皆さんは、FAIRFAX(フェアファクス)のシャツはご存知ですか?
FAIRFAXと云えば、ネクタイで有名なブランド。良心的な価格で、イタリアのハイブランドにも匹敵する製品が多く、お持ちの方もいるのではないでしょうか。
そんな、ネクタイのイメージが強いFAIRFAXですが、実はシャツも製作/販売しています。
先日、記事のコメントにFAIRFAXをレビューして欲しいとの要望を戴きました。 偶然、少し前にレビュー用として2枚購入していましたので、早速レビューしたいと思います。
1.レビューする製品の情報
今回は以下の2製品を購入しました。
① フレンチツイルワイドカラーシャツ(写真:左)
- 製品名:FAIRFAX フレンチツイルワイドカラーシャツ
- 素材:綿100%
- 生産国:日本(生地は伊・アルビニ社)
- 色展開:ホワイト、サックス(今回はサックスを購入)
- 価格:\15,120(税込)(ただし、セールに合わせて1万円くらいで購入)
- リンク:Amazon.co.jpの商品ページ
② ドビーワイドカラーシャツ(写真:右)
- 製品名:FAIRFAX ドビーワイドカラーシャツ
- 素材:綿100%
- 生産国:日本(生地は伊・アルビニ社)
- 色展開:ホワイト、サックス(今回はサックスを購入)
- 価格:\15,120(税込)(ただし、セールに合わせて1万円くらいで購入)
- リンク:Amazon.co.jpの商品ページ
生地のラインナップについて
今回購入したのは、イタリアのアルビニ社の生地を使ったシリーズです。そのほかに、オリジナルの国産生地、イギリスのトーマスメイソン社の生地のものなどがあります。
国産の生地を使ったものは概ね1万円、舶来は1万5千円くらいが定価です。
今回はアルビニの生地を使ったシャツがセールだったのでこれにしましたが、縫製や附属品(ボタン)などに違いは無いようですので、価格が気になる場合は国産の生地を選ぶのも手です。
2.外観 ①フレンチツイルワイドカラーシャツ
襟
襟羽根の剣先は8.5センチです。イタリア風の、しっとりしなやかなロールがかかっていて、実際の数値よりも長めに見えます。
襟フチのミシンワークがとても綺麗です。
襟は柔らかめですが、きっちり胸に張り付いていて、気持ちが良いです。
生地
フレンチツイル(フランス綾。ファンシーツイル<fancy twill>とも。)とは、太い綾目と細い綾目が交互に繰り返される生地のこと。
上は生地を拡大した写真ですが、綺麗な畝が出ていますね。
ボタン
ボタンは白蝶貝です。
イタリアのハイブランドにありがちな、あからさまな極厚ボタンではありません。しかし、日本のシャツブランドにありがちな薄い高瀬貝のボタンとも違います。
上品な高級感が出ているように思います。
襟のボタンは留めやすいように、一回り小さいものが使われています。
カフ
カフは、立体裁断で手に沿いやすい円錐形になっています。
好みは分かれるところですが、ギャザーは少なめ。個人的には手縫いの暖かみがあるギャザーが好きなのですが、オフィス用途ではこちらの方がスッキリするかも知れません。
ジャケットと
アルビニ製の生地は、表面が非常に滑らかで陰影が綺麗に出ます。そのため、三つ揃いでウェストコート(ベスト)姿になった際の、腕の部分がとても綺麗に見えました。
無地こそ、生地の善し悪しが明確に出やすいです。高品質の生地がセールにかかっているときは、最初に無地を選ぶようにしています。
3.外観 ②ドビーワイドカラーシャツ
生地
シャドーストライプに見えるのは、ドビーの織り柄です。
正確な番手表記は分かりませんが、光沢があり、かなり細めの糸か使われていると感じました。
ヨーク
スプリットにはなっていないタイプです。
背ダーツ
着た際に背中がだぼつかないよう、腰の部分に左右2本のダーツ(生地のつまみ)が入っています。
これにより、シャツ単体でも腰にくびれが出来て格好良く見えます^^;
ボタンホール
機械縫製ですが、とても綺麗なホールです。
ガゼット
この手の製品にはよくある、ガゼット(シャツの裾を補強する布)付き。
柄あわせが凄い
今回外観レビューをしていて凄いと思ったのがこちら。 ストライプ部分を見てお気づきになりますか?
