ビスポーク(オーダースーツ)

パターンオーダー、イージーオーダー、フルオーダーの違い

投稿日:平成24年(2012) 5月14日  (更新:平成27年10月12日)

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Original Update by aussiegall

皆さんは、スーツの「オーダー」をしたことがありますか?
吊し(既製服)しか買ったことがない、という方から、スーツは全てオーダーという方まで居ることでしょう。
スーツを初めてオーダーする人にとって、最初に混乱するのが「オーダー」に種類があることです。

一般的に言われているのが、
「パターンオーダー」
「イージーオーダー」
「フルオーダー」

この3つではないでしょうか。

今回は、その3つを、出来るだけわかりやすく紹介し、
その違いとメリットデメリットについてまとめてみたいと思います。

 

「スーツのオーダー」と聞くと、真っ先に思い浮かぶのが「高い」というイメージでしょう。
結論から申し上げると、フルオーダーならまだしも、イージーオーダーとパターンオーダーは高くありません
なぜ高くないのか。それぞれの違いから見てみたいと思います。

 



■好きな生地で作る既製服「パターンオーダー」

パターンオーダー(PO)とは「既製服を、自分の好きな布地で作ることが出来る」というものです。
ただ、それだけがメリットで無いところがミソです。

人間の体は3次元ですから、縦方向と横方向にそれぞれサイズがあり、自分に合うサイズは、全体のごく僅かです。
従って、お店で売られている服のほとんどが、自分の体には合いません。
また、スペースと在庫リスクから、標準体型――中肉中背以外のスーツは、店頭ではかなり少なくなります。

そんなときPOならば、予め自分に合ったサイズ/型さえ見つけられていれば、
使える生地の分だけ、ラインナップが広がるのです。

POの魅力は、値段が安いことにもあります。
選ぶ生地も依りますが、(ブランドが展開している店を除けば)ほとんど吊しと似たような価格で購入出来ます。
というのも、メーカーとしては、既にある製造ラインと型紙を使ってスーツを作るだけなので、低コストで対応が可能だからです。

一方で、以下のようなデメリットがあります。
・メーカーが用意している型紙に合わない場合は、POでは対応できない
・サイズ刻みの中間が自分のサイズであった、などの対応は(概ね)できない

そこで出てくるのが「イージーオーダー」と呼ばれる仕組みです。

 

 



■体に合った服を作れる「イージーオーダー」

服は、まず型紙を作り、その型紙を元に生地を裁断、そして縫い合わせ作られます。
この型紙を自分の体に合わせてカスタマイズできるのが、イージーオーダー(EO)です。

POの場合、予め作られた「サイズ」と「パターン」から、自分に合う物を選ぶのですが、
その形が体に合わないだとか、サイズとサイズの中間に自分のサイズがあるだとか、
そういった問題がありました。

じゃぁ、型紙を変更すればいいじゃないか、と言う話になりますが、そう簡単にはいきません。
たとえば、着丈(上着の裾の長さ)が長からと、単純に短くしただけでは、ポケットやボタンの位置が可笑しくなってしまいます。
しかし、EOならば、型紙を自分にあわせて変更できるのです。

これはコンピュータによる型紙作成技術が登場した恩恵で、
体の各部位のサイズを指定すると、基本になる型紙からラインを変更した図面を自動で出力してくれるようになったからです。
採寸は店員が行うので、あとは自分の好きな生地を選び、細かいディテールを決めるだけです。

メリットはこれだけではありません。価格もPOとそんなに変わらないのです。
メーカーとしては、型紙を設計する機械とソフトウェアが必要なだけで、後の工程はPOとほとんど変わらないからです。

勿論、EOにもデメリットはあります。主な物として、
・POと違い試着できないので、店員が大きめに採寸する傾向にある(リスクを避ける傾向にあるため)
・サイズ変更時、コンピュータの「クセ」を見抜けない店員が多い
・店によっては元のパターンそのものがあまり格好良くない
・型紙の変更レベルを超える大きなカスタマイズには対応できない

上記から考えると、
「元のパターンが格好良い店舗で、優秀な店員に計測して貰い、奇抜なことを望まなければ」
ほぼ完璧なスーツが出来上がることが分かります。

 

