スーツ・ジャケット

スーツの流行「クラシック回帰」を考える

投稿日:平成28年(2016) 2月14日

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先日、久しぶりに東京・有楽町/丸の内周辺のセレクトショップ/メンズファッション街を散策したのですが、ディスプレイや商品がかなりクラシカル回帰になっていて、ビックリしました。

今回は、最近の流行による変化が、スーツにどの様な影響を与えているのかをまとめてみました。流行は追わないポリシーなのですが、今回は私自身の好きな方向と重なる部分があったので、敢えて採り上げてみることにします。



特徴1:しっかりとした生地

以前は殆ど見かけなかった「しっかりとした生地」が、既製服にも浸透してきている様に感じました。個人的には大好きな種類です。

このしっかりとした生地は、ウェイトが重く、かつ撚りが強いことが特徴です。以前は「硬くて重い」とか「エレガントで無い」と敬遠されていたはずなのですが、英国的で構築的なシルエットを構成するのに重要な要素で、まさにクラシック回帰の基盤を形成する変化だと思います。

テーラーに訊くと、イタリア的な薄くしなやかな生地ブームの反動として、2~3年前からオーダー向けにこういった生地が増え、今では約半数を占める様になった。ここにきて、既製服にも一気に広まったようだ、とのこと。

 

特徴2:幅広の襟

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襟の幅は、時代と共に広くなったり狭くなったりしますが、ここ数年は極端な狭い襟(ナローラペル)を経て、揺り戻しが来ていました。

スーツについては(ブランド物を除き)まだ極端になものは少ないですが、着実に広くなっている様に感じます。ジャケット単品については9cm以上の幅を持つ、従来から見るとかなり幅広の襟が増えてきているようです。

幅広の襟は、構築的な胸のラインを強調し、落ち着きやゴージャスさを出すことが出来るため、景気動向に左右されるともいわれています。(ここ数週間は景気の冷え込みが懸念されていますが)一時期に比べ、景気が良くなったと言うことなのでしょうか……。

 



特徴3:三つ揃い(スリーピース)

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これも私自身が大好きな項目です。三つ揃いは、昨年から流行の兆しが見えていましたが、今年はディスプレイマネキンの3体に1体くらいが三つ揃いを着ており、ビックリしました。

ただ、ウェストコート(ベスト、ジレ)は寸法の合う合わないがシビアなので、既製服ではサイズ選びが難しいパーツです。案の定、オフィス内ではサイズの合っていないウェストコートを度々見る結果になっています。

既製品でも、胴回りと袖ぐりを修正(お直し)すると見た目がかなり改善されます。ジャケットと違って値は張りませんのでお薦めです。ただし、フィット感や着丈の丁度良さはオーダーにかなりのアドバンテージがあるため、予算に余裕があれば誂えた方が良いと思います。

 

特徴4:タック入りのズボン

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これまで、20代~30代の標準体型層をターゲットとしたズボン(トラウザーズ)から、「タックはおじさん臭い」と一掃されていました。しかし、今年からジワリジワリと復権の兆しで、取り扱い数が多くなっている様に感じます。

当初はにわかに信じられなかったのですが、今月発売のMEN'S EXを読んでいたら、同じくタック入りズボンが増えているという記事(=タック入りのズボンの宣伝)を書かせていたため、メーカーや販売店側は本気なのでしょう。

ジャケパンなら賛否が分かれるところでしょうが、個人的にはスリーピーススーツであればタック入りズボンの方が似合うと思います。これまでノータックばかりの方は、次回三つ揃いをお買い求めの際に是非お試し下さい。

 



この次に来るのは?

クラシック回帰に伴う4つの特徴の次に、まだ現れていないがこの次に現れそうな流行を(素人が勝手に)予想してみます。

ブレイシーズ(サスペンダー、ズボン吊り)

三つ揃い、タック入りとくれば、ブレイシーズでは無いでしょうか。ブレイシーズを使う事で、ズボン(とくにタック入り)のシルエットが綺麗になりますし、ウェストコートからちらりと見えるブレイシーズのベルトが、良いアクセントになります。

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イージーオーダー

前述の通り、ウェストコート(ベスト)はサイズあわせが難しいため、既製服(吊し)で探しにくいアイテムです。また、重い生地も、ジャケットは軽さが第一とされてきた利用者側の既成概念からは相反し全ての層に受け入れられるかは微妙で、服屋も在庫を抱えにくい種類なのでは無いでしょうか。

その点、今のイージーオーダーであれば既製服と同額程度/同品質で、丁度良いサイズの三つ揃いが作れますし、生地も思いのままです。

国産生地

かつては薄い生地が得意な海外のブランドがもてはやされましたが、しっかりとした打ち込みの生地を作る、日本の織元が見直されるのでは無いでしょうか。

既にオーダースーツの業界では、国産の高級服地が海外勢に比肩する人気を誇る様になってきましたが、これが既製服にも伝播するのでは無いかと予想しています。個人的には葛利毛織や三星毛糸の、重く、強撚の生地が好みです。

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私自身はイギリス的なディテールやシルエットが好きで、スーツに関しては長年、今回ご紹介した特徴1~4を備えてきました。そのため、今回の流行は嬉しい反面、「応援していた売れないバンドがメジャーデビューしてしまった」的な寂しさもあります。

一方、服の流行は振り子の様に行ったり来たりするため、いずれ「イギリス的なクラシカル回帰」からの揺り戻しは起きると思います。私自身のイギリススタイル好きは恐らく変わらないでしょうから、流行が変わった際、時代遅れと後ろ指を指される(と自意識過剰で勘違いをする)ストレスをどう乗り切るかが課題になりそうです^^;。

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