そう、襟のストライプがそのまま胸の生地のストライプへと繋がっています。
この手の柄あわせは、袖やヨーク(背中)では良く行われます。テーラー曰く、日本の職人の得意分野だそうですが、襟のような直接縫製されない部分での柄あわせは、中でも高等技術が必要なのだそう。
他のFAIRFAXのシャツについても、ストライプやチェックのものを商品画像から確認してみましたが、極力襟も柄をあわせるよう努力しているようでした。
4.着心地
襟や袖が軟らかい
今回レビューしたシャツについては、イタリア的で着心地の良い、かなり軟らかい芯地を使っているようでした。
この軟らかい芯を使いながら、綺麗な形を保てるのは、縫製技術が良い証拠だと思います。
シャツの中には、襟の形を綺麗に保つため、多少固めの芯地を使う事があります。個人的にはイギリス的な固めの襟も好きなのですが、今回は生地がとても上品なので、柔らかめの芯地の方が映えると思います。なお、襟と袖、何れもフラシ芯でした。
腕が動かしやすい
既製品のシャツですから、アームホールは余裕をもって大きめに設計されているはずです。しかし、姿見で見ても腕は太く見えず、かつ腕や肩がとても動かしやすいと感じました。
アームホールは大きくとると、かえって腕が動かしづらくなります。同じ長さの太い蛇腹と細い蛇腹では、細い方が色々な角度に曲げやすいのと同じです。
生地が柔らかい
今回はアルビニの、高いラインのものを購入したからかも知れませんが、生地の肌触りが抜群でした。
もちろん、縫製がしっかりしていないと生地の柔らかさは出ませんから、FAIRFAX側の努力も大きいと思います。
5.改善ポイント
これまで良いところばかりでしたので、最後に改善ポイントも。
第一ボタンには足を付けて欲しい
写真は同じ価格帯の蝶矢シャツ(H27.11.22にレビューしました)のものですが、シャツの第一ボタンには綺麗に糸が巻かれ、ボタンが浮いているのが分かります。
これは、ボタンを留めやすくし、また糸がすり切れて取れにくくする為の工夫です。
今回購入したFAIRFAXのシャツは2製品とも、ボタンは通常の機械留めで、足がありませんでした。
イタリアの高級シャツみたく全てのボタンに足を付ける必要は無いと思います。しかし、留めにくく、かつ糸か切れやすい襟の第一ボタンには、足があると嬉しいです。
袖丈のサイズ展開が欲しい
記事執筆時点では、FAIRFAXのシャツサイズは首回りのみで、袖丈は選ぶことができません。
人によって腕の長さはだいぶ異なるため、出来れば3種類くらいの袖丈のサイズ展開があると良いと思いました。
もちろん、袖のボタン取付位置を動かすなどすれば、ある程度のサイズ違いは吸収出来ます。しかし、せっかくカフを立体裁断するなど見た目と着心地にこだわっているので、それを損なう方法での調整はしたくありませんよね……。
なお、シャツ袖が長いときの対処法については、下記記事をご参照下さい。
6.おわりに
FAIRFAXのシャツは、イタリアらしい柔らかさと、日本らしい正確な縫製がうまく合体できた好例だと感じました。
特に、軟らかい芯地でここまで綺麗な襟の形が出るのは、この価格帯としてはかなりお得感があります。
このクオリティなら定価1万5千円でも納得できますし、セールなどで安く買えるのであれば、お得感はかなり強いでしょう。(サイズ展開の問題があるため、腕の長さが合えば、という条件付きにはなりますが……^^;)
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