考察

ボタンダウンシャツのメリットとデメリット

投稿日:令和6年(2024) 6月9日 

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みなさんはボタンダウンシャツを日常的に着用しますか?

私の場合、ビジネス/プライベートの両方で、ノーネクタイ時を中心に愛用しています。

ボタンダウンは、単なる衿の装飾とみられがちですが、実際には全体の雰囲気に強く影響する重要なパーツです。今回はボタンダウン衿にどの様なメリット/デメリットがあるかをご紹介することで、皆さんのセルフブランディングへの活用はもちろん、普段のコーディネートがより楽しめるようになればと思います。

1.ボタンダウンシャツとは

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ボタンダウンシャツとは、その名前の通り、衿にボタンダウン機構(衿の先端をボタンで留められるようになっている)を持つシャツのことで、まぁ、↑の画像にあるような見慣れたシャツです。

辞書を引用すると以下の通り。

ボタン・ダウン・シャツ [button down shirt]
シャツ・カラーの衿先を身頃にボタンで留めるボタン・ダウン・カラーのシャツ。スポーティーな雰囲気で、アイビールックには欠かせないアイテム ⇒ボタン・ダウン・カラー

ボタン・ダウン・カラー [button down collar]
シャツ・カラーの一種で、衿先を見ごろにボタン留めするようになった衿のこと。トラッドの定番アイテムとして、またスポーティなシャツとして定着している。

文化出版局編(1999)『ファッション辞典』文化出版局

 

ビジネス用のシャツとしてもかなり一般的ですし、ある程度の年齢層(昭和20年~40年生まれ)には、このシャツしか着ないという熱烈なファンも多い種類です。

広義には、ボタンを衿の裏に隠したループで留めるものや、スナップボタンを用いるものなど、ボタンを敢えて見せないタイプの襟型を用いたシャツも含まれます。

 

2.ボタンダウンシャツのメリット

続いて、ボタンダウンシャツのメリットを考えます。大きくは3つあるでしょう。

①ビジネスにおけるノーネクタイの最適解

異論反論はあろうかと思いますが、個人的にはビジネスにおけるノーネクタイの最適解はボタンダウンシャツにあると思います。

理由を簡単にまとめると以下の通りです。

ノーネクタイでシャツ衿が綺麗に自立すること

一般的な衿(レギュラーカラーや、ワイドスプレッドなど)は、ネクタイを外すと衿先が広がり、だらしなく見える事があります。

特に、ジャケットを羽織ると、衿先が寝てジャケットの裏側に潜り込んでしまい、不格好になります。

一方でボタンダウン衿は、左右ともしっかり屹立して、だらしなく見えず、清潔感を保つことができます。

ビジネスにおいて一般的な襟型で、選択肢が広いこと

ノーネクタイでも不格好にならない衿は、ボタンダウン以外にもあります。

例えば開襟シャツやマオカラー(バンドカラー)のシャツですが、一般的でなく購入の選択肢も限られるうえ、着用者が少ないのでビジネス現場では悪目立ちする可能性があります。

個人的には、これらは好きな襟型で、実際に仕事で着用することもありますが、やはり顧客訪問時に着用する勇気はありません^^;

一方で、ボタンダウンはビジネスシャツ界においてもかなりメジャーな襟型で、選択肢が豊富にあります。

②スポーティな印象を与えられる(特にジャケパン)

諸説有りますが、ボタンダウン衿はスポーツ時に衿がヒラヒラしないように留めたのが始まりと言われています。

そういった出自が知られているから、ということもありますが、見た目にもボタンダウンシャツは、タイドアップ、ノーネクタイに限らず、着用者をスポーティな印象にします。

特に、ジャケパンとの相性はとても高く、ジャケパンの際にはボタンダウンしか着ない、という方もいるほどです。

また、衿のサイズも選びもで、小さいほど軽快に、大きいほど(衿が高く屹立するため)ドレッシーに見えます。

ブランドによっても基本となるサイズが大きく異なるため、選ぶ際には参考にして下さい(例えばブルックス・ブラザーズの様なアメリカントラッド系のブランドは衿が小さい傾向にあります)。 オーダーシャツにして、自分でサイズを指定するのもアリです。

