夏の暑い時期、皆さんは腕時計をしていますか?
仕事上や世間体で仕方なくつけている……という方もいらっしゃるとは思いますが、個人的には、腕時計は男性が装着を許される――それも堅い仕事であっても許される――数少ない装飾品のため、ファッションの一部として日々着用しています。
しかし、手首を覆い続ける腕時計は高温多湿の日本の夏において、中でも汗っかきの方におかれては、不快感を催(もよお)しやすいアイテムの一つであることは確かです。
そこで今回は、夏の暑い時期、気持ちよく腕時計をファッションに取り入れるための汗対策やメンテナンスについて、私が実践しているTIPSをご紹介します。
1.金属ブレスを選ぶ
クラシカルな革ベルトは、ビジネス用途にとてもよく映えますよね。しかし、腕時計のなかで、まず汗のダメージを受けやすいのが革ベルトです。
革ベルトは、汗の吸収と乾燥を繰り返すだけで傷みます。さらに、乾燥しづらい状態に置かれると、傷むばかりか雑菌の繁殖により臭いやすいのです……。(革靴と同じですね。)
従って私の場合、梅雨時から秋口に掛けては、基本的に金属ブレスの時計をすることが多いです。
革ベルトの腕時計でも大丈夫
実は、革ベルトの腕時計の多くが、金属ブレスに交換することが可能です。
ただし、後から純正品を購入すると高額なため、サードパーティ製を選ぶのも手です。
こちらはバンビ社のオスカーOSB4478Sというサードパーティ製の金属ブレスです。
値札が1万2千円となっていますが、探せば1万円を切る値段で買えます。(ブランドにも寄りますが、純正品の1/5以下ですね……。)
とはいえ、やはり純正品のほうが値段分作りは良い場合が多いです。また、後から純正の金属ブレスを購入すると高額なこともあって、時計購入時に金属ブレスのモデルがある場合は、ブレスの方を選ぶようにしています。正直、革バンドは(尾錠やDバックルを除くと)純正品と区別がつかない事が多いので……^^;
交換は革バンドの取り替と同様で、バネ棒外しを使います。
心配な方は、直接店頭で購入し、その場で付け替えて貰うのも手です(ヨドバシカメラなど、家電量販店でも対応しているところがあります)。
バネ棒外しについては、過去の記事をご覧下さい。
チタン製という選択肢も
色が多少赤みがかってしまう、ステンレスほど光沢が出ないというデメリットはあるものの、金属アレルギーの方はチタン製の腕時計を利用するのも手です。
また、品数が少ないですがサードパーティ製のチタンブレスもあります。
2.ブレス/バンドをゆるめに調節する
時計店などで「ブレスのあそびは指一本分の余裕があると良い」と言われることが多いですよね。
タイト目が好きな方は、指1本がギリギリ入るくらいに調整しているかと思いますが、私の場合は暑いシーズンになると、指に多少余裕がある状態くらいまで緩めています。汗のたまり具合が大分違うからです。
さて、革バンドなら穴を1つずらすだけですが、金属ブレスの場合どうしたら良いのでしょうか。次に見ていきます。
アジャスタで調整する
一番簡単なのが、バックルについているアジャスタで調整する方法です。
写真の○部分が現在繋がっている位置です。これをバネ棒外しを使い、矢印の方向にずらすことで緩めることが出来ます。
この時計では7段階に調節出来ますが、バックルによっては2つだったり、あるいはそもそもアジャスタが無かったりします。
アジャスタが無い場合や、現在のセット位置が一番外側にある場合には、調整用のコマを追加して緩めます。
短いコマを追加する
腕時計の金属ブレスは、アジャスタが無い場合や大きくサイズを変更する場合には「コマ」の脱着で調整します。
ただ、往々にしてコマは1つのサイズが大きく、その脱着でユルすぎるorキツすぎるになりやすいです。
そこで登場するのが短いコマで、これと普通のコマを組み合わせることで、サイズを微調整できます。
なお、今の腕時計に短いコマがついていなかったとしても、購入時に時計店等で調整して貰った際に予備のコマとして入っている可能性がありますから、確認してみると良いでしょう。。(もちろん、製品によっては短いコマが無いものもあります。)
腕時計はデザインや性能も重要ですが、バックルにアジャスタがあるか、無くても短いコマがあるかというのも、私が腕時計を選ぶ際の基準に入れています。
3.防水の革ベルトを選ぶ
夏でもやっぱりドレッシーな革ベルトが良い! という方もいらっしゃると思います。
そんな方にオススメなのが、防水の革ベルトです。
ベルトの裏に加工がある
▲ 写真はカシスのミュールズで、ベルト裏にカウチックという天然ゴムを貼り付けたタイプ
防水の革ベルトとは、ベルトの裏にポリウレタンやゴムを貼り付けたもののこと。もちろん、表側は普通の革で、時計を装着している分には全く分かりません。
実は、以前はこのタイプのベルトを「どうせ蒸れそう……」と経遠していたのですが、先日気まぐれで購入して装着してみたところ、思ったより快適で拍子抜けしました。
この件については、後日レビューで詳細をお伝え出来ればと思います。
CASSIS[カシス] カーフ 時計ベルト 裏面防水 MULHOUSE ミュールズ 20mm ブラウン 交換用工具付き U00406560...
