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暑い時期、アンダーシャツの選び方(後編)

投稿日:平成30年(2018) 5月20日 

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前回は、スーツ/ジャケパンスタイルにおける、アンダーシャツ(インナーシャツ)の選び方について考えた後、その条件に見合いかつ価格も手頃なグンゼYGについて触れました。

今回は後編ということで、ゴチャゴチャ沢山あるグンゼYGカットオフシャツ同士の比較と、個人的オススメの選定、ついでに上位製品でもあるSEEKとの比較もしてみたいと思います。

4.比較対象製品一覧

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今回、比較のために買ったのはこちらの5種類。左から順に、下記の通りです。

 

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今回は枚数が多く、送料無料に達したこともあって、グンゼの公式サイトから購入しました。

ただし、1枚単位の購入であればAmazonを利用した方が安上がりです。

 

5.新旧製品の違い

まずは、基本的なところを。

 

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グンゼの公式サイト上では分からなかったのですが、買ってみて明らかに①~③(左の3製品)、④~⑤(右の2製品)でパッケージが異なりました。 そこで、グンゼの問合せ窓口に違いを確認してみることに。

その結果、①~③が新製品、④~⑤が従来品との返答でした。

それでは具体的にはどんな違いがあるのでしょうか。問合せの結果も踏まえつつ、実際に見ていきましょう。

1)従来品は綿の混紡率が高い

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▲ 左が新製品である①、右が従来品である④の品質表示タグ(品質表示タグも、新製品はISO表記に変わっている)

まず、最大の違いはこちら。従来品である④~⑤はYGカットオフ唯一の綿90%と、綿の混紡率が高いのです。

なお、④~⑤の従来品はすでに生産中止で在庫分のみとのこと。天然繊維好きの方は見かけたら即購入が良さそうです。

ただし、新製品で綿の混紡率を下げたのには、相応の理由がありそうです。

 

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写真中央の凹みのようなキズが見えるでしょうか。

これは、従来品である⑤をトルソーに着せる際、すこし爪で引っかけてしまったのですが、このように簡単に跡がついてしまうのです。

化繊は、一般的に吸湿性や肌触りなどで天然繊維に劣ります。しかし、剛性や耐久性では化繊に軍配が上がります。

この辺はトレードオフで、一概にどちらが良いとは言えるものではないですが……。

 

2)色白向けのヌードベージュは従来品のみ

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▲ いずれも従来品で、上がクリアベージュ、下がヌードベージュ

そして、従来品のもう一つの特徴が、「ヌードベージュ」という少し赤みがかった色のライナンプがあること。

色白の人にとっては、こちらのほうが透けないと思います。なお、新製品にはヌードベージュのライナップはありません(本記事初出時点)。

 

6.通常タイプと清涼タイプの違い

続いて、新製品同士を比較してみます。

 

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左の紺色のパッケージが①の通年タイプ(YV1515)、右の水色のパッケージが②と③で清涼タイプ(YV1915とYV1912)です。

紺色が通年タイプ、水色が夏用の清涼タイプと、見分けがつきやすくなっています。

それでは、名前以外にどんな違いがあるか、なぜ清涼なのかを見ていきましょう。

1)価格が違う

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通常タイプの価格は税抜1,300円です。

 

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一方で清涼タイプは1,500円と、200円高い価格設定です。

なお、通常タイプも昨年までは「YV1415」として、1,500円で販売されていました。中身はそのままでパッケージを一新し、200円値下げしたそうです。

2年前に1,500円だったユニクロエアリズムシームレスが、次第に値下げをして、いまでは千円で売られていることを考えると、ユニクロの値下げも意識しているのではないかと思います。(なお、ユニクロのエアリズムシームレスも良い製品ですが、YGカットオフを比較すると、着心地の良さ、品質、生産国の安心感等々から、個人的にはYGを選んでいます。)

2)素材が違う

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通常タイプは、綿55%、ポリエステル30%、ポリウレタン15%という組合せ。

 

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一方で、清涼タイプは綿が35%まで落ち、代わりにレーヨンが20%追加されています。

こう見ると、天然繊維の割合が少なくなっているように見えますが、レーヨンは合成繊維の中でも植物由来の再生繊維であるため、吸湿性や肌触りの観点からは大きなマイナスポイントではないと考えます。

3)織り方が違う

一番のポイントはここでしょう。なんといっても、手触りが全く異なります。

通常タイプは、しっとりとした手触りなのに対し、清涼タイプは強撚素材の様な、かなりのシャリ感があります。

軟らかい肌触りを追求する方には合わないかも知れませんが、麻や強撚素材のシャリ感が好きな方にはとてもオススメです。まさに、夏の素材といったところでしょう。

 

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こちらが、通常タイプをマイクロスコープで見たもの。

 

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そして、こちらが清涼タイプです。

 

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こうして直接比較すると、清涼タイプはベージュの糸が、かなりキツく撚(よ)ってあるのが分かります。

これによって、肌との接触部分が少なくなりベタつきがなくなるのと、通気性が良くなるため汗が蒸発しやすくなります。

 

7.清涼タイプ2種類の違い

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そして最後に、②(YV1915。仮に「ノーマル清涼タイプ」といいます)と③(YV1912。仮に「脇汗パッドタイプ」といいます)の清涼タイプ同士の違いを見てみます。

1)脇汗パッド

まず、一番特徴的なのが脇汗パッドの有無。③1912には脇汗パッドがついています。

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左が脇汗パッドタイプ、右がノーマル清涼タイプです。

脇汗パッドタイプには、本体と同一の素材を2重にした布が、ちょうど脇の下部分へ当たる様に、縫い付けられています。

 

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裏返したところ。

 

