腕時計の主力が機械式からクオーツ式にかわり、そしてその役割がスマホに移った今でも、私は機械式時計を好んで使っています。
スマホはもちろん、クオーツ式腕時計も使いますが、それでも機械式の登場頻度は高い状況です。
本日はビジネスマン向けに、私が考える機械式時計の魅力をご紹介します。
理由1:大人なファッションの一部として用いやすい
トラディショナルなスタイルに合う機械式腕時計
腕時計は、動作の仕組みから大雑把に「クオーツ式」と「機械式」の2つに分かれます。
誤解を恐れずに言うと、クオーツ式は「時間に正確で多機能、価格も安く、取り扱いも手軽といった実用品」、機械式は「外装や仕組みの美しさ、趣味として奥の深い工芸品」という性格の違いがあります。
そして、ファッション面でいうと、クオーツ式は若者的なカジュアル寄りのものが多く、機械式は大人なトラディショナル寄りが多いという棲み分けがあります。
スマホの登場で役割が明確化する機械式腕時計
かつて、扱いの手軽さ、時計の正確さ、(アラームや電話帳などの)多機能さから、ビジネスマンの実用腕時計としてはクオーツ式が一般的でした。しかし、スマートフォンの登場によって状況が変わります。
単純に時間を把握するだけであればスマホで十分ですし、時間の正確さや多機能さも当然クオーツ式腕時計はスマホに敵いません。実用品としてのクオーツ式腕時計は、その地位をスマートフォンに奪われつつあります。
しかし、ファッション的側面の強い機械式腕時計は、クオーツ式の凋落に伴い、相対的にその役割を増しつつあるのです。つまり、今から機械式腕時計に興味を持ち、使い始めることは、必ずしも懐古趣味というわけではありません。(多少強引ですかね。まぁ、個人の感想です^^;)
様々な年代の腕時計でコーディネートを楽しめる
機械式腕時計の特徴として、意外かも知れませんが「長寿命」があります。
クオーツ式は電子部品から成り立っており、部品が供給されていれば修理が可能です。しかし、メーカーが製造を止め、部品の在庫も底をつけば、修理不能になります。
一方で機械式腕時計は、部品在庫が無くなろうとも、時計メーカーが消滅しようとも、時計職人の手によって部品が製作可能なため、半永久的に修理が可能です。
従って、スーツスタイルにおそろしくマッチし、かつ日差の少ない1960年代の優良個体が、今でも安価(数万円程度で)に手に入り、そして日常使い出来るのです。
宝飾性とステータス性もある
宝飾性
スーツスタイルにおいて、男性に許される宝飾品は、女性に比べてかなり限定的です。その限られた宝飾品の中でも、様々な個性やステータスを演出できるのが機械式腕時計です。
もちろん、クオーツ式であっても宝飾性の高い腕時計は沢山販売されていますが、多くのメーカーで高級ラインは機械式が占めています。
金色や銀色に輝くケース、美しい針や文字盤、艶やかなバンドなど、機械式腕時計は男性に許される宝飾品としては、かなりの存在感がありますし、様々なバリエーションを楽しむことが出来ます。
ステータス性
また、私自身は持ち合わせていませんが、3桁万円を超える高級腕時計がゴロゴロ存在するのも機械式腕時計の特徴です。
スーツスタイルは、金持ちと貧乏人の格好を均一化します(サイズが合い、標準以上の素材を使ったものであれば、高いスーツも安いスーツも、一般には見分けが付きません)が、その中にあって、腕時計はその高価・安価が最もわかりやすいパーツと言えます。
機械式腕時計は、地位や財力を表現する必要のある職業や立場の方が、手軽に自己演出可能な手段というわけです。(やる/やらないは賛否あろうかと思いますが、客観的な事実として。)
理由2:趣味性が高い
メカ好きの男性に合う
いくつになっても「メカ」が好き、という男性は多いですよね。
機械式腕時計は、シースルーバック(透明の裏蓋)から見える機械の動き、ゼンマイから始まる物理的動力で一段ずつ動く秒針、そして機械が奏でる規則的な音など、メカ好きの男性を魅了する要素が満載です。
見ているだけ、音を聞いているだけでも楽しくなります。
他人と違うものが好きな方に合う
また、他人と違うものを身に付けたい男性にもお勧めです。
愛好者が増えてきたとはいえ、機械式腕時計はメジャーなものではありません。また、古い時計も現役で動き続けるため、現時点での販売ラインナップ幅に加え時代の奥行きが深く、従って多品種となるため、他人と腕時計でカブる事が少ないのです。
コレクション性が強い
先述の通り、機械式腕時計は整備/修理することで長く使い続けることが出来るため、設計も程度も良い1960年代の機械式腕時計が中古市場で大量に、しかも手が届きやすい価格で流通しています。
したがって、自分好みのデザインに巡り会うたびに購買意欲がかき立てられるため、コレクション性が高く、長く楽しめる趣味と言えます。(気をつけないと中毒になります。年間で使う予算を決めておきましょう。ランニングコストにも注意<後述>。)
理由3:資産価値が高い
資産価値はファッションアイテム中No.1?
