スーツ・ジャケットの手入れ

ブラシがけが楽しく&効率的に! ブラシの平野「水雷型」レビュー

投稿日:平成25年(2013) 5月12日  更新日:令和3年(2021) 12月29日 

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ついに買ってしまいました。平野ブラシ水雷型……。

知る人ぞ知る、まさに高級洋服ブラシの代名詞的な存在ですね。今回は、買って使ってみた感想、メリットデメリットをお伝えします。

値段は\18,900。(記事執筆時)
ブラシごときにそこまで出すのかとののしられそうですが(^^;

服好きな方には買おうかどうか迷っている人も多いはず! そんな方の一助になれば幸いです。

 

 

※ しばらくフォトレビューが続きます。末尾にメリット/デメリットの項目がありますので、
※ お急ぎの方はそちらから御覧下さい。

 

■ 楽に衣替えするため、注文してみました

そろそろ衣替え。

ただ、全てのスーツ/ジャケット/コートをクリーニングに出すわけではありません。クリーニングは汚れと一緒に毛の脂まで落としてしまうため、風合いが損なわれるからです。

ということで、あまり着用しなかった/汚れなかった衣服については、入念にブラッシングした上で、オフシーズン用のクローゼットに収納します。

そんな中、何着も整理しながら、もう少し楽にブラッシング出来ないものかと考えました。

そこで思い出したのが平野ブラシの手植えタイプ。

羽子板型水雷型の2種類があるのですが、とくに後者は普通のブラシの1.5倍の大きさがあります。長さにして21センチ。普通のブラシは柄を除くと12-3センチくらいですから、その大きさが分かります。

 

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ということで、思い切って買ってみました(^^;

ブラシの平野は、基本的に直販しかしていません。

主に催事場や直営店での販売に限っているため、実質的に定価販売しかしていないようです。今回は楽天市場の直営店(後日追記:その後閉店。Yahoo! ショッピング店から購入可能。)から購入してみました。

 

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到着した袋をあけたところです。

左からブラシ、オマケのブラシ、パンフレット、納品書です。

 

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厳重に梱包されています。

 

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銀色の箱が出てきました。思った以上には大きく感じません。

 

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値札がついていました。見間違えではありません。\18,000(税抜)です。

\5,000で高級ブラシと世の中では呼ばれている中、この価格は飛び抜けています……。

 

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うわっ! と、思わずうなってしまったのが第一印象。

箱自体は大きくないと感じましたが、全体がブラシになっているため、中身はかなり大きく見えます。

 

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使用法が書いてある紙が入っていました。

使い方は「擦らず払う」が基本方針。

服の下から上にブラッシングし繊維をほぐした上で、上から下に払うように再度ブラッシングします。ほぐれた繊維からホコリを効率的に取り除き、同時に繊維の目を整えることが出来ます。

 

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出てきたのがこいつ。 我々若者世代には「水雷」といってもイメージが湧きませんが、たしかに明治期の機雷(機械式水雷の略)の形によく似ています。
(ちなみに魚雷は魚形水雷の略です。)

 

 

■ 桁違いの密度と毛足の長さ、そしてKENTブラシとの比較

もう少し詳しく観察していきましょう。

 

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ブラシの裏側です。

釘が打ち込まれているのがわかります。これはこのブラシが手植えされているためです。職人が手作業で植毛した後、蓋を閉めている証です。

 

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前方から見た様子です。うっすら蓋と本体の境目が見えます。

 

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凄いのがこれ。

毛の束が普通のブラシの2廻りくらい太く、ブラシ上部の密度がかなり濃いです。毛足も2倍くらい長く(55ミリ)、さわり心地は超高級絨毯のよう。

 

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手前が従来使っていたKENTブラシのラージサイズ

テーラーなどでも使われている優秀なブラシです。遠近法で比較しにくいので縦に並べてみます。

 

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どうでしょうか。柄の部分を入れると水雷型のほうが小さいですが、ブラシ部分は圧倒的に大きいのがわかります。

さて、普通のブラシ(といっても上記のKENTはかなり大きな部類)に比べて大きいのは分かりました。

では、どういったメリットがあり、またデメリットがあるのか、肝心な使用感のレビューに移ります。

 

