かれこれ5年以上利用しているWEB通販専門のオーダーシャツ店「First Experience」。同店で待望の(?)厚みのある白蝶貝ボタンが選べるようになりましたので、試しに購入してみました。
これまで様々なシャツに手を出してきましたが、シャツは「生地」「衿型」そして「ボタン」がその印象を大きく左右するように感じます。
果たして今回の新しいボタンは、どの様な印象をもたらすのでしょうか……?
おことわり:本記事はFirst Experienceから資金提供を受けたものでは無く、全額自腹で購入しています。たまに業者の方から提灯記事執筆の依頼を戴きますが、悪い点を書けなくなるので一律お断りをしています。(みなさまからの新製品や良品に関する情報はお待ちしています。懐具合次第&気が向くままになりますが、購入してレビューしたいと思います。)
1.フォトレビュー
今回選んだのは、First Experience(Sur Mesure)で1,200円(税別、以下同じ)のオプションで選べる白蝶貝ボタンです。
従来、いずれも2mm厚で、1,000円の白蝶貝と500円の高瀬貝がありました。今回はそれぞれに3mm厚のボタンが追加されました。
たかだか1mmの増加かと思われるかも知れませんが、実はこれが大きな差なのです。写真を交えながら見てみたいと思います。
注文から約20日。見慣れた段ボール箱に入って到着しました。
ビニールでは無く不織布に入っています。通気性があり、かつしっかりしているので、衣料品の小分け収納などに重宝しています。
シャツを取り出したところ。固定用の部材を一切使わずに梱包されていますが、型崩れしていないのには毎回驚きます。
イタリアを代表するシャツブランド「アルビニ」(ALBINI)の生地です。汎用性の高い水色ドビー生地で、ビジネスにも使いやすい耐久性のある100番双糸のものを選びました。
こちらが今回初めて選択した、白蝶貝3mm厚のボタン。存在感がすごいです。
トルソーに着せてみました。光るボタンからは高級感が漂ってきます。着丈(=ボタンの間隔)によっては、思った以上に目立つかも知れませんね……。
もちろん、フロント部分のボタンはネクタイを締めてしまえば目立ちません。しかしカフ(袖)は、ジャケットを脱いだ際にはもちろん、着ているときにも袖口から覗くため、どの様に見えるかは重要なポイントです。
上の写真は、左袖のカフを斜め後ろか見たところです。まるでカフリンクス(いわゆるカフスボタン)をしたような豪華さです。
反対側――斜め前から見るとこんな感じ。今度は厚さが際立ちます。
ボタンが大きくなると、付け糸の負荷が気になりますが、袖と襟のボタンは根巻き(ボタンに糸を巻き、補強する取り付け方法)をしてあるので、安心です。
2.従来の白蝶貝ボタンとの比較
続いて、従来からある白蝶貝ボタン(直径11.5mm、2mm厚)との比較です。
従来の白蝶貝ボタンを使った、灰色(正確には黒のドット柄)のシャツを隣に置いてみました。
左が従来の、右が今回の白蝶貝ボタンです。直径は同じ11.5mmですが、厚さが僅か1mm違うだけで、立体感が全く異なります。
上から見たところ。一目瞭然です。
3.他社製シャツとの比較
続いて、他社製シャツとの比較をしてみます。
註:ボタンの形状は、同じメーカーでもシャツの種類や製作時期によって異なることがありますので、ご注意下さい。
左(水色)がFirst Experience、右(白色)がイタリアのシャツブランド「ルイジ・ボレッリ」(Luigi Borrelli)のシャツです。
少し分かりづらいので拡大してみました。
実は両者共に、11.5mm×3mmのボタンです。しかし、ルイジ・ボレッリ側は面取りされているため、若干小さく見えます。こうしてみると、面取りされている方が上品に見えますね。
手近にあったシャツを比較してみます。左から、
- 蝶矢シャツ(10mm×2mm)
