着こなし

スーツスタイルの制汗と防臭を考える(制汗編)

投稿日:平成29年(2017) 2月26日  更新日:平成30年(2018) 12月18日 

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全国で春一番が吹き、寒暖を繰り返しながらも温かい日が着実に増えてきました。

そこで、少し気が早いですが、梅雨時から秋にかけて課題になる、汗と臭いの問題を取り上げたいと思います。

今回も量が多くなりそうなので、2編(制汗と防臭)に分けて考えます。

皆さんは温かい時期の――また涼しい時期でも過ぎた暖房や人混み、打合せに遅れそうで走ったとき^^;等々、どの様な汗対策をしていますか?

0.何故汗対策は必要なのか

最初に、汗対策がなぜファッションに必要なのかを考えます。

① マイナスイメージ

スポーツの世界では、汗は「かくもの」であって、むしろ美徳ですらあります。しかし、スーツスタイルやビジネスの世界ではどうでしょうか。

汗は「暑苦しい」というイメージや、人によっては「焦っている」「何か隠している」といった、マイナスイメージがついて回ることすら有ります。

② 衣服へのダメージ

制汗、汗染み対策をしっかり行わないと、スーツは速いスピードで傷んでいきます。

スーツの襟や背中、ネクタイの中央部分に黄色い輪染みがついているのを見たことがあるかも知れませんが、汗が原因であることが多いです。

③ 臭いの元

後編の防臭編にも繋がるのですが、汗と臭いの関係は密接です。汗そのものには臭いは無いそうですが、汗を放置すると、雑菌の繁殖により数時間で悪臭が発生します。

 

それではいよいよ、制汗方法に入ります。まずは体への対策、後半は衣服での対策をメインに考えます。

 

1.手、手首を冷やす

私たちサラリーマンが、(真夏以外で)汗をかくシーンのトップが「移動中」または「移動直後」ではないでしょうか。

例えば、「客先へ行く際に、すこし時間に余裕がなさそうだから急いで行こう」とか、「客先の受付が思った以上に高い温度設定で汗がドバドバ出てきた」とか、特に外回りが多い方では顕著だと思います。

打合せ前にこの様な状況では、せっかくのスーツスタイルも台無しです。(デートの前も同じ事が言えますね^^;)

知っている人は知っている、トイレでの冷却

運良く、近くに冷房の吹き出し口や、扇風機があれば良いのですが、そうそうありません。しかし、どこにでもあるもの、それがトイレです。

そのトイレの洗面台で、手のひらと手首を1分程度流水にさらすだけで、簡単に汗を引かせることができます。会社員歴が長い方、特に営業職の方はよく使うテクニックかも知れませんね。

血液が冷やされるのはもちろん、体に冷たさを感じさせることで、汗の分泌を抑える効果があります。

高層ビルの水は冷たい

テクニックとして、高層ビルのトイレがおすすめです。低層のビルでは、貯水槽が屋上に有り、夏場――とくに日差しが強いと、温い水が出てくることがあります。

しかし高層ビルの場合、水圧を安定させるためビル内に給水タンクが設けられる事が多く、水が冷たいのです。

大事な商談・面接にはアイスパックをお守りに

もう一つ、アイスパックを使うという方法もあります。こちらは冷凍庫で予め冷やすタイプもありますが、鞄の中が濡れてしまうのであまりオススメしません。

化学反応を利用するタイプなら、その場で冷却する事が出来ます。鞄の中に忍ばせておいて、いざという時に使います。手や手首でも良いのですが、このタイプのものは脇に挟むのが一番効果的です。特に、汗っかきの方にはオススメです。

 

2.制汗剤を効果的に使う

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額の汗はハンカチで拭えば良いのですが、難しいのが脇の下です。

特に、脇の下は見苦しいシャツの汗染みを作る上、酷いときはジャケットまで浸透していきます。

さらに、脇は肌が密着しているため乾燥しづらく、汗を放置すると雑菌の繁殖による悪臭の原因になります。

脇汗にはスプレーよりもスティック式がオススメ

制汗剤というと、真っ先に思い浮かべるのがスプレー式かもしれません。

スプレー式は、体の表面部分の「気持ち悪さの軽減」には良いのですが、脇には余り効き目が無い事が多いです(また、体表の汗も、後述する機能性下着で対策する方がオススメです。)。しかし、スティック式なら、脇汗に効果てきめんです。

また、スティック式は大概パッケージが小さいため、持ち運びに便利で、会社のデスクに入れていても嵩張らず、さらに周囲に迷惑を掛けずに塗ることが出来るのもポイントです。

オススメはレセナドライシールド

これまでに何本もスティック式制汗剤を試してきましたが、一番のオススメはユニリーバから出ている、レセナドライシールドです。おそらく女性向け製品だと思われますが、制汗効果も高めで、これが一日中持続します。

また、無香料があること、肌の弱い私でもかぶれないこと等から、かれこれ10年くらい、冬季も含め毎日愛用しています。

 

