レビュー

超高級生地「カルロ・リーバ」でシャツを仕立ててみた

投稿日:令和元年(2019) 6月9日 

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1着6万円という正気とは思えない価格が平気でつく、イタリアの超高級シャツ生地ブランド「カルロ・リーバ(Carlo Riva)」。

イギリス系のガッシリとした生地が好みでコスパ重視の私には、一生縁は無いだろうなと思っていましたが――「半値」と「人柱」に飛びついて仕立ててしまいました。

到底、万人にお薦めできる生地ではありませんが、それでも仕立ててみようかな……と思った方の参考になればと思い、記事にしてみます。

非常識な値段ですが、見た目も着用感も非常識な生地でした。

1.購入の経緯

※ レビュー本編については次項以降でお伝えします。急いでいる方は本章の飛ばし読み推奨です。

ネット通販でのオーダー機会が増えた

ここ数年、オーダーシャツは(多い順に)ネット通販店、テーラー、シャツ専門店の3カ所で仕立てています。

中でも、(時間と価格両面の)コスパと稀少生地が多いという点で、ネット通販を多く利用するようになっています。

このサイトを昔からご覧の方はご記憶にあるかも知れませんが、7~8年くらい前の極端な円高かつ国内のネット通販が未整備の時代は、海外サイトからよく購入していました。

しかし最近は、価格の低下、サイト操作性の向上などから、通販サイトはほぼ国内一択になっています。なかでも、本サイトで何回も取り上げているFirst Experienceは、実店舗ではあまり見かけないような面白い生地をちょくちょく扱っていて、重宝しています(すぐ売り切れてしまいますが……)。

カルロ・リーバが3万円台?

オーダーシャツ好きの方なら、「カルロ・リーバ」というメーカーの名前を聞いたことがあるかも知れません。そう、1着6万円という正気とは思えない値段のシャツとして^^;

昨年の11月、そんなカルロ・リーバの扱いを開始したという内容のメールマガジンが、First Experienceから届きました。しかも、取り扱い開始記念のお試しで3万円台という価格です。

正直、イタリア系の薄いテロテロ生地にはあまり興味が無く、いままで遠ざけてすらいました。

しかし「食わず嫌いなのでは無いか?」「レビューもあまりないし、人柱すべきでは?」という悪魔のささやきが聞こえ、いつの間にか注文してしまっていたのでした。

半年後のレビューになった理由

仕上がったシャツが到着したのは、実は昨年の暮れでした。

なぜこの時期にレビューかというと、理由は一つ。このシャツは通気性がとてつもなく高く、冬には着ていられないからです^^;(後ほど詳述します。)

 

2.外観レビュー

それでは、実際にどんな物か見ていきます。

開封

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注文後、約3週間で到着しました。価格は3万円台中盤……。仕事のストレスが溜まっていたのかも知れません。

 

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ラグジュアリーラインなので、青い箱つきです。贈答用ではないので正直要らないんですけどね……。

ラグジュアリーラインについては、別の記事で解説していますので、興味があったらご覧下さい。

 

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「良い生地は無地に限る」(正確には「無地は良い生地でないとダメ」)ということで、白無地を購入しました。

 

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せっかくの高級生地ということで、ポケットチーフオプション(+1,000円)も選択しました。

カルロ・リーバの生地を使ったポケットチーフは、1万円するものもあり、もしシャツを購入するならポケットチーフオプションはお勧めです。

 

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180番双糸の「リシオ(Liscio)」です。イタリア語で「なめらか」という意味。

ディテールの確認

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ラグジュアリーラインのため、タグは織りネームのみです。

 

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通常はこんな感じで、First Experienceのタグと一緒に織りネームがつきます。

 

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衿は襟腰4.1mmの「NEWセミワイド」。通常のワイドカラーは襟腰が高いので、最近はこちらを使う事が多いです。(体格が大きい方、首が長い方は通常のワイドカラーで良いと思います。)

 

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3mm厚の白蝶貝ボタン。購入当初は1,200円のオプションメニューでしたが、今はラグジュアリーラインであれば無償化されています。

 

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ボタンは標準で手付けです。

トルソーで確認

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驚いたのが、トルソーに着せようとしたとき、まるで薄いシルクの様な手触りだったことです。

写真では分かりづらいですが、トルソーの地肌が透けています。(本件については後述します。)

 

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ラグジュアリーラインの特徴である背中のギャザーです。

薄い質感とあいまって、女性用のブラウスを彷彿とさせます。

 

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縫い目。薄い生地にあわせて、運針がかなり細かくなっています。

 

3.カルロ・リーバのリシオを1日着てみて(着用レビュー)

続いて、実際に丸1日着てみての感想です。正直、普通のシャツとは全く異なる着用感でした。

着ている感覚が無い

表現に困るのですが、一言で表すと「着ている感覚が無い」生地です。

腕の感覚で言うと、薄いティッシュペーパー(それも、2枚組のものを1枚に剥ぎ取った上で)をふわっと載せたような感じです。

単に薄いだけで無く、「リシオ(なめらか)」の名に恥じない、なめらかな肌触りがこの感覚を作り出しているように思います。

すさまじい通気性

次に感じたのが、通気性の高さ。

風が吹くと、ダイレクトに肌へその感覚が伝わります。これは夏場専用の生地ですね。

上品な光沢感が凄い

もちろん光沢感も強いです。ただし、一般的な高級生地のギラついた光沢感と違って、かなり上品。

シルクのような光沢と表現されることがあるようですが、もっと上品で、単純に光を反射しているのでは無く、複雑な光沢が重なっている感じです。

 

4.「リシオ」の透け感を掘り下げる

いつものレビューならここでまとめて終わりなのですが、今回は生地の特徴である「透け感」について、もう少し掘り下げてみます。

 

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生地を手で持ち上げてみました。下からうっすら手が見えるでしょうか?

 

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全く重さを感じません。正直、綿でここまで薄い布は初めて触りました。

 

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顕微鏡で拡大したところ。透け感の正体は、高番手の細い双糸を粗く織ることで実現していました。良くある、イタリア製の単糸の薄い生地とも違います。

しかし、こんなに粗くても、生地はとてもしっかりとしているのが不思議です。

 

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ちなみに、トーマスメイソンの120番双糸の生地がこちら。完全に方向性が別物ですね(^^;

 

5.まとめ

カルロ・リーバ「リシオ」のメリデメをまとめてみます。

メリット:こんな人にお薦め

  1. 涼しい:麻のようなザックリ感はいらないが、通気性の高いシャツを着たい方に。
  2. 上品な光沢感:綿とは思えないような上品な光沢がある。パーティ用途などで、特別感のあるシャツを着たい方に。
  3. 特別な着心地:とにかく異次元の「何も着ていない」感があるシャツを着てみたい方に。

デメリット:覚悟しておくべきこと

まぁ、当然デメリットもあるわけで。

  1. 高い:とにかく高い。百貨店で仕立てたら6万円――オーダーシャツ6枚分で、一般向きでは無い。
  2. 洗濯は至難:自分で洗ってみたが、アイロン掛けが困難を極めた。クリーニングも業者を選ぶ。
  3. 透ける:透けないアンダーシャツ必須。
  4. 寒い:夏限定。

おわりに

ここまで読んで頂ければおわかりかと思いますが、上記デメリットに加え(今回検証はしていないので記載していませんが)耐久性なども考えると、万人にお勧めできる生地では決してありません。

私はパリッとした生地が好きということもあり、リピートでの購入はないと思います。ただ、あのなんとも言えない着心地は特別で、シャツが好きという方は一度経験しておくのも良いと思います。

 

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