レビュー

First Experienceの新最上級ライン「ラグジュアリーライン」を試す

投稿日:平成31年(2019) 1月20日

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これまで、百貨店、テーラー、シャツ専門店等々、「オーダーシャツ沼」にどっぷりはまってきましたが、最近高頻度で注文しているのがFirst Experienceです。(なお、筆者と同店は特に利害関係はありません。念のため。)

振り返ると、昨年は毎月のように注文を出していたように思いますが、そんなFirest Experienceに新しい縫製ラインができました。

これまでの上級ライン(プレミアムライン;旧称ウエマチモデリング)でも十分だと感じていたのですが、こういうときに人柱になるのがこのサイトの存在意義。ということで、早速注文してみました。

今回は、First Experienceのラグジュアリーラインについて、外観、縫製の状況、一緒に登場した背中のギャザー仕様の是非、着心地、改善点等々について、レビューします。

1.今回注文した仕様

  • 縫製ライン:ラグジュアリーライン
  • 生地:水色、ブロード140番手双糸(Thomas Mason Gold Line HJY601
  • 襟型:ワイドカラー(E05)
  • バックデザイン:ギャザー
  • ボタン:白蝶貝、手付け

ラグジュアリーラインの特徴

公式サイトの説明をそのまま引用すると以下の通りです。

  • 最高級の生地を生かすための最上級の縫製仕様
  • 運針は限界に近い24~28針(生地により異なる)
  • ヨークにはブランド織ネームのみ、FIRST EXPERIENCE織ネームは裾へ
  • ボタン付けは手付が標準
  • 背中ギャザーなどのオプションも選択可
  • シャツの梱包も箱入り

なお、後述しますが、私が購入した時は3mm厚白蝶貝は有料オプションでしたが、その後無料化されています。

ラグジュアリーラインを選ぶ方法

問い合わせると、今後、トーマスメイソンのゴールドライン、DJA、海島綿等はラグジュアリーラインでの展開を予定している、とのことでした。

これは、従来から生地のランクでスタンダードラインとプレミアムラインの縫製に分かれていたのと同じく、生地の選択により自動的に縫製ラインが決まるということです。

つまり、ラグジュアリーラインを利用するためには、ラグジュアリーラインでの縫製になる生地を選ぶ必要がある、というわけです。

価格

従って、値段については「ラグジュアリーラインの価格」というよりは、「ラグジュアリーラインの縫製になるトーマスメイソンのゴールドラインの価格」と言った方が正確でしょう。

今回はフェアで購入したため、白蝶貝のオプションを含んでも1万7千円程度でした。

最近百貨店の価格表を見ていないので麻痺していますが、改めて考えると、トーマスメイソンのゴールドラインが特価とは言え1万円台というのは、驚異的です。

なお、フェアのデメリットは多少納期が延びるくらいなので、定番生地狙いかつ急ぎでなれば、セールに乗っかるのがオススメです。

 

2.ざっくり外観レビュー

それでは、実際に到着して開封するところからレビューしてみます。

到着~開封

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いつも通りの箱で到着します。

 

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開けると、いつもの袋ではなく水色の箱が。

 

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通常は有料(1,080円)オプションとして注文が可能なギフトボックスが入ってきます。

この箱、自分用として注文するときには余計な感じがします。(着用者のヌード寸が必要なオーダーシャツ、それもネット通販のものを贈答として使うシーンは、かなり稀なのではないでしょうか。)

個人的には箱の有益な転用方法が見当たらないため、オプションで有料とする方式(商品原価にデフォルトで入らない形)が良いのではないかと思います。

 

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蓋を開けると……

 

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見覚えのある懐かしいシールが^^;

以前、シャツの袋が不織布だったときに使用していたものですね。

 

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今回はご覧の通り、サックスのブロード生地を選びました。

開封~中身の確認

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写真の通り、ラグジュアリーラインはヨーク裏のタグが織りネームのみになっています。

 

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ブランドタグは裾の部分にあります(色も金色になってますね……)。

 

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襟型は、NEWセミワイドを最近多用していましたが、生地がドレッシーな雰囲気なため、ワイドカラーを選びました。(襟腰4.3センチ、剣先8.0センチのデフォルトのままです。)

 