3.ハンカチは基本のキ

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何を今更、と思われるかも知れません。しかし、意外にハンカチを持参していない方を多く見かけるため、敢えてこの項目を作りました。

仕事柄、色々な業界で多様な職位の方と接する機会があるのですが、夏場、汗をかいているのに手で拭っている人が多すぎます。

汗をかいた額を……手で拭って……その手で資料を触って……資料を皆に配布して……と^^;

潔癖症でない方でも、嫌になりますよね。

綺麗なハンカチを後ろポケットに常備

と言う事で、私の場合は、全てのトラウザーズの後ろポケットに、常時ハンカチが入っているようにしています。そして、使用した場合は前ポケットに移動させ、使用前後を見分けられるようにしています。

そして、出かける前には必ず、ポケットのハンカチを確認するようにしています。(ただ、慌てて外出したため入っていなかった、なんてこともあるため、予備のハンカチを封筒に入れ、会社にも「置きハンカチ」をしています。)

ハンカチとコーディネート

ただ、上記のハンカチを予めポケットに入れておく方法だと、ジャケパンにおけるコーディネート(おもにシャツとの)が難しくなるのがデメリットです。

そこで、何時でも交換できるよう、必要枚数(=トラウザーズの本数)よりもだいぶ多めにハンカチを確保し、畳んだ上で棚の上に積み上げ、いつでも交換できるようにしています。

スーツスタイルの場合あまり考慮しませんが、ジャケパンの場合はシャツやジャケットと素材や色を合わせた上で、後ろのポケットからTVフォールドよろしく少し覗かせるとお洒落ですよね。

 

4.機能性下着

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胸、腹、背中にかいた汗には、機能性下着が活躍します。

「シャツ(いわゆるワイシャツ)は下着」という考えがあり、アンダーシャツを着ることに抵抗がある方も居るのは事実です。しかし、シャツが汗で肌に張り付いたり、乳首が透けて見えるのは、どうしても避けたいところ。こんな時にアンダーシャツは活躍します。

もちろん、以前はアンダーシャツそのものが透けて見えダサい、という問題もありました。しかし最近は、透けないベージュ色で、かつカットオフタイプのアンダーシャツが各社から出ていて、スーツスタイルでも違和感がありません。

素材と製品

ムレや臭いを防止するという観点からは、化繊の製品に高機能なものが多い印象です。しかし、肌触りや静電気対策という観点からは、綿製品も良いと思います。

化繊であれば、ユニクロのエアリズムが、綿メインであればグンゼのYGカットオフ(量販店向け)かSEEK(百貨店向け)がオススメ。過去にレビュー記事を書いていますので、興味のある方はご覧下さい。

 

5.カフをあける&袖ごとめくる

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本稿項番1で、流水で手と手首を冷やす方法をご紹介しました。もうひとつ、服装を工夫することでも、手首を冷やすことが可能です。やり方は簡単で、シャツのカフ(袖)を開いてしまえば良いわけです。

しかし、ただ開けただけではだらしなく見え、ジャケットを脱いだ袖まくりはどうしてもラフな印象があります。そこで、カフを開けて折り返す、袖まくりならぬ「袖”め”くり」をご紹介します。

シャツの袖を折り返すのは、女性用のスーツスタイルでは良く見かけます。しかし、夏場であれば男性のスーツスタイルでも(打合せや式典などの改まった場所以外であれば)許されると思うのですがどう思いますか?

特に、ジャケットの袖が本切羽(ボタンで開閉出来るタイプの袖)であれば、2~3個開けることができます。そして、ジャケットの袖を少し巻き込みつつ、シャツの袖をめくる(折り返す)ことで、だいぶ涼しくなります。

見た目にも、シャツの白い部分が増えるため、だいぶ涼しげになるのでは無いかと思います。

もちろん、上着を脱いだり、さらにシャツをたくし上げる方が一般的には涼しいです。しかし、ジャケットを脱げないシーンも有りますし、腕をまくると袖から外気が入りづらくなる一方、カフをめくる方法では肘、脇、体と空気が入りやすく、汗が乾燥するため、腕まくりよりも涼しいときがあるほどです。

 

6.まとめ

長くなりましたのでまとめます。

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▲ 汗には、上図の様な問題があり、スーツスタイルでは制汗を行う必要があることが分かります。

 

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▲ 制汗をするためには、そもそも汗を出なくするか、出た汗をスムーズに取り去る必要があります。そして、それぞれ、図の①~④ような方法が考えられます。

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▲ そして、それぞれに具体的な方策を挙げました。

 

なお、過去に、下記の関連記事も書いています。涼しくする素材、汗を吸う素材について、今回書き切れなかった部分にも言及していますので、興味があればご確認下さい。

また、自律神経や、体質を原因とする多汗もあります。知人で医者に相談、簡単な手術を受け、その後のスーツスタイルが大幅に楽になった人も居ました。気になる方は、一度診察を受けてみることをオススメします。

それでは、後編に続きます。

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