皆さんはブレイシーズ(braces; ズボン吊り、サスペンダー)を使っていますか?
東京の通勤時間帯を見る限り、サラリーマンのブレイシーズの着用率は1割にも満たない程度。
たまに見かけても、肥満体(失礼)等で、
ベルトが通らない場合にやむを得ず……といった感じだったりします。
しかし実は、ブレイシーズはおしゃれなばかりか、スーツを綺麗に見せる効果もあるのです。
ブレイシーズって何? どんな効果が有って、どんな使い方があるのか――。
今回から連続で、ニッチな装身具「ブレイシーズ」について考えます。
初回は、ブレイシーズの役割、種類、ディテールを中心にお送りします。
本記事を読んで、一人でもブレイシーズ仲間が増えればと思います。
※ レースカーテンをあけずに写真を撮ってしまったため、
※ 画像に模様が出ています。ブレイシーズに柄がついているわけではありませんのでご了承下さい……
1.ブレイシーズの役割
ブレイシーズとは、日本語(フランス語+日本語)で「ズボン吊り」。
米語でサスペンダー。 名前の通りで、ズボンを肩から吊す道具です。
ズボンを腰の定位置に留める道具として、
現在ではベルトに取って代わられてしまいましたが、
戦前の紳士服を見ると、ズボン吊りが大勢のようでした。
これは、ベルトが今より軍服やアウトドア服に近い粗野なイメージがあったこと、
ズボンが今よりもハイウエストで、胴回りのゆとりが大きかったことなどが原因だと思います。
今でも、幼稚園の制服など、ブカブカなズボンを吊すのに使われたりしますよね。
スーツの標準装備だったブレイシーズも、時代が下ってスリーピースが廃れたこと、
ズボンのウエストが下がりベルトで留められるようになったこと、脱ぎ着がしにくいことなどから、
まずはベルトと併用(ベルトループ+ブレイシーズ用ボタン)、そしてベルトだけになったようです。
2.ブレイシーズの種類
留め方により、大きく2つに分けられます。
一つがクリップ式、もう一つがボタン式です。
クリップ式
ブレイシーズをズボンに鰐口のクリップで留める方式です。
ズボンにブレイシーズ専用のボタンが無くても使うことが出来ます。
手軽に使えるため、日本で売られているブレイシーズの過半がこの方式です。
一方で、金属の鰐口がズボンの銅部分(ウエスマン)を傷めるため、
長期連用には不向きです。
ボタン式
下の写真のように、ズボンに縫い付けられたブレイシーズ用ボタンに留める方式です。
ボタンが無い場合縫い付ける手間がありますが、着心地や見た目はこちらの方が上です。
サラリーマンの朝は忙しく、いちいちボタンにブレイシーズを付ける時間が無いと言う方は、
クリップ式の方をお薦めします。 見た目や着心地を優先する場合は、ボタン式がお薦め。
なお、ボタンとクリップが両方ついているハイブリッド式も売られているようです。
私の場合はどうかというと、殆どボタン式を使っています。
横着ですが、ブレイシーズは複数用意し、ズボンに付けっぱなしにしています。
また、なにより面白いのが、様々な色、柄、材質のブレイシーズがあることです。
地味な物から派手な物まで沢山有り、
スリーピースの脇からチラっと覗くブレイシーズはとてもおしゃれだと思います。
3.ブレイシーズのディテール
ブレイシーズとはどんな物なのか。
続いては写真を中心にご紹介します。
まず、ブレイシーズの全景はこんなかんじです。
真ん中がズボンの後ろに、両脇の2本がそれぞれ右前、左前に来ます。
現在は、この写真のようにY字型のブレイシーズが主流です。
参考までに他にどんな形があるかというと、ざっと以下の通り。
- Y字:後ろから見るとY字に見える。右前、左前、後の3カ所で留める方式。一番メジャー。
- X字4点止め:Y字の背中部分を分岐させた形。
- X字2点止め:襷を2つ掛けた形。無線機、拳銃などを吊せるので、警察官、軍人用。
- H字:X字4点止めと同じだが、胸でH字に交差する。チロリアンなどの民族衣装がこれ。
先端は汗に強い山羊革製です。
今回の写真は全てALBERT THURSTON(アルバートサーストン;イギリス)製。
コスパも良く、一番お薦めのブレイシーズです。
金具の材質はニッケルメッキの真鍮製。
誇らしげにユニオンジャックのタグが付けられています。
左が背中~腰の部分(白色部分)だけがゴム製の物、右が全てゴム製の物です。
左の方が若干値段が高いのですが、着心地はこちらの方が良いです。
その他、全てフェルト製などもありますが、お薦めはやはり背中だけゴムの物です。
実際に装着したところ。
この写真のズボンは、ベルトとブレイシーズの共用タイプです。
(ベルトループと、ブレイシーズ用ボタンの両方がついている)
ブレイシーズはずり落ちを防止する以外に、クリースが綺麗に出る、
3ピースと相性が良いなどの様々なメリットがあります。 これらはすこし長くなりそうなので、
次回、今あるズボンでブレイシーズを使うにはどうしたら良いかなど含め、ご紹介します。
ではでは。