ビスポーク(オーダースーツ)

イージーオーダーでスーツを作る時のコツ その3:店の特徴を、実例を挙げながら考える 前編

投稿日:平成24年(2012) 9月17日  更新日:平成30年(2018) 8月15日 

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前回、イージーオーダー(EO)の店を選ぶ際の5ヶ条をご紹介しました。

少し時間が経ってしまいましたが、具体的に、どの様な店舗があるのか実例を交えながらご紹介したいと思います。

なお、私は行動範囲が主に東京周辺なので、実際に出てくる店の名前は関東のものばかりになってしまいますが、ご勘弁下さい。

また、小規模の個人経営の店舗名は、迷惑がかかるので敢えて名前を伏せています。

 

 

イージーオーダーの店舗を分類する

どういった軸で分類するか、人によって分かれるところですが、私は概ね以下の通りに分類されると考えています。

    1. 大規模チェーンテーラー(エフワン、ビッグヴィジョン、花菱など)
    2. 個人経営テーラー(街のテーラーが、EOを扱っているパターン)
    3. 百貨店(伊勢丹、松屋など)
    4. 工場直営店(ファイブワン、アルデックスなど)
    5. その他(海外通販、セレクトショップなど)

それぞれの特徴を見ていきましょう。

 

A. 大規模チェーンテーラー

大規模チェーンテーラーでスーツをオーダーするメリット

大規模チェーンテーラーは、多くの場合自前の縫製工場を持っていることが多く、また、生地の直接買付を行うなど、原価低減が得意な部類です。

従って、最低オーダー価格が非常に低く設定されていることが多いです。

たとえば、ビックヴィジョンでは、1着2万円未満でイージーオーダーが可能で、この価格帯だと縫製は海外(中国)になりますが、同価格帯の吊し(既製服)と遜色ない出来映えで仕上げてきます。ですから、初めてのEOとしては、非常に取っつきやすく、お薦めです。

価格面で言うと、上場している企業もあるため、株主優待で安く買えることがあります。

一番コストパフォーマンスに優れていたのは、エフワンの50%OFF券でしたが、平成23年頃に上場を廃止してしまい、優待自体が無くなってしまいました。現在では、銀座山形屋あたりが狙い目でしょうか。

大規模チェーンテーラーでスーツをオーダーするデメリット

一方でデメリットもあります。

それは、店員の質に大きく左右されると言うことです。縫製の質は非常に安定しているのですが、悪い店員に当たると、ブカブカの服を仕立てられてしまうことがあります。

これを防止するためには、サイズのあったスーツを着ていくことが一番の解決策です。

一方、ジャストサイズを持っていない場合、あるいは不安な場合は、大型店(狙い目は商業施設内)など、その会社が力を入れている店舗の、店長級の人間に採寸して貰うことをお薦めします。

 

大規模チェーンテーラーのレビュー

比較的お薦めなのが、ビッグヴィジョンです。

昨年中堅生地屋に買収され経営者が交代しました。これまでのいかにも「おじさん向け」「数を売る」というスタイルから、価格優位性を保ったまま、クオリティ重視に変わりつつあります。

次点がエフワンです。ビッグヴィジョンよりも規模は大きく、ラインによっては縫製も上です。ただし、店舗の質にばらつきが大きく、その良さを上手く生かし切れていません。後に紹介する個人経営店が鳥取エフワン(グッドヒル)を縫製工場として利用しているパターンの方がお薦めです。

穴場としては、(利用者が限定されますが)各都道府県の共済や生協を利用する手があります。

共済は加盟者へ福利厚生として、EOを展開している事があります。(都民共済にはありました)

都民共済の場合、縫製はグッドヒルですし、生地/オプションの種類は少ないですが何より安価です。

 

B. 個人経営テーラー

個人経営店はフルオーダーだけなんじゃないの? と思うかも知れません。

しかし、フルオーダーでは価格的に対抗できなくなった今日、多くのテーラーでは、イージーオーダーでのビスポークを提供しています

フルオーダーの製造工程では、複数の職人を抱えることがほとんどでした。しかし、その職人を維持するのが最近では非常に難しいようです。そのため、「オーダースーツ」と謳っていても、店主1人でフィッター(採寸者)をこなし、あとは提携の工場にアウトソースするパターンが増えてきた様に思います。

店側としては、どこの工場を使っているかを掲示していないでしょうし、多くの場合隠しています。(「工場に丸投げしています」ととらえられたら、経営的に不利になるためです)

どうしても、どの工場を使っているか知りたい場合は、モデルパターンを確認してみて下さい。大手のEOチェーンの型紙と名称やパターンを比べると、意外と簡単に分かります。

個人経営テーラーでスーツをオーダーするメリット

個人経営店のメリットは、やはりデザイン面とパーソナルコーディネイト性に尽きると思います。
縫製は工場で行いますから、店主(あるいはフィッター)は顧客の採寸、デザイン、生地選び、ディテール選びに専念できます。ですから、利用者は大いに提案して貰って下さい。

大量の客をさばく必要があり、自分の努力が集客にあまり影響しない大規模チェーン店は、この提案力が著しく低い状況にあります。逆に、自分の提案力がそのまま収入に反映される個人経営店は、非常に優秀ですし、勉強しています。「工場に丸投げ」と一蹴せずに、利用する価値大です。

個人経営テーラーでスーツをオーダーするデメリット

一方、デメリットとしては、価格が挙げられます。

大量生地仕入が出来ずバンチ(生地見本)に頼ることが多く、また職出し(工場への依頼)が小ロットのため価格が高くなりがちです。工場との力関係も微妙で、難しい縫製指示を出しにくい場合もあります。

また、あまり規模の大きい企業体ではありませんから、店主との相性(デザイン性は勿論、人間的にも)が大事になってきます。そういった点からも、数店舗試してみる必要があるでしょう。

 

個人経営テーラーのレビュー

先にも書いたとおり、具体的な店名を出すことは出来ません。申し訳ないです。

ただ、メールや電話で、訪問前に価格の目安やスタイリング等の質問をしてみると良いと思います。店主の人となりがある程度分かります。

また、ウェブサイトやウェブログ(ブログ)で、情報発信している場合も、どの様なスタンスで服を提供しているのかと言ったことがよく分かります。積極的に、チェックするべきでしょう。

あとは、あまりに近所だと、候補から落としたときに気まずいですが、ある程度近い店を選んだ方が良いと思います。特に、会社の行き帰りに立ち寄れる店だと、交通費の関係上も、スーツ姿で訪れる事が出来ることからも、お薦めです。

 

さて、かなり文字数が多くなってしまいましたから、続きは次回にしたいと思います。

 

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