レビュー

オンラインオーダーシャツ「KEI」で仕立ててみました

投稿日:令和元年(2019) 8月11日 

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先日、「KEI」というオンラインのシャツ屋で、オーダーシャツを仕立ててみました。

1着4,980円~というビックリな値段設定なのですが、果たして品質はどうでしょうか……。

他店との違いや、直接運営者に質問した内容も含めつつ、レビューしてみたいと思います。

1.購入のきっかけ

KEI社からの依頼……

直接のきっかけは、KEIのスタッフから「シャツをタダであげるから、レビューを仕事として引き受けてくれないか」というメッセージをいただいたことです。

KEIの認知度を上げるため、自社のシャツをこのサイトで宣伝して欲しい、というものでした。

しかしサイトの方針として、自由に批評できなくなることから直接金品を受け取ってのレビューはしていないため、丁重にお断りしました。

読者からの要望

しかし、「○○のオーダーシャツを試して欲しい」というメッセージをいくつか頂いていた時期に、KEIの名前が複数あったことを思い出しました。

当時は別のレビューでお腹いっぱいだったため、後回しになっていたのですが、メールや「レビュー待機リスト」を見返すと要望があったのは事実。

そこで、(いつも通り)一顧客として自腹で購入し、思う存分人柱レビューをすることにしました。

 

2.オーダーシステムについて

実際に到着したシャツのレビューに入る前に、オーダーシステムについて感じた点をご紹介します。

良い点1:サイズ登録手段が多彩で、オーダーシャツ初心者にやさしい

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出典:https://ke-i.co

オンラインでシャツをオーダーする際、一番のハードルは採寸だと思います。

店で採寸してもらうならまだしも、自分でメジャーを使って採寸するのは慣れないとかなり骨が折れますし、正確にできるか不安でしょう。

それを見越してか、KEIは4つの採寸方法が用意されています。

面白いのが、身長・体重・年齢を入力すると統計データからおおよそのサイズを導いてくれる「オート採寸」、フィットするシャツを送ると店側が採寸してくれる「お気に入りのシャツを郵送」など、オーダーシャツの初心者に使いやすい機能です。

なお、シャツ専門店ではもちろん、First Experienceでも裏メニュー的的に手持ちのシャツから採寸してくれるサービスをやっています。

良い点2:採寸方法も分かりやすい

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出典:前掲サイト

自己採寸の画面もよく考えられています。

採寸箇所を選択すると写真や身長別の参考サイズが表示され、「どこからどこまで測るのか」「見当違いの測定をしていないか」がすぐに分かる仕組みです。

 

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出典:前掲サイト

さらに、入力した数字の異常値チェックもしてくれます。

上の画像は、首回りに「33cm」と入力した時の表示です。明らかに平均から外れている場合は、注文ページに進む前に警告してくれます。

要改善点:生地が選びにくい

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出典:前掲サイト

一方で使いづらい点もあります。

一番面倒に感じたのは、生地の選択画面です。

生地の選択画面は、サムネイルがずらっと並んでいるのですが、その生地の詳細は開くかPCならマウスオーバーしないと、金額さえわかりません。

また、検索機能も無く、一つ一つ開いて見ていくしかない状態です。

「とりあえず、色味や直感で生地を選ぶ」という方ならわかりやすいかも知れませんが、「材質、番手等の詳細を確認したい」「生地の種類やブランドで検索したい」「価格を比較したい」といったオーダーシャツ常連の方にはかなり不便に感じると思います。

この点は後日KEI側にも改善要望として連絡しました。KEI側もこの点を認識しているようで、今後改修していきたい、とのこと。

 

3.外観レビュー

続いて、外観を見ていこうと思います。

主に、私がよく利用するオンラインシャツ屋のFirst Experienceや、一般のテーラー等と比較しつつ見ていきます。

選んだ生地

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出典:前掲サイト

今回選んだのは綿麻混紡の国産生地(現在欠品)。カジュアル用途を狙ったので少し主張が強めのストライプです。

税抜6,980円に送料600円、合計8,186円です。

通常は4,980円+送料600円→税込6,026円ですが、今回は麻混のため8千円を超えました。

到着

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生地選択画面の「注文から40~50日でお届け」との記載どおり、40日程度で到着しました。

国内縫製のFirst Experienceが通常納期3週間(20日強)です。一方KEIは海外縫製(タグを見るとベトナム製)のため、やはり長めですね。

 

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綺麗な白い箱に入っています。

 

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トレードマークの八咫烏(やたがらす)が。

 

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不織布に入っていました。

ディテールの確認

衿は最低限の種類を用意

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今回、襟型は「ワイド」を選択。

襟型はビジネス用途としては「ワイド」「レギュラー」「ホリゾンタル」そして「ボタンダウン」(ボタンダウンをビジネス用途というとお叱りを受けそうですが……)が、有償のカジュアル用途として「イタリアンカラー」「イタリアンボタンダウン」の計6種類から選べます。

ビジネス用途の襟型は最低限の種類をといった感じで、First Experienceやシャツ専門店の様に、襟腰の高さや襟羽根の長さは選べません。(逆に、初心者向けには迷いが生まれずに良いかも?)