 

■ ブラシの平野 手植馬毛「水雷型」のメリット

  1. ブラッシングの効率が良い(時間短縮)
    これは特筆すべきです。
    サイズ、毛の密度が他を圧倒しており、帰宅後や衣替えの際のブラッシングスピードが全く違います。
    使い始めて間もないですが、従来の6-7割に圧縮できました。慣れれば半分くらいで終わるかも。
      
  2. ブラッシングが楽になる
    上記の「時短」という意味では無く、ブラシを掛けやすく、持ちやすいということです。
    柄がついていないと一見ブラッシングしづらいように見えますが、実は全くその逆でした。
    ブラシがけする際の手の「ひねり」が圧倒的にやりやすい。毛足が長いのも理由の一つでしょう。
     
  3. 衣服に負担を掛けない
    毛足が長く細いため、カシミアやセーターにも使用可能です。
    通常毛足が長いとブラッシング効率が落ちるのですが、水雷型は毛の密度でそれを防いでいます。
     
  4. 衣服に通常より光沢が出る
    勿論、普通のブラシを使った手入れでも光沢は出ます。
    繊維の方向や高さが揃うことで、光りの反射率が上がるためです。
    しかし、水雷型は毛足が長く毛の密度が高いため、より繊維の状態を整えることが出来る様です。
     
  5. 寿命が長い(はず)
    これは実際に長年使用したわけではないので、断定は出来ないのですが、
    手植えブラシは毛がステンレス線で固定されているので、一般に機械式に比べ長寿命/高信頼です。
    いまだに信頼性が重視される工業用ブラシでは手植えが使われているとか。
    出典:東京都伝統工芸士会

と、かなりのメリットがあります。私にとっては買って正解でした。
皆さんにとって買いかどうか……は、次のデメリットとまとめを見てから考えてみましょう。

 

■ ブラシの平野 手植馬毛「水雷型」のデメリット

  1. 値段が高い
    まず特筆されるのがその価格です。
    通常の高級ブラシでも\5,000程度なのですが、その3倍以上の値段がします。
    これは、高い材料、高い人件費、少ない生産数という工芸品のような理由からです。
     
  2. 大きい
    メリットにもデメリットにもなるのがこの大きさ。
    長さはKENTラージサイズよりは短いのですが、毛足が長いため結構かさばります。
    置き場所に困るかも知れません。
     
  3. 紐がついていない
    これは結構問題です。
    通常のブラシは大抵紐があり、フックなどに吊しておけるのですが、コイツにはそれがありません。
    平置きするか、改造して紐を付けるしかありません。(筆者は非破壊の改造を模索中です)

目立った欠点はざっとこんなものです。
特に致命的になりそうなのは1番と3番ですね……。

 

 

■ まとめ:買いかどうか

まず、前述の遠り私にとっては間違いなく「買い」でした。

ブラッシングの時間が効率化され、さらにブラッシングの楽しさが増したからです。ウールからカシミアまでこれ1本で済ませることが出来る様になったのも大きいですね。

次に、万人にとって「買い」か、という問題です。おそらく、以下のような人には買いだと思います。

  • スーツを毎日ブラッシングする習慣のある方
  • カシミアなど、柔らかい獣毛の衣料品をお持ちの方
  • スーツ、ジャケットなどを、それなりの数量をお持ちの方
  • 良い物を長く大事に使いたいというポリシーの方
  • 工芸品が好きな方

上記で2つ以上当てはまる場合は買いだと思います。
もちろん、デメリットとも比較する必要がありますが、それでもなお、余りあるメリットだと思います。
みなさんは如何でしたか?

 


勿論、今回購入した平野のブラシ「水雷型」以上に高いブラシも世の中に存在し、これが一番高いブラシかと言われればそうではありません。

しかし、ある程度多く使われている最高級ブラシの代名詞と言って良いと思います。

別の言い方をすると、「高い高い」と言いつつも、その効用や製品の質から考えると良心的な価格なのではないか、ということです。

必要な人にとっては、実用と所有欲を兼ね備えた、素晴らしいブラシなのでは無いでしょうか。

 

リンク:「水雷型」ブラシの平野

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