みなさんは革底の靴を履いていますか?
革底の靴は、吸湿性にも優れ、見た目も良く、歩き心地もよいですよね。
ただ、どうしても問題が……それは、とても滑りやすいということです。
特に、駅――特に地下鉄のタイルの上が、極端に滑るんです。
今回は、以前も少し紹介しましたが、
革靴が滑る主な原因である、ヒール部分の飾り釘露出を解消する方法について、
やりにくい釘〆(釘締め)を簡単にできる方法を中心にご紹介したいと思います。
革靴がスリップする原因は?
以前(2年半くらい前)、
「革靴/靴底の滑りを防止する(ヒールの飾り釘対策を中心に……)」
という記事で、革靴のスリップ原因とその対策を述べました。
上記の記事を要約すると以下の通りです
- 滑る部位はソール(足の前部分)とヒール(踵部分)の2つに分かれる
- ソールにはゴムを張ることでスリップを防止できるが、蒸れやすくなるなどのデメリットもある
- ヒールは飾り釘が露出することで滑りやすくなるが、釘〆(くぎしめ)で靴の中に押し込めば良い
この記事を書いた後、いくつか思うところがでてきました。
それは、靴のスリップ主要因はソールよりもヒールが多く、
中でも飾り釘が露出し、さながら「金属板」になってしまうことが一番危険であること。
そうなってしまうとこれを靴の中に戻す釘〆が非常に困難であること、などです。
※ 釘〆(くぎしめ)とは……
釘を打った後、くぎの頭が他の物に当たらないように、さらにめり込ませることで、
凸面のハンマーや、そのまま「釘〆」と呼ばれる器具(後述)を使って行う処理のこと。
飾り釘による革靴のスリップとは?
飾り釘(化粧釘)とは、革底のヒール部分に打ち込まれた真鍮製の釘のことで、
元々はヒールの積み上げ部分を固定する役割がありましたが、
現在では接着剤などの発達で、飾りの意味が殆どと言われています。
私感ですが、高級を謳うほど飾り釘が多くなる傾向があり、
写真の例は左右1列ですが、2列になっている物や、3個セットの物などもあります。
そして、この飾り釘が潰れると下記の写真のようになります。
左側の飾り釘が潰され、金属板状になっています。
右列の上部分が元々の大きさですから、かなり広がってしまっています。
金属は摩擦係数が低いので、非常に危険な状況です。(危険な目に遭いました……)
右側がなぜ広がっていないかというと、じつはこのヒール、一度釘〆を行っているためで、
右列はそれに成功しているからです。
しかし、左列はうまく釘〆できなかったか、歩行によって削れたことで再露出した物と思われます。
やりにくい釘〆をやりやすくする
この様なスリップをなくすために、
上の写真のような器具、その名も「釘〆」を使って処理を行います。
一番下の細くなっている部分を飾り釘の頭にあわせたうえで、上からハンマーで叩きます。
しかし、これが凄くやりにくい。
ということで、冒頭の写真にもどるわけです。
釘〆のやりにくい点は2つ。
1つは、靴を固定しにくいこと。もう1つは、ハンマーで叩きにくい事ですが……
それを解消するためのアイテムが以下の通り。
「靴底修理用台」と「ゴムハンマー」を買ってしまいました。
前者が3000円台、後者も数百円程度です。
これが頗る具合が良いので、以下レビューをします。
まずこちら。靴底の形が上下にくっついている修理用の台です。
靴屋にある専門的な金台からは少し見劣りがしますが、
スチール製で非常に頑丈に出来ています。上面が婦人用で、下面が紳士用です。
取り出すとこんな形です。ここに靴を乗せると……
こんな感じになります。
このまま叩くと勿論安定しませんので、両足で台の足の部分をおさえるか、
足部分を自分の足で踏むかをすると、良く固定できます。
もう一つがゴムハンマーです。
結構大きめ。左側が16cm釘〆で、倍ぐらいの長さがあります。
金属製のハンマーを使う場合、外すと手に当たり涙目になったのですが、それが無くなります。
靴修理用台+ゴムハンマーで釘〆した結果
上の写真が再掲の元画像、下が処理後の写真です。
すこし深く〆すぎてしまいましたが、
タイル上を歩いてみても、全く滑らなくなりました。やはり、これは良いですね……。
また、従来何度も叩かないと〆られない上に、
ここまで広がってしまった飾り釘は、修理屋に持ち込まないと〆るのが難しかったのですが、
ほぼ数回の打ち込みで、釘〆が出来る様になりました。
おそらく、靴修理用台が下からしっかり支えてくれているのと、
ゴムハンマーのヘッドは大きいので、外す心配が無くなり、
打ち込みに迷いが無くなったのが成功要因だと思います^^;
革底のスリップが困る、という場合は、ぜひヒールの飾り釘が潰れていないかお確かめ下さい。
もし、そうなっていた場合は、釘〆をすることをお薦めします。
ホームドアが出来てきたとは言え、プラットホームでの転倒事故は本当に危険ですから……
それでは。