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トルソーに着せたところです。

単に、脇汗が染みない様に生地を重ねているのではなく、このように自ら脇汗を吸いにいくかのごとく自立するよう設計されています。

この仕組み(汗を平面ではなく縦で吸うこと)により、実際に汗をかいても、殆ど脇汗が貫通する事がありません。

なお、最初は脇の下が軟らかく押されている感覚があるものの、私の場合はすぐに気にならなくなりました。

2)深いVネック

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左がノーマル清涼タイプ、右が脇汗パッドタイプです。 このように、ハッキリとわかるほど、Vネックの深さが違います。

ノーマルの清涼タイプでも、シャツの第1ボタンを開けても下着は見えませんので、ビジネス用途としてはそこまで影響は無いと思います。

ただし、第2ボタンまであけると(開けることの賛否はともかく)、ノーマルの清涼タイプだと下着が見えてしまいます。まぁ、カジュアル用途で活躍するディテールでしょう。

3)短いそで

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左が脇汗パッドタイプ、右がノーマル清涼タイプの袖です。2)のトルソーの写真でもわかりましたが、平置きすると違いが顕著です。

これも、シャツの袖まくりや、半袖シャツ程度では関係ありませんが、短い袖丈のポロシャツでは、ノーマル清涼タイプの袖が見えてしまう事があるため、脇汗パッドタイプを選ぶと良いでしょう。

ポロシャツの袖から下着の袖が出てしまうのは、冬場に短いコートの裾から内側に着ているジャケットの裾が飛び出して見えてしまうくらいに格好が悪いですよね(例えが分かりづらくてスミマセン^^;)。

 

8.結局どれが良いの?

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最後に、結局どれがよいのかを考えます。

どれかが一番というわけではなく、どういった用途/シーンで着るかによって、オススメはかわりますので、場合別に見ていきましょう。

1)カットオフって本当に良いの? という初カットオフな方なら……

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① 通常タイプ(YV1515、1,300円)グンゼ公式Amazon.co.jp

とりあえず、カットオフシャツの入門編としてあって困らないのがYV1515でしょう。

価格も一番安く、また通年で使う事ができます。

ベージュのシャツに抵抗感がある方も、一度使ってみて下さい。ビジネスに、カジュアルに、薄手や薄い色の衣服を羽織ったとき、違いを実感できるはずです。

2)夏場に着る、または休日も併用するなら……

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③ 清涼タイプ+脇汗パッド付き(YV1912、1,500円)グンゼ公式Amazon.co.jp)がオススメです。

先述しましたが、この脇汗パッドはかなり強力です。

麻のシャツ、とくに色つきのものは、脇汗の貫通がかなり目立ち、とても格好が悪いんですよね(手を挙げたときワキに汗染みがあると、すごく目立つんですよね……)。また、ジャケットを羽織ったときに、汗がジャケットまで到達すると、落ちにくいシミの原因にもなります。

そういったことを防いでくれるという意味で、夏場はこれ一択でもよいと思っています(個人的には、その他のシーズンもこれで良いくらいに思っています)。また、夏にオススメの強撚糸を用いた独特なシャリ感も、好きな人はハマるとおもいます(私はハマりました)。

そして、短袖丈であることと、Vネックが深いことから、ポロシャツなどカジュアル用途としても併用するならこれ一択でしょう。

なお、②の単なる清涼タイプですが、オススメできるのは、どうしてもパッドの圧迫感になじめない方や、胸に汗をかきやすい方くらいでしょうか……。

3)軟らかい肌触り重視なら……

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① 通常タイプ(YV1515、1,300円)グンゼ公式Amazon.co.jp

④ 通常タイプ(YV0415、1,500円)グンゼ公式Amazon.co.jp

⑤ ④の色違い(ヌードベージュ)グンゼ公式Amazon.co.jp

のどれかでしょう。

特に、④⑤は綿90%の独特なめらかさがあり、天然素材にこだわる方はこちらが良いでしょう。

ただし、どちらも在庫限りなので注意(一応、SEEKのプレミアムラインには綿90%の物がありますが、価格が倍以上するので……)。

 

(おまけ)SEEKとYGの違い

本文と重複するところもありますが、SEEKとYGのカットオフシャツの違いをまとめてみます。

  • 【価格】 SEEKは高い(アンダーシャツで3千円から。なかには1万円の物も……)、YGは普通
  • 【販路】 SEEKは百貨店向け高級路線(安売りはしない)、YGは量販店向け普及路線(値引きあり)
  • 【素材】 SEEKは超長綿を使った滑らかなさわり心地、YGは普通(とはいうものの、SEEKでも安いラインだと化繊の混紡率が高くあまり違いは分からないです……)
  • 【タグ】 SEEKの品質タグは皮膚に当たらないプリント仕様、YGは普通のタグ
  • 【縫製】 SEEKにもYGにも完全無法製シリーズ(縫い目がないもの)はあるが、YGにはベージュが無い(意図的な差別化……?)
  • 【展開】 SEEKとYGには、それぞれ同一の素材で作った下着のパンツがあるが、YGには清涼タイプがない(作って下さい……)

と、こんなところでしょうか。

個人的には、カットオフタイプのアンダーシャツに関してはYGで十分だろうと考えます。

以前、ホールガーメントの1万円弱するSEEKを(まさに血迷って)購入したことがありますが、「なにがなんでも肌触り重視」「残りの人生、アンダーシャツを着る時間は限られている。できるだけ良い物を着たい」という考えの方にはオススメできますが、その場合以外はYGで十分かと思います。

――

皆さんはどんなアンダーシャツを愛用していますか? オススメの製品があったら、是非教えて下さい(下のコメント欄からぜひどうぞ)。

 

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