム」

モゥブレイと同じ会社から販売している、高価格帯のクリームです。

こちらも私のお気に入りではありますが、水に濡れるとすぐに色が落ち、耐水性が悪い気がします。

ブラックに、若干のネイビーが入っていて、そういう複雑な色味が好きな方にはオススメです。

 

以上のように「他のブランドにも凄く良いところはあるが、一方で何かを補う必要がある」というのがおわかりいただけたかと思います。　その点、モゥブレイ シュークリームジャーは、とりあえず単品で使い続けることができる、おしなべて平均点、安心安全といったところが、むしろ飛び抜けた長所と言えるかも知れません。

 

３．終わりに

靴磨きが好きになると、シューケアグッズの沼にハマります。

沼にハマるのは良いですが、靴箱がグッズで溢れる、玄関に刺激臭が漂う（特に揮発性リムーバーに注意）、靴墨や粉で玄関が汚れる、等々家族とトラブルになる事もあります（なお、ウチは大丈夫です。たぶん。）

家族持ちや実家暮らしの方は、最低限から始める、汚したり臭いのキツいモノは使わない、家族の靴も磨いてあげる、などのフォローを忘れないようにしましょう。

 

＊　＊　＊

 

そういえば、私が初めて手にした靴クリームはモゥブレイでした。　当時は「あのメルトニアンの後継です」と言って販売されていましたが、今では「M. Mowbray」としてブランドが定着しました。　それだけ、多くの方に信頼されたのだと思います。

皆さんにとって、これだけは外せない、迷ったらコレだ、という靴クリームやブランドはありますか？　是非コメントをお寄せ下さい。