- 土井縫工所(11.5mm×2mm)
- First Experience(11.5mm×2mm)
- First Experience(11.5mm×3mm)
- ルイジ・ボレッリ(11.5mm×3mm)
です。
上から見たところ。やはり、正面以外の角度から見ると、3mm厚の右2つ(First Experience、ルイジ・ボレッリ)がよく目立ちます。
(参考)4mm厚ボタン
貝ボタンの厚みは3mm迄なのかというと、そうではありません。イタリア製を中心に、4mm厚以上のボタンを使ったシャツも流通しています。
左から、
- フライ(10mm×4mm)
- フィナモレ(10mm×4mm)
- ルイジ・ボレッリ(11.5mm×3mm)
- First Experience(11.5mm×3mm)
- First Experience(11.5mm×2mm)
- 土井縫工所(11.5mm×2mm)
- カミチャニスタ(10mm×3mm)
です。小さくなってしまうので、左から5つだけを拡大してみます。
左から2つが4mm厚です。直径は10mmと、レビュー対象のボタンに比べ小さいですが、かなりの存在感です。
見た目には上品な高級感を、着心地としては留めやすいのが特徴です。一方で、安いクリーニングでプレスをしてしまうと欠けやすいという欠点もあります。
4.高瀬貝の3mm厚ボタン
今回の貝ボタンのオプション追加で、同時にラインナップされたのが11.5mm×3mmの高瀬貝ボタン(700円)です。1,000円(2mm)、1,200円(3mm)の白蝶貝よりも安価なオプションです。
注文時、ダメ元で備考欄に「比較をSNSに掲載したいので高瀬貝のサンプルをくれませんか?」と書いたら、納品時に同梱してくださいました。有り難うございます……。
左が高瀬貝の3mm厚ボタンです。(中央と右が白蝶貝の3mmと2mmです。)
やはり、透明感や輝きは白蝶貝に劣りますが、デザインはこちらの方が好みですね……。(最初に出てきたルイジ・ボレッリのボタンと似た形です)
どちらを選ぶかはデザインの好みと、500円(1200-700=500)の差をどう考えるかになると思います。ただ、ボタン屋の相場から比較すると、First Experienceの白蝶貝はお得感があります。
5.評価と感想
最後に、今回追加された白蝶貝ボタンの感想と評価を。
目立ち度合い
フォトレビューからも分かりますが、結構目立ちます。ネクタイをする方であればおすすめですが、アンタイド(ノーネクタイ)だと、反射面積の広いボタンがかなり目立ちます。これは、旧来からある11.5mm×2mmの白蝶貝ボタンにも言えることですが……。
着心地
厚みが増えたことから、ボタンが留めづらくなったのでは無いかと心配していました。しかし、実際に着てみるとそこまで着づらくはありませんでした。
もちろん、ボレッリのような面取りタイプや、直径10mmのボタンに比べれば留めづらさはありますが、問題にするほどではありません。
総合評価
白蝶貝の輝きが好きな方にとって、今回のオプションは良い選択になると思います。特に、袖ボタンの存在感は良く、一目で高級な貝ボタンだとわかります。(私も、白蝶貝の輝きが大好きです^^;)
一方で、ノータイがメインの方には、高瀬貝3mmか、従来の2mmの白蝶貝で十分だと思います。
(おまけ)あれば良いな
- 10mm×4mmの白蝶貝ボタン
- 面取りされた11.5mm×3mmの白蝶貝ボタン
やはり、あの面積と厚さで面取り無しだと、ネクタイを外したときの下品さが否めません。
同じ価格で実現が可能であるならば、1.面積を小さくして少し厚くしたボタン か、2.(ギラギラさを緩和しかつボタンの留め/はずしがし易い)面取りされたボタンが欲しくなります。
次回注文時にでも要望として備考欄に書いてみようと思います……。
以上、皆さんが購入する際の参考になりましたら幸いです。