■自由度は最大。でも玉石混淆で定義が難しい「フルオーダー」

最後にフルオーダー(FO)です。
このFOの定義が非常に難しいのです……。
まず、一般に言われる、フルオーダーの定義を並べてみます。

1.型紙を職人が一から引いて作る
2.手縫い
3.仮縫い/中縫いが出来る

1.型紙を職人が一から引いて作る
服を作るときに、その服のシルエットを決めるが型紙です。
POでは予め用意された型紙で、EOではコンピュータがカスタマイズした型紙を用いました。

FOの要件としてよく言われるのが、この「職人が一から引いて作る」型紙ですが、これも結構様々なのです。
というのも、まず洋服店のデザインがあって、多く、それをその人用にカスタマイズするというパターンだからです。
どこかで聞いたことが…… そう、EOのコンピュータと同じ考え方ですよね。

勿論、EOと違い、基本となる型紙から大きく変更することはFOでは簡単にできます。(職人の腕と暇に依りますが……)
しかし、そういった大きな変更は、舞台衣裳、相撲取りのスーツ、こだわりの強い人が作る等々、あまりないのです。

2.手縫い
実は、
・FOと謳っていても、手縫いでない場合がある
・手縫いと謳っていても一部機械を使うこともある――一部機械を使った方が綺麗に仕上がることもある
という、この部分は「フルオーダー」の中でも本当に混沌としている状況です。

機械(ミシン)と手縫いの論争。ネットのBBSや、雑誌、店舗の紹介文などでもよく争点になる部分です。
一般的な合意として、FOに9割の手縫いは含まれるが、総手縫いは含まれない、といったところでしょうか。
ただ、現実としてはFOと謳っていても、手縫いがほとんど無いことがあるのです。

手縫いのメリットとしては、縫いにゆとりが出来るため、実際に着用したときに着やすくなるという事があります。
逆に、直線の縫いなどは、見た目にはミシンに分が有り、あえてミシンを使うテーラーが多いことも事実です。
また、手縫いには非常に手間がかかり、かつ、手縫いの出来る職人が少なくなっているため、高価になりがちです。

3.仮縫い/中縫いが出来る
仮縫いとは、型紙を作り、裁断をした後、実際に縫製する前に行う調整です。
裁断した各パーツを、簡単に縫い付けた状態で実際に着用し、微調整を行います。
これを2度3度繰り返すこともあり、2度目を中縫いなどと言ったりします。

これを行うことで、服のフィット感を向上させることが出来ます。
また、ディテールの決定は仮縫いの後でも良いので、服の雰囲気を確認してから、
ディテールを決めることが出来
る、と言うメリットもあります。

一方で、店舗によってはEOでも仮縫いに対応しているところもあり、
必ずしもFOだけの特徴といったわけでありません……。

 



■まとめ

1.「パターンオーダー(PO)」「イージーオーダー(EO)」「フルオーダー(FO)」の3種類がある
2.価格は高い順に FO>EO>PO、自由度も高い順に FO>EO>PO
3.PO、EO、FO共に生地は自由に選べ、ディテールも一般的な物はほぼ自由に選べる
4.POは自身の体型にあわせ、型紙とサイズを自由に選べるが、型紙自体の調整が出来ない
5.EOは自身の体型に合わせ、型紙そのものの調整が可能だが、採寸する者の技量に大きく左右される
6.FOは建前上自由度は最大だが、その中身は店舗によって異なり、限りなくEOに近いものもある
7.総手縫いは現状、FOの必須条件ではなく、総手縫いのコストパフォーマンスは必ずしも良くない

私はPO、EO、FOの全てに経験がありますが、それぞれに良いところと悪いところがあります。
サラリーマン限定で言えば、EOがかなり狙い目ではあるのですが――長くなってしまいますのでまた別の機会にしようと思います。※ 他にも、店舗レビューとかもやってみたいと思います。

最後に、今回の生地では便宜上「オーダー」(order;命令、注文)という言葉を使って来ましたが、
私としては「ビスポーク」の方が好きです。
「こういう風に作れ」というより、”bespoke” ――テーラーとの会話の中から生まれる服の方が、絶対に良い物が出来るからです。

 

それではまた。

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