スーツスタイルやジャケパンスタイルの最大の弱点の一つは、資産価値が著しく低いことです。
ここで言う資産価値とは、買取業者や他人に、どの程度で売れるかというもの。例えば、10万円で買ったスーツは、古着屋の買取で1万円を超えることはほとんどありません。せいぜい数千円でしょう。つまり、スーツはタグを取っただけで資産価値はわずか数%になるともいえます。
一方で、腕時計はブランドにも寄りますが新品で購入しても半分程度、中古であれば7~8割の価格で売却できることも。(某ブランドでは、新品価格よりも中古買い取り価格の方が高くなるケースもあります。まぁ、これは異常な事態ですが……。)
そして、永く使えることや、需要などから、資産価値はクオーツよりも機械式が有利です。
従って、購入する際、スーツであれば(言い方は悪いですが)買った瞬間に再販価値のない消耗品として心のバランスシートに費用計上されますが、機械式腕時計であれば売却もできる「資産」となるため、購入のハードルが下がるのです。(自分への言い訳かも知れませんが^^;)
注意1:ランニングコスト
いくら資産価値があるとはいえ、機械式は定期的なオーバーホールが必要という弱点もあります。(クオーツ式も正確にはオーバーホールが必要ですが、その話はまた別の機会に。)
オーバーホールには3~5万円/回かかり、日常使いすると3~5年に1回は必要になります。
コレクション性が高いアイテムだけに、安い機械式時計を沢山揃えて日替わりで使おうとすると、大変な目に遭うので注意しましょう。
注意2:腕時計投資はほどほどに
巷では、値上がり益をもくろんで、「腕時計投資」が流行していると聞きます。
しかし、先述のオーバーホールにかかるランニングコストに加え、値下がり、落下/衝突、紛失盗難リスクなどあるため、個人的には腕時計投資はあまりオススメしません。
「所有していて、どうしても売却せざるを得なくなったとき、値上がりしていればラッキー」くらいの期待にとどめておくべきでしょう。
おわりに
本日は、私の考える機械式腕時計の魅力について解説しました。若干強引な機械式腕時計推しの内容になりましたが、どの様に感じましたか?
私自身は、なにがなんでも機械式……というわけでは全く無く、クオーツ式も使いますし、スプリングドライブ式という変わり種も大好きですが、選べと言われたら機械式が一番ですかね。
機械式腕時計を使ったことが無い方、メカ好きの方、特にいままでデカ厚のクオーツばかり付けていた方は、ぜひ一度店頭で薄型3針の機械式を試着してみて下さい。スーツやジャケパンが抜群に合う、生涯の相棒に出会えるかも知れません。
皆さんはどんな腕時計が好きですか? また、コロナ禍を経て好みの時計は変わりましたか?(スーツを着なくなって2~3針を付けなくなったという話は聞きますが……。)
よろしければ、コメントをお待ちしています。