レビュー

「蝶矢シャツ」を買ってみました

投稿日:平成27年(2015) 11月22日  更新日:平成30年(2018) 8月16日 

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皆さんは蝶矢(CHOYA)シャツをご存知でしょうか。

若年層には余り馴染みが無いかも知れませんが、年配者に話を聞くと、百貨店で買う日本製高級シャツの代名詞という印象があるようです。

以前は、昔ながらのデザインしか無かったのであまり興味が湧かなかったのですが、新しい衿型やディテール、フィットタイプが登場するなど、ラインナップが充実してきたので先日購入してみました。そこで、今回は蝶矢シャツをレビューしてみようと思います。

1.蝶矢シャツとは

蝶矢シャツは、明治19年(1886年)創業の老舗シャツメーカーです。百貨店を中心に、古き良き時代の日本製高品質シャツとして名をはせました。

一方で、昨年(H26年)夏頃に会社清算/事業譲渡のニュースがあったのをご記憶の方もいらっしゃると思います。その年の末頃にブランドやドレスシャツ製造販売事業をシャツ製造販売大手の「山喜」に譲り、今年3月、会社としては129年の歴史に幕を閉じました。

当時は蝶矢シャツブランドか無くなってしまうのではとの声もあったようですが、現在は事業譲渡先の山喜の中で、高級ラインとして製造販売が続けられています。

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買えるところ

関東にお住まいの方であれば東京丸の内の新丸ビルに、関西であれば大阪のグランフロント大阪に、それぞれ直営店があります。また、直営通販サイトもありますから、サイズが分かっている場合には便利です。

 

2.レビューする製品の情報

今回は以下の製品を購入しました。

 

3.外観フォトレビュー

到着

今回は購入する物が決まっていたので、公式通販サイトから買いました。山喜に買収されたこともあって、山喜の株主優待も使えます。(株主優待についてはH27.7.25の記事を参照)

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ディテール

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今回はワイドカラーのシャツを購入。ワイドカラー全盛ですが、蝶矢の公式通販ではレギュラーカラーの方が多く(ワイドカラーの倍程度)、購買層がかなり保守的か、年齢が高めなことがうかがえます。

ただし、今回購入した新しい「CHOYA1886」シリーズ(同店では一番高いライン)では、レギュラーカラー/ワイドカラー比が半々であり、またスリムフィットも全体の半分程度になっているので、トレンドを重視する層へアピールしたいという姿勢が窺えます。

 

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この価格帯では当たり前になりつつありますが、貝ボタンを使用しています。

 

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賛否が分かれるところではありますが、胸ポケットは標準装備です。(胸ポケットの要否については、参考記事「シャツの胸ポケットについて少し考える」をご覧下さい)

 

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内側は総て巻き縫いになっており、肌触りに配慮されています。また、シャツの耐久性を高めるガゼット(当て布)も装備。全体的に、縫製はとても綺麗です。

 

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ボタンホールも綺麗に作られています。

 

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襟のボタンは足が補強されているタイプで、とてもつけやすいです。

着せてみる

続いて、ボディに着せてみます。

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あれれ……襟が結構浮いてしまいました。これはかなり格好が悪いです。念のため、自分自身でも着てみましたが、似た様な襟の浮きが再現しました。

 

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カラーステイ(襟の形を保つ板)は元々入っていますが、プラスチック製のかなり薄い物でした。そこで、頑丈な物(土井縫工所のシャツから転用)を使ってみることに。

 

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カラーステイを入れ替えます。

 

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綺麗な襟になりました(下の画像は元々の状態です)。

 

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ヨーク(肩)は一枚布です。ストライプ柄なので、スプリットヨーク(真ん中が切り返しになり、への字型にストライプが走る)になっていた方が個人的には好みです。

 

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後ろからの様子です。スリムフィットを謳うだけあって、ダーツ(背中~腰にある生地のつまみ)による絞りはかなり綺麗です。

スーツ・タイとの組み合わせ

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ドット柄のタイに、紺のスリーピース(三つ揃い)スーツを合わせてみます。レギュラーカラーだとウェストコート(ベスト)の上にシャツの襟が載ってしまい不格好になることがありますが、ワイドカラーの場合は上手く収まります。

 

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ツーピーススーツの状態で撮影しました。正面から見上げても、綺麗な衿型をしていることが分かります。

 

4.良いところ3点

  1. とにかく縫製が綺麗
  2. 生地もさわり心地が良く、見た目も美しい
  3. ネックサイズ毎に袖丈が3パターン程度用意されており、またスリムフィットとレギュラーフィットの2種類が用意されているため、体型に合わせやすい

とにかく縫製が綺麗でした。良くなってきたとはいえ、チャイナの現地生産では実現できないクオリティです。また、生地の質感や肌触りがとても良く(縫製が良いせいもあると思います)、番手表示は100番手双糸なのですが、120番手以上の輝きがありました。

また、袖丈が体型に合わせて選べますので、シャツ袖の長さにお困りの方にも良いと思います。

本当は衿型も良いところに挙げたかったのですが、附属のカラーステイではかなり見た目が悪いので除外しました。もう少し堅めのが入っていれば、全く違った評価になると思うのですが……。

 

5.悪いところ3点

  1. 百貨店価格から抜け切れていない
  2. 浮いてしまう「未完成」なワイドカラー(但し、カラーステイの追加で修正可)
  3. どことなく垢抜けない

おそらく、\14,040(税・送料込)は適正価格です。しかし、高コスパであるとは言いづらい価格ではあります。個人的には土井縫工所よりも生地や縫製の質は上だと思いますが、この価格差分の価値があるかは微妙なところです。

そして、驚いたのは跳ねてしまう襟です。良く安物のシャツで襟が浮いている物を見かけますが、この価格帯では珍しいです。カラーステイを入れ替えることで問題はありませんでしたが、皆が皆、予備のカラーステイを持っているはずは無く、改善が必要なポイントです。

襟の形(ただしカラーステイ追加後)は気に入ったのですが、ドレス系のシャツなのにポケットがある、ガゼットの形が事務的、ボタンが小さいなど、「旧来の日本のシャツに、流行のディテールを追加したものの、消化し切れていない」感が強いです。

 

6.おわりに

親会社の山喜には、従来型の「作業着としての白シャツ*」や「ゴテゴテ装飾ばかりのシャツ*」といった製品が多いのですが、蝶矢シャツブランド単体で見ると(現在のところ)そのようなことはありません。

今後、山喜がどの様に蝶矢シャツを扱うのかに注目しています。蝶矢は技術力とブランド力に優れています。今回の様に、流行のデザインを採り入れ、ファッションに興味がある層へ訴求出来る様な、さらなる改良やチャレンジを期待しています。

*作業着としての白シャツ:ポリ混、短いレギュラーカラー、短い袖、低い襟など
*ゴテゴテ装飾ばかりのシャツ:色ボタンや色ステッチが沢山、二重の襟など

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