それでも一日は休める
水に強いとは言え、表側は天然の皮革です。一日中装着した場合、連日の使用は避けた方が良いと思います。
このあたりは、やはりまだ金属ブレスの方に分がありますね……。
とはいえ、この写真ではボケて見えませんが、ワンタッチで外せるバネ棒外し(レビュー記事参照)を使う事で、バンドのみローテーションしながら使う事は出来そうです。
Dバックルを活用する
また、暑い時期は頻繁に脱着することも考えると、Dバックルを活用することも重要です。
Dバックルがあるだけで、落下の心配なく、サッと腕時計を外したり装着したり出来ます。
Dバックルについては、過去に記事を書いていますので、興味がある方はご覧下さい。
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腕時計が快適・安全になる「Dバックル」を考える
時計の革ベルトを、金属バンドの時計の様にワンタッチで留められるようにする金具、Dバックル。その概要、メリット、取り付け方法、種類などを考えます。
4.オーバーホールも大切
前項までは、腕時計のバンド/ブレスにかかわるものでしたが、汗は、実は時計の内部にまで浸透することがあります。
防水性は確実に低下する
通常、防水性を謳う腕時計は、内部に水が浸入しないようにパッキンなどのシールが施されています。
しかし、大切に使っていても経年でシール部分が劣化し、防水性は下がっていきます。
私も最初は、たかが汗程度なら大丈夫では? と考えていたのですが、どうやら違うようです。時計屋に訊いたところによると、以下の通り。
汗は少しでも内部に侵入すると、不純物が多いため機械をすぐに錆びさせるため注意すべき。そして、直接入らなかったとしても、汗が蒸発する過程で、水分が時計の内部に侵入してしまうのだとか。
ということで、調子が良くても定期的にオーバーホールした方が良いというのは、こういうところにも理由がありそうですね。
アンティーク時計など、非防水は避ける
クォーツショック直前の1950~60年代に製造された機械式時計は、高品質で格好が良い割に、弾数が多いため安く手に入ることから、この記事をご覧の方にも好きな方がいらっしゃるのでは無いでしょうか。
しかし、これらのアンティーク時計は、基本的に防水性が無い(生活防水すら無い)ものが多いため、夏場には注意することが必要です。
私もオーバーホールに出した際、時計技師に「この時計は汗をかきやすい時期や、水濡れやすいシーンは避けた方が良い」と”出場停止”を喰らった時計が何本かあります^^;
5.こまめに掃除し臭いを防ぐ
そして、最後は日々のメンテナンスです。
夏場は汗や皮脂が多くなり、時計が特に汚れやすい時季です。そしてこの汚れを放っておくと、当然蓄積して見栄えが悪くなるばかりか、臭いが出たりします……。
基本は歯ブラシとセーム革
▲ 写真は「馬蹄印セーム革」。時計だけで無く、カフリンクスやタイバー、万年筆などのメンズアクセサリーの清掃/艶出しに最適。
持っておくと便利なのが、軟らかい歯ブラシとセーム革です。
セーム革
基本的にはセーム革で全体を拭くだけで、かなり綺麗になります。これは時計を外した際、装着する前にクセにしておくと良いと思います。(スーツや靴のブラッシングと一緒ですね。)
歯ブラシ
そして、金属ブレスの場合、定期的に歯ブラシをかけるとさらに良いでしょう。
やり方は簡単で、まずはコマとコマの間、バックル、ケースの裏蓋附近など、汚れやすい場所を歯ブラシでブラッシングします。
一旦ティッシュやキムワイプ等で掻き出した汚れを大雑把に拭った後、仕上げにセーム革で艶出しするだけです。
奥の汚れには超音波洗浄
ただ、本当に奥まったところの汚れはブラシだけでは難しいため、超音波洗浄機を使うと簡単です。
こちらについては、以前レビューした記事がありますので、興味がある方はご覧下さい。
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