また、衿やカフスに使われる芯地の柔らかさも選べません(選べるFirst Experienceが異常なのかも知れませんが……。)。

ボタンは高瀬貝が標準

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ボタンは高瀬貝を選びました。他店が有償オプションとすることが多い高瀬貝が、なんと標準でついてきます。

 

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なお、留めにくい第1ボタンは、小さい物が使われています。重要な気遣いです。

縫製のレベルは高い

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襟羽根の部分。First Experienceのようにステッチの位置は選べませんが、しっかりとした運針です。

 

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剣ボロの柄が上手く合っています。今回は柄あわせが分かりやすい様に、あえてストライプを選んだのですが、こちらも綺麗です。

生地に模様がある場合、つなぎ目の柄あわせが上手いと全体の見た目も良くなります。また、柄あわせには縫製担当者の技量が要求されるため、その水準を推し量る意味でも要確認ポイントと言えます。

 

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ガゼット(脇腹部分にある補強――の意味は薄れて、現代では装飾の意味が強い――布)の裏側です。

見えない部分までしっかりと縫われています。

 

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「Design & Created in Tokyo」「Crafted in Vietnum」の文字が。

企画や型作りは東京で、縫製はベトナムで行われているようです。

見た目にかなりこだわっている

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この写真をご覧下さい。前立て(シャツの前ボタン)の部分ですが、一枚の布にボタンだけが出ているように見えないでしょうか?

裏前立て(ボタンホール部分のシャツ布を裏側に折り返して終端が前から見えないようにし、プレーンな印象にする仕立て)を選んだのですが、それにしてもミシン目がまったくみえません。

通常、このミシン目を見えなくする配慮は左前身頃(ひだりまえみごろ;ボタンホール側、上に来る側)に対して行われ、右前身頃(ボタンがある側)はボタンを閉じてしまうと見えないので上からミシンを掛けてしまうことが多いのです。

しかし、KEIの縫製は、右前身頃に対してもミシン目が見えない縫製を施してあるため、例えば第1ボタンを外すスタイル(開襟スタイル)をとる場合も、スッキリとした印象に見せることが出来ます(ほんの僅かな差ですが……)。海外工場でよくここまで出来たと感心しました。

トルソーで確認

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トルソーに着せてみました。

 

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衿羽根は浮かず、綺麗に着地しています。

 

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スプリットヨーク(背中上部の布中央に切替が入る仕様)にはなりません。(オプションでも選択できなかったと思います。)

 

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肩の部分。ベトナムでの縫製とは思えないほど、綺麗です。

 

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背中の部分。細身シルエット(デフォルト)を選択したせいか、結構絞りが強い、イマドキのフォルムです。

ネクタイを合わせる

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結構綺麗ですね。

ジャケットを合わせる

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ネクタイの色を変えて、麻のジャケットに合わせてみました。綺麗ですね。

 

4.着心地レビュー

続いて、実際に着用してみての感想をお伝えします。

若年層ウケしやすいタイトフィット

最初に感じたのが、デフォルトで選択されるスリムフィットがかなりタイトな仕上がりと言う事でした。

20代~30代には受け入れられやすいと思います。

特に前腕部がタイト

少し気になったのは前腕部が一般的なデザインよりもタイトなことです。

二の腕は採寸通りのゆとりでしたが、前腕部は他店のデザインに比べてテーパードしているように見えます。

このほうが腕が綺麗に見えるのかもしれませんが、スポーツをやっている方や、鍛えている方などはご注意ください。(二の腕の数値を少し大きめに申告した方が良いかも。)

標準的な動きやすさ

実際に着て通勤してみましたが、標準的な動きやすさだと思います。

他店よりタイトであることを考慮すると、良いと言うことかも知れません。

 

5.こんな人にオススメ

最後に、KEIのシャツはどんな方にオススメかを書き出してみます。

  • 品質を担保しつつ、安くオーダーシャツを作りたい
  • 生地の種類は少なくて良い
  • 採寸に自信が無い
  • 納品まであまり急がない
  • 国内縫製にはこだわらない
  • スッキリとした裏前立てのシャツが欲しい

やはり、KEIの強みはその価格でしょう。今回は麻混の生地を選んだため、送料税込8,000円を超えてしまいましたが、普通の生地なら6,000円程度で注文できます。

オーダーシャツを初めて作ってみたいという方には、最初の1店舗目としてオススメできます。(値引きセールは基本的にやらないそうですが、メルマガ会員向けで不定期セールがあるそうなので、とりあえず登録して待つという作戦も良いかもしれません。)

一方で、生地の数が少ない、納期が長い、選べるオプションが限られるなど、オーダーシャツにどっぷり浸かっている方には物足りないかも知れません。

ただ、異様に綺麗な前立てや、(今回紹介できませんでしたが)手縫いのイニシャル刺繍など、上級者にもグッとくるオプションがあるだけに、初心者向けと言い切ってしまうのはもったいない気がしました。

今後の改善に注目していきたいと思います。

 

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