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運針については後ほどとりあげますが、プレミアムラインに比べてかなり細かくなっています。

 

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通常、背中の仕様はウェストラインが綺麗に見える「ダーツ」を選んでいますが、内側から見ても分かるとおり、今回はラグジュアリーラインで選べる「ギャザー」仕様(無償)としてみました。

 

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外側から見るとこんな感じ。少しフェミニンな感じになるため好みは分かれるかも知れませんし、アイロンがけに難儀しそうですが、柔らかい生地ではそのふんわりとした雰囲気が良く出ると思います。

 

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ビジネス用途としては恐らく限界であろう、140番双糸の表示。手触りがトロトロです。

もちろん、番手をさらに上げた製品もありますが、そちらは3plyや4plyにすることで実現する数字であることが多く、肌触りが堅くなってしまいます。

トルソーに着せてみる

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続いて、いつも通りトルソーに着せて確認していきます。

 

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襟のレビューはいまさらですが、体のラインにピッタリ合っています。ウェストコート(ベスト)を着用する方には特に重要なポイントですが、ここがきちんとしていないとだらしなく見えてしまうんですよね……。

 

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ギャザーについてはこの後詳しく考えたいと思いますが、概ねこんな雰囲気になります。

 

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糸の密度が高いため、高番手生地にありがちな透け感は殆どなく、ビジネスでも心配ありません。(逆に透け感が好きな方もいらっしゃると思いますが、その場合はトーマスメイソンは選ばないですよね^^;)

 

3.縫製はどう変わったか

公式サイトによると、

最高級の生地を生かすための最上級の縫製仕様となります。運針は限界に近い24~28針(生地により異なる)(中略)ボタン付けも手付が標準となります。(後略)

とあります。それぞれ確認してみましょう。

運針はどう?

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襟と肩部分の縫製。細かくて縫い目が殆ど見えません。

 

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こちらは以前同じシリーズ(トーマスメイソンのゴールドライン140/2)のツイル生地を、プレミアムラインで仕立てたものです。比べると縫い目が目立ちます。

 

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拡大するとこんな感じ。明らかにラグジュアリーラインの運針は細かくなっています。

今回選んだブロード等のドレス生地では、運針を細かくすることで縫い目が見えなくなり、よりドレッシーな印象になります。

ボタンの手付けはどう?

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ラグジュアリーラインは手付けのボタンがデフォルト。

根巻き(ボタンの付け根に糸を巻き付ける手法)がしっかりしているので、ボタンの開け閉めがとても楽です。

 

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ボタンホールは従来とあまり変わりません。

その他

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ワキの内側部分。見えないところも縫製がとても綺麗です。

 

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剣ボロ(袖の開きの部分)。こちらも縫い目が殆ど見えません。(逆に言うと、縫い目がアクセントになるカジュアル系の生地には向かないということです。そういう生地がラグジュアリーラインの対象にならないでしょうが……。)

 

4.ギャザーを選ぶ意味はあるか

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今回から背中の縫製に加わったギャザー仕様。ラグジュアリーラインでは無償で選択出来ます(ただし、デフォルトにはなっていない)。

良い面

軟らかい雰囲気になる

イタリア系の手縫いシャツによくあるような、軟らかい雰囲気を出すためにはよいディテールだと感じました。

ギャザーにより、その下の部分がふわりと浮き上がり、綺麗なドレープを形成するからです。

高級感も出る

そして、高い技術力が求められるこういうディテールは、高級感を出す事もできます。

少なくとも安価な市販のシャツには存在し得ないディテールですから、他人との差別化要素にはなるでしょう。

多少動きやすい?

腕の可動範囲が多少増えたような気がします。気のせいかもしれませんが。

悪い面/その他

アイロンが大変

最大のデメリットがこれ。実際に自分でやってみましたがアイロンが大変です。

私が不器用なだけかも知れませんが、ギャザーを潰さずに(残すべきシワを残しながら)他の平面部分のシワを取るのは至難の業。下手なアイロンがけだと、背中のシワが増えたようにしか見えません。

クリーニング屋を選ぶかも

前項にも関連しますが、クリーニング業者を選ぶと思います。機械仕上げ不可で手仕上げに廻される可能性もあります。

雰囲気が女性的/華やかになる

これは一概に悪い面というわけではありませんが、こういったディテールからはフェミニンな雰囲気が出てしまうことがあります。また、装飾的要素が強いため、華美な印象もあります。