③カジュアルシャツをだらしなく見せない

実は、私の持っているカジュアルシャツの過半はボタンダウンです。

また、ビジネスシャツではありませんが、ポロシャツもブランド(ラコステが好きです)以外はボタンダウン衿を選ぶことが多いのですが、これらはカジュアルシーンにおいても「だらしなさ」が出なくなるからです。

業界や職種によっては、夏季の、特に内勤は、ポロシャツでの勤務で問題が無くなっていますが、そんな際にもボタンダウン衿にすることで「きちんと感」や清潔感を産むことができます。

 

3.ボタンダウンシャツのデメリット

一方で、デメリットも存在します。

①フォーマルな場に向かない

最大の問題が、ボタンダウンシャツはフォーマルシーンに向かない、ということです。

ここで言うフォーマルシーンとは、冠婚葬祭に加えて、謝罪での顧客訪問、式典、会社の公式な会議など、「硬そうなシーン」全般を言います。

ボタンダウン衿は、ノーネクタイのシーンでは「きちんと感」を出すのに非常に活躍するのですが、一方でタイドアップの(ネクタイをする)場においては、逆にカジュアル感を強く演出してしまいます。むずかしいものですね。

これは、出自がスポーツであること、プレーンな衿にボタンという余計な装飾がついていること、など理由は色々ありますが、結局は「カジュアルな襟型であると見なす人が多い」からです。

大前提として、ファッションは、(人に迷惑を掛けない範囲において)自由に自分の着たいものを着るべきです。

しかし一方で、ファッションは「自分をどう見せたいか」という点も重要。 特に、ビジネスシーンでの成功にも活用(特に信用力をブースト)出来る点を踏まえると、「他人にどう見られているか」が重要になります。

②粗悪な既製品がある

もうひとつ気をつけなければいけないのが、ボタンダウンシャツには(優良な製品に交じって)粗悪な既製品が多い点です。

これには2つの意味合いがあります。

粗悪な縫製

シャツの縫製は、衿が最も難しいと言われています。

それは、少し縫製がズレただけで衿の左右バランスが崩れてしまうからで、かつ、素人目にもその問題がはっきりと分かるからです。

一方で、ボタンダウンシャツは衿をボタンで固定してしまうため、ある程度縫製が雑でも素人目には分からない、という点があります。

東京の新橋や有楽町のガード周辺で「3着○千円」などで売られているボタンダウンシャツを見ると、結構ひどい縫製のものがあります。

粗悪なデザイン

また、ボタンダウン衿は「過度な装飾」の1つとして採用されることが多いパーツです。

他製品との差別化や「デザインに凝っている感」を創出するために、ビジネス向けのシャツには過度な装飾としてよく採用されます。

つまり、テキトーにボタンダウンシャツを選ぶと、ハズレデザインを引いてしまうことがままある、ということです。

具体的には、派手なボタン色(赤、黒、緑とか)に派手な色の太い衿ステッチ、挙げ句の果てには襟回りにイタリアやフランス国旗色(トリコロール)の布が縫い込まれていたり、ボタンが2つずつになっていたり(個人的にはグロいと思うのですがどうでしょうか)……。

これらは、自身が意図して、自己ブランディングのために過剰な装飾を取り入れる(例えば、自身が芸人であるとか、イタリア製品の卸売りをしているとか)のであれば問題ありませんが、単純に「普通のシャツだと何か物足りないな……」程度で選ぶべき製品ではありません

 

4.おわりに:ボタンダウンを上手に活用する

スーツスタイルの正統派からすると、ボタンダウンは邪道なものとされがちですが、個人的には上手く活用すべき重要なアイテムの一つだと考えています。

また、今回は詳しく取り上げませんでしたが、一口にボタンダウン衿といっても、衿の大きさや芯地の柔らかさでその雰囲気は大きく変わります。

いろいと試しながら、ボタンダウンの中でも、自身のお気に入りを探してみると楽しいと思います。

 

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