着こなし

結婚披露宴の服装、気をつけたいNGポイントと取り入れたいGoodポイント

投稿日:平成27年(2015) 11月29日  更新日:令和3年(2021) 2月28日 

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皆さんは結婚披露宴に招待されたとき、どの様な服装で参加していますか?

先日、友人の結婚式に招待されたとき、列席者の服装を眺めていると、感心するものから違和感を覚えるものまで様々ありました。

そこで今回は、意外に悩む結婚披露宴の服装について、どの様に選べば良いのか、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

 

1.披露宴参加者の「服装の役割」とは?

この手の話題をするときに議論になるのが、「礼装」V.S.「盛装」の議論です。結婚披露宴の服装を考える上でブレがちな論点なので、予め整理しつつ、披露宴参加者の服装の役割を考えます。

「礼装」V.S.「盛装」

礼装(礼服)とはある儀式のために用いられる服の事です。 礼服の目的は、予め礼を失しないとされる服装を定めておき、場の雰囲気を壊さない様にすること。または、参加者が礼を失しない服装を選びやすくし、参加しやすくすることにあります。 基本的には、制服的な役割が強いわけです。

では、結婚披露宴に着ていく服が果たして100%礼服なのかというと、少なくとも現代日本の一般的な披露宴に於いては、私は違うと考えています。 披露宴は儀式の一つではありますが、儀式が主体の結婚式とは似て非なる物であり、宴を主体とするイベントだからです。

服装の役割

宴のための服装――盛装は、場を華やかにしたり、お目出度い雰囲気を出すための物です。 そして、それを達成するにあたり、品位や格式を維持することが必要なので、礼服の要素を採り入れているワケです。 つまり、盛装が主で、礼服的要素(品位や格式)が従(手段)であると考えます。

従って、結婚披露宴の服装は、礼服の下地(礼服の絶対NGは守りつつ、細部には拘らない)がある盛装であると考えています。

 

2.礼服と現実解

次に、下地となる披露宴での礼服はどの様な物なのかを考えてみます。

現代西欧の礼服は、着用する時間によって種類が分かれます。 日中の礼服がモーニングで、少しドレスダウンしたものがディレクターズスーツ、夕方以降の礼服は燕尾服(テイルコート)で、同じくドレスダウンしたものがディナージャケット(タキシード)です。

では、日本の結婚披露宴にもこの様な服を基準に参加すべきかというと、実際には新郎がモーニングを、近親がディレクターズスーツをといったケースが多く、一般参列者が着用するとかなり浮くことになります。

従って、よっぽど格式の高いもので無い限り、略礼服である濃紺やチャコールグレイといった、無地のダークスーツ(略礼装)を用いる方が良いでしょう。

ブラックスーツは?

では、日本で略礼装として通用し、慶事にも弔事にも広く用いられているブラックスーツ(真っ黒のスーツ。≠ダークスーツ)はどうでしょうか。

ブラックスーツでも特段問題ないとは思いますが、披露宴(慶事)なら日本でもダークスーツが認められていること、また、ダークスーツの方が華やな装いをしやすいこと、西洋では慶事にブラックスーツがあまり用いられないことから、私はダークスーツの三つ揃いを選んでいます。

なお、「西洋では○○だ」という主張は「郷に入らずんば郷に従え」の意見とぶつかることがあります。 私は、日本の披露宴で盛装としての目的を達成するためにプラスになる範囲で、という条件内で出来るだけ西欧基準に準拠すれば良いのでは無いかと考えています。

(参考画像)

 

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▲ モーニング(左)、燕尾服(右)*

 

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▲ ディレクターズスーツ(左)、ディナージャケット(右)*

* 画像出典:吉村誠一(2010)『メンズ・ファッション用語大事典』誠文堂新光社

 

3.気をつけたいNGポイント

それではいよいよ、披露宴の服装で気をつけるべきポイントを見ていきます。私が、私の参加した披露宴で気づいた点について、書いていきます。

① カジュアルなシャツ

クールビズ用に売られている、襟が二重になっていたり、目立つステッチが入っているシャツを着ている方を見かけますが、二次会ならまだしも披露宴ではかなり場違いでした。

また、年配者にも見かける、ボタンダウンのシャツについてもカジュアルに見られることがあるので注意が必要です。三つ揃いにした場合も、ワイドカラーの方が見栄えが良いです。