従って、どの様な雰囲気のシャツとしたいか、よく理解した上で選択する必要があります。(逆に、軟らかい、または華やかな印象にしたい場合には有効なオプションだと思います。)

個人的評価

万人にお勧めできるディテールではありません。しかし、個人的には今後もふんわりとした軟らかい生地には選ぼうと思っています。

とはいえ、私は三つ揃い(スリーピース)を着ることが多いため、ウェストコート(ベスト)にギャザーの大部分が隠れてしまい、意味があるのか微妙ですけどね……(^^;

 

5.着心地レビュー

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次に着心地をレビューしたいと思います。

基本はプレミアムラインと変わりなし

従来のプレミアムラインで十分な域に達しているため、着心地に大きな変化を感じることはありません。

ラグジュアリーラインは、あくまで見た目の変化が中心と言えそうです。(但し、ギャザーを選ぶことで若干腕が動かしやすくなった気もします。)

生地の肌触りは大きく違う

とはいえ、ラグジュアリーラインの生地という視点からは、着心地に大きな影響があります。

例えばトーマスメイソンのシルバーライン(100番双糸)とゴールドライン(140番双糸)を比べると、肌の感触は全く違います。

もちろん、高番手化に伴って価格は上がりますし、耐久性も下がるため一概に良いとは言えませんが、一度は体験しておくべき肌触りだと思います。

 

6.改善要望を出してみた

顧客からのフィードバックは成長の源泉、というのはどの業界も共通の話かと思いますので、商品のポジティブな感想と共に、クレーマーにならない程度にメールで改善要望を出してみることにしました。

改善要望の概要

  • 贈答用ボックスは不要な人も多く、有償オプション化を希望
  • 代わりに、白蝶貝ボタンはデフォルト化を希望 (贈答用ボックスか白蝶貝ボタンのどちらか無料を選べるようにしては?)
  • 高番手生地の手入れ方法に関するコンテンツがあると嬉しい

回答の概要

  • 白蝶貝は無料化の方向で検討中(筆者註:その後無料化されました)
  • ボックスの扱いや手入れ方法のコンテンツについては今後検討していきたい

この店がすごいのは、利用者の要望に真摯に返答してくれるところ。当然、要望の取捨選択は店の権利ですが、提案によっては採用してくれることもあったりします。(過去に、ユーザーからの要望を元に、共地のポケットチーフがオプションに加わったことも。)

ボタン屋(副資材販売店)を見ると分かりますが、貝ボタンは意外と高く、大量に仕入れているとはいえ、有料オプションの価格が殆ど仕入れ原価なのではないかと思うくらいです。

そういう状況で、ラグジュアリーラインの白蝶貝無償化は英断だと思いました。

 

7.ラグジュアリーラインの総評

高価格帯の生地に相応しい縫製

ラグジュアリーラインは、あくまで高価格帯生地を注文した際に、自動的(強制的)に選択される縫製ラインです。従って、一部の生地でしか体験することはできません。

そして、ラグジュアリーラインでの縫製が指定されている生地、つまり高番手のドレッシーな生地にとっては、ピッタリの縫製ラインに感じました。

万人受けするものでは無い

ただし、それらの生地、縫製、そして価格が、万人に受けするものではないというのも事実だと思います。

市場価格よりかなり安いとはいえ、一般的なビジネス用途として2万円前後という価格帯は、シャツとしては高すぎます。(ツープライススーツが1着購入できるという……。)

ビジネス用途としても使えるものの、「スーツスタイルにこだわりがあって、世間一般よりお金を掛けても良いと考えている方」向け、というのが正解でしょう。

嗜好が細分化された現代にマッチした考え方

スタンダードライン、プレミアムライン、ラグジュアリーラインと、生地の価格別に縫製ランク(つまり縫製コスト)を分けるのは、様々な需要に対応できるよい方法だと思います。

その生地にあった縫製方法という意味もあるのですが、購入者側の「そこまでいらないから安くして欲しい」「ここまでこだわって欲しい」という、細かい要望にマッチするからです。

細かい需要が多く、そして取り込みやすいECサイトならではの戦略ですね。

 

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