小ネタ

靴は靴底から磨くべし? ファッションの「創作マナー」について考える

投稿日:平成30年(2018) 4月1日

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私自身はツイッターをやらないのですが、先日、ハッシュダグ「#創作マナー」の話が職場の雑談で盛り上がりました。

これは、自分たちが考えた、「あたかも実際にありそうなでっち上げマナー」を投稿し合うもの。

例えば「重要な電話は熱意が伝わらないスマホではなく有線接続のビジネスホンを用いる」「Google カレンダーを使っていても得意先との予定は紙の手帳につける」(Internet Watchより)といった感じで、ネタでありつつも会社によっては本当にあるのでは? と思わずにいられない、優秀な作品が多々投稿されました。

私自身あまりエイプリルフールに乗っかるのは好きでは無いのですが(創作マナー自体もエイプリルフールに合わせたわけでは無いと思いますが)、この「創作マナー」はとても面白く、そして、ファッションの世界でも作れるのではないかと感じました。

さらに、実は創作マナーは実際の強要されるマナー化されつつあって、もっと警戒すべきなのでは? と思うところもあり、こちらも併せて考えてみることにしました。



創作マナー、5つの類型

まずは、ファッションにおける創作マナーを、良く語られる既存のファッションマナーやビジネスマナーを参考にして、5つの類型から考えてみます。

  1. 楽をしてはいけない系
  2. 立場の上下を気にしろ系
  3. メタファー系
  4. 歴史創作系
  5. 験(ゲン)担ぎ系

いずれも、それぞれの内容は私の創作(であってほしい……)ですが、類型そのものはファッション、とりわけビジネス現場のファッションでは発生し易い創作マナーではないかと考えています。

それでは、一つずつみていきましょう。

 

1.楽をしてはいけない系「靴墨はブラシではなく、素手で愛情をもって塗り込むこと」

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皆さんはどんな方法で靴墨/靴クリームを塗っていますか?

最近は時短至上主義の考えもあって、安易にブラシ(ペネトレイトブラシなど)を用いて靴クリームを塗っている人が多いと思います。

しかし、より靴を長持ちさせるためには、直接指で靴墨をすくい、愛情をもって塗り込むことが重要です。

というのも、ブラシでさっさと塗り込んでしまうと、靴クリームの油分が靴へ浸透しにくく、また硬いブラシが靴の表面を傷つけてしまう恐れがあるからです。

靴クリームを塗るときは手抜きをせず、直接自分の指をつかい(手袋を使わず素手で)、手間暇を惜しまず丁寧に塗り込むことが大事です。

現実にもある「手間を掛けることは、丁寧で良いことだ」という謎ルール

「Excel(表計算ソフト)のマクロ(プログラム)機能を使ってデータを集計したら、上司から「楽をするな!」と怒られた」という話を、誠か嘘か聞いたことがあります。

「丁寧な仕事」は日本人の美徳のとして語られる事が多いですが、一方で「楽をしたり効率化を図ると丁寧では無い」という風潮が、まだまだ残っているようにも感じます。

同じくファッションの世界でも、「機械仕立てよりも手作業の方が良い」という表現を多く目にします。しかし、下手な素人の手作業でも良いの? 機械/手縫いの向き不向きは考えないの? と、単純には判断すべきで無い事も確かです。

 



2.立場の上下を気にしろ系「時計やスーツは、上司よりも高い物を身に付けてはいけない」

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皆さんが時計やスーツにかける金額はどのくらいでしょうか?

一つの目安としたいのが、「上司が身に付けているアイテムの価格」です。

たとえば、上司が「ロレックスデイトジャスト」をつけているのであれば、それよりも安い「エアキング」を。万年筆もモンブランであればペリカンを。靴は上司がCrockett and Jonesのハンドグレードラインを履いているのであれば、一段安い一般ラインを履くようにします。

特にスーツは、客先訪問時に相手から誤解をされる要注意ポイントです。上司よりも高番手で艶のあるスーツを着てしまうと、あなたの方が上司と思われ、先に名刺交換を求められることに。

これでは、上司の面目を潰すことになり、延いては、会社におけるあなたの評価を悪くすることにつながります。

よほど度量の小さい上司に当たらなければ……?

上司がスーパーで売っているアンダー1万円のスーツと、100円ショップの腕時計の愛用者だったらどうした良いのか頭を抱える……という創作マナーでした。

ただ、この項目を書いて思ったのが、実際にもこんな度量の小さい上司がいるかも……ということです。

生地の番手や革靴のラインナップは、よほどのファッション好きでないと分からないかも知れませんが、価格を判断しやすい腕時計はもしかしたら……。

実際に、雑誌やネット上では「新入社員の着用が許される高級時計はこれだ!」といった内容の記事がすでに多くあります。言い換えるとそのようなマナー/風潮は既に形成されつつあると言う事ですから、時計だけは気をつけた方が良いのかも知れませんね^^;

 

3.メタファー系「謝罪対応には、ナローカラーのシャツを着るべし」

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会社での立場が上がれば上がるほど増える、顧客へのお詫び対応。皆さんは謝罪時の服装について、なにか気をつけていることはありますか?