② 緩んだネクタイ

これは披露宴だけの問題ではないのですが、結び目が緩んでディンプル(結び目の下に出来る「えくぼ」)が消えているタイや、ずり下がったタイを結構見かけます。

大概は結び方が緩いか、タイの造りが良くないのに原因があります。1時間毎にタイを締め直さないと緩んでしまうものは、こう言うシーンでは避けた方が良いでしょう。

③ 相応しくないスーツ

ライトグレーだとか、強いストライプや格子柄だとか、いかにも通勤用といった、すこし場違いな服装をたまに見かけます。(もちろん、通勤用に使っているスーツがすべてNGと言うわけではありません。)

披露宴には、無地のダークスーツか、あっても織り柄程度にとどめるべきだと思います。

④ ドレス度が低い靴

汚れた靴、ローファー、運動靴タイプ、靴底が厚いもの等々がNGの代表格でしょう。オススメは、黒のストレートチップかプレーントゥ、内羽根の紐靴です。そして、式前日には良く磨きます。(話は変わりますが、当日の天気が悪いと、選べる靴が少なくなってゲンナリしますよね……)

⑤ スポーツタイプの時計

かつてはNGだったダイバーズウォッチとスーツとの組み合わせが許容される様になるなど、最近はカジュアルな時計がスーツスタイルに受け入れられてきました。 それでもドレスウォッチの方が華やかな雰囲気になりますし、ましてやラバーバンドの時計はとてもあう物ではありません。

 

4.採り入れたいGOODポイント

続いて、これは良いなと思うGOODポイント(そして、私も採り入れているポイント)をご紹介します。

① シルバーのネクタイ

普段着ている様なスーツでも、一気に華やかに見せることが出来るのが、シルバーのタイです。シルバーの無地、小紋柄や、シルバーに黒の細かいストライプなどは、特に格式と華やかさを両立できるので、1本持って置いて損は無いと思います。

シルバーのタイは、準礼装でもあるディレクターズスーツでも用いることが可能です。

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② ポケットチーフ

ポケットチーフは礼服で採り入れられているディテールで、これもドレス度と華やかさをあげるために、有効なツールです。

参加者の年齢が高かったり、良いホテルでの披露宴でしたらスリーピークスなど、カジュアルな雰囲気ならばパフドスタイルを、と言った具合に、差し方をかえてみて下さい。

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③ スリーピース(三つ揃い)

スリーピースも礼服では定番のデザインです。(ディナージャケットは省略系のカマーバンドが主流になってはいますが、ジャケット単品では着ないと言う意味では同じです。)

同じスーツでも、スリーピースにするだけで、すこし改まった雰囲気になります。今回つ買っている写真は共地のスリーピースですが、たとえばライトグレーのウェストコート(ベスト)に替えると、さらに華やかな雰囲気になります。

参考記事:タグ「スリーピース

④ ネクタイを少し持ち上げる

タイをよくしめて、ノット(結び目)から少し下の大剣をふんわり前に出すと、華やかな雰囲気になります。 普段やり過ぎると野暮に見えますが、披露宴では悪目立ちしません。

スリーピースを着るとこれがやりやすくなります。さらにウェストコートの中でタイバー(タイピン)を使うことで、さらに効果を強めることが出来ます。(写真参照)

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⑤ カフリンクス

カフリンクス(いわゆるカフスボタン)は、披露宴を初めとした式典やパーティーにはぴったりの装飾です。デスクワークが多いから会社には着けていかない、と言う方も、この機会に挑戦してみて下さい。

(カフはダブルカフの方が華やかに見えますが、シングルカフの方がクラシカルです。)

参考記事:カフリンクス(カフスボタン)をイチから考える

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5.おわりに

かつて、スーツ(ラウンジスーツ)こそが平服でした。しかし、オフィスのカジュアル化や、正式な礼服を着る機会が減少したことなどにより、逆に以前より略礼装(ダークスーツ)の活躍する場面が多くなってきている様に思います。

略礼装は礼服の様に、制服的に詳細が決められているわけではありませんから、(もちろん、礼服的な基本は必要ですが)ある程度自由に装いを決められる服装です。 従って、私たち自身が選ばなくてはならないポイントが多くなっていると感じます。

選択肢の幅が広がると言うことは、お洒落の幅が広がると言う事でも有ります。しかし一方で、場所、参加者、式の目的がどの様なものなのかによって、その場を形作る参加者の一員として、場に沿った装いをしなくては為らないという責任も大きくなっているのだと思いました。

皆さんは、次回の披露宴にはどの様な格好をしていきますか?

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