オススメなのが、シャツの襟をナローにすること。

襟羽根の開きの角度は、その人の態度(畏まっているのか、横柄なのか)を表す尺度と言われています。

また、狭い襟幅は見た目にも恐縮を感じさせ、相手の怒りを静めることにも有効です。

本当にそう見えるかを考える

「ハンコを押す角度によって、その人の態度が分かる」という話をご存知でしょうか。

上司のハンコが左にある場合、右斜めに押してしまうと、反(そ)って、まるで威張っているかの様な印象を与えるのでNG――というやつです。

金融業界がネタ元らしいのですが、以前、銀行員の友人に本当かどうか尋ねたところ「年配の先輩から真面目にそう指導されたことがある」と回答され、驚いたことがあります。

正直、謝罪対応は清潔で地味な格好であれば何でも良いと思うのですが「○○の時は××という格好をべし」という創作マナーは、結構一般的に聞く表現ですし、信じやすいですよね。(過去の記事を読むと、私もやらかしているかも……。)

 



4.歴史創作系「靴は、靴底から磨かなくてはならない」

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イギリス王エドワード7世は王太子時代のある日、ケンブリッジ大学の悪友にイタズラで靴底を鏡のように磨き上げられてしまったことがあった。

彼が歩きにくそうにその靴を履いていると、偶然にも母であるビクトリア女王に、靴の美しさを褒められたという。

ビクトリア女王は、単に気まぐれで靴を褒めただけであったが、気をよくした彼は、下僕たちに以後自分の靴は靴底から綺麗に磨くよう命じた。

以来、彼をファッションリーダーとして崇める一部の熱狂的な英国紳士は、今でも靴底から靴を綺麗に磨き上げるという。

切っ掛けはともかく、普段見えないところに気を遣うという粋な発想が、ファッションには必要なのでは無いだろうか。

それっぽい蘊蓄(うんちく)に注意

裾がダブルになているトラウザーズ(ズボン)の成立や、ウェストコート(ベスト)の一番下のボタンを開けるようになった逸話など、紳士服は「物語」で溢れています。

もちろん、中には本当の逸話も混じっているのでしょうが、一つのディテールに複数の由来が語られる事も多いことから、話半分に聞いていた方が良さそうです。

まぁ、嘘か本当かは関係なく、「物語」が紳士服を面白くしている、という側面もありますが……。

 

5.験担ぎ系「契約交渉でSEEKのアンダーシャツ着用はNG」

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私は普段から、アンダーシャツが透けにくい、グンゼのSEEKなど、カットオフタイプのシャツを愛用しています。

しかし、見積提出や、プレゼンテーションなど、営業活動の大事な場面では、カットオフシャツを敢えて着ないようにしています。

というのも、カットオフは日本語では「裁ち切り」と言いますよね。

案件が断ち切られてしまわないように、敢えてその日だけはしっかりと纏(まつ)ったアンダーシャツを着て、契約が纏(まと)まるようにしているのです。

験担ぎや言霊信仰も、他人に押しつけるようになると害悪に……

本項の例はとてもかわいいものです。というのも、自分の中だけに閉じた、他人に一切迷惑をかけない験担ぎをしているからです。

しかし、こういった言葉遊びを含む験担ぎや言霊信仰(口に出すと、そのことが現実になってしまうという信仰)は、ビジネスの世界では度々猛威を振るいます。

やれ、赤色は赤字を想像させるから使うな、客先でお茶を飲み干すと相手の要求を飲み干したことになる、等々。

自分だけで実践するのなら構わないと思いますか、験担ぎ系の創作マナーを強要されるのだけは御免ですよね。。。

 



マナーって何だ

皆さんの職場でも謎マナー、謎ルールはありますか? 「前例踏襲が基本」の職場だと、なかなか無くならないですよね……。

一方、ファッションのマナー(礼儀作法)は、実用面から発生し、理にかなっている場合が多いのですが、正直どうでも良いルールが多いのも事実です。

例えば、「室内ではジャケットのフラップを仕舞い、外では取り出すべし」「ズボンのダブル幅は○cmが正統」「レジメンタルタイは氏族旗、聯隊旗がモチーフなので、所属者以外はしてはいけない」といったものです。

これまで、当サイトでは様々なファッションのルールや着こなしについて考えてきました。今回、初めてエイプリルフールに便乗してみましたが、何故そのマナー/ルールがあるのか、そのマナーによってもたらされるメリットは何かを、客観的に捉える重要性を改めて痛感しました。

本サイトが創作マナーの手先にならないよう、注意したいと思います^^;

 

※ 皆さんが考えた創作ファッションマナーがありましたら、また、現在通用しているこのマナー実は要らないんじゃ……というものがありましたら、是非コメントからご意見をお寄せ下さい。

 

 

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