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革靴のスリップを防ぐ「釘〆」を考える (靴修理用台人柱レビュー)

投稿日:平成25年(2013) 12月8日  更新日:平成27年(2015) 5月5日 

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みなさんは革底の靴を履いていますか?

革底の靴は、吸湿性にも優れ、見た目も良く、歩き心地もよいですよね。
ただ、どうしても問題が……それは、とても滑りやすいということです。
特に、駅――特に地下鉄のタイルの上が、極端に滑るんです。

今回は、以前も少し紹介しましたが、
革靴が滑る主な原因である、ヒール部分の飾り釘露出を解消する方法について、
やりにくい釘〆(釘締め)を簡単にできる方法を中心にご紹介したいと思います。

 

 

 

革靴がスリップする原因は?

以前(2年半くらい前)、
「革靴/靴底の滑りを防止する(ヒールの飾り釘対策を中心に……)」
という記事で、革靴のスリップ原因とその対策を述べました。

上記の記事を要約すると以下の通りです

  • 滑る部位はソール(足の前部分)とヒール(踵部分)の2つに分かれる
  • ソールにはゴムを張ることでスリップを防止できるが、蒸れやすくなるなどのデメリットもある
  • ヒールは飾り釘が露出することで滑りやすくなるが、釘〆(くぎしめ)で靴の中に押し込めば良い

この記事を書いた後、いくつか思うところがでてきました。

それは、靴のスリップ主要因はソールよりもヒールが多く
中でも飾り釘が露出し、さながら「金属板」になってしまうことが一番危険であること。
そうなってしまうとこれを靴の中に戻す釘〆が非常に困難であること、などです。

※ 釘〆(くぎしめ)とは……
釘を打った後、くぎの頭が他の物に当たらないように、さらにめり込ませることで、
凸面のハンマーや、そのまま「釘〆」と呼ばれる器具(後述)を使って行う処理のこと。

 

 

飾り釘による革靴のスリップとは?

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飾り釘(化粧釘)とは、革底のヒール部分に打ち込まれた真鍮製の釘のことで、
元々はヒールの積み上げ部分を固定する役割がありましたが、
現在では接着剤などの発達で、飾りの意味が殆どと言われています。

私感ですが、高級を謳うほど飾り釘が多くなる傾向があり、
写真の例は左右1列ですが、2列になっている物や、3個セットの物などもあります。
そして、この飾り釘が潰れると下記の写真のようになります。

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左側の飾り釘が潰され、金属板状になっています。
右列の上部分が元々の大きさですから、かなり広がってしまっています。
金属は摩擦係数が低いので、非常に危険な状況です。(危険な目に遭いました……)

右側がなぜ広がっていないかというと、じつはこのヒール、一度釘〆を行っているためで、
右列はそれに成功しているからです。
しかし、左列はうまく釘〆できなかったか、歩行によって削れたことで再露出した物と思われます。

 

 

やりにくい釘〆をやりやすくする

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この様なスリップをなくすために、
上の写真のような器具、その名も「釘〆」を使って処理を行います。

一番下の細くなっている部分を飾り釘の頭にあわせたうえで、上からハンマーで叩きます。
しかし、これが凄くやりにくい。
ということで、冒頭の写真にもどるわけです。

釘〆のやりにくい点は2つ。
1つは、靴を固定しにくいこと。もう1つは、ハンマーで叩きにくい事ですが……
それを解消するためのアイテムが以下の通り。

 

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「靴底修理用台」「ゴムハンマー」を買ってしまいました。
前者が3000円台、後者も数百円程度です。
これが頗る具合が良いので、以下レビューをします。

 

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まずこちら。靴底の形が上下にくっついている修理用の台です。
靴屋にある専門的な金台からは少し見劣りがしますが、
スチール製で非常に頑丈に出来ています。上面が婦人用で、下面が紳士用です。

 

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取り出すとこんな形です。ここに靴を乗せると……

 

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こんな感じになります。
このまま叩くと勿論安定しませんので、両足で台の足の部分をおさえるか、
足部分を自分の足で踏むかをすると、良く固定できます。

 

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もう一つがゴムハンマーです。
結構大きめ。左側が16cm釘〆で、倍ぐらいの長さがあります。
金属製のハンマーを使う場合、外すと手に当たり涙目になったのですが、それが無くなります。

 

 

靴修理用台+ゴムハンマーで釘〆した結果

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上の写真が再掲の元画像、下が処理後の写真です。

すこし深く〆すぎてしまいましたが、
タイル上を歩いてみても、全く滑らなくなりました。やはり、これは良いですね……。

また、従来何度も叩かないと〆られない上に、
ここまで広がってしまった飾り釘は、修理屋に持ち込まないと〆るのが難しかったのですが、
ほぼ数回の打ち込みで、釘〆が出来る様になりました。

おそらく、靴修理用台が下からしっかり支えてくれているのと、
ゴムハンマーのヘッドは大きいので、外す心配が無くなり、
打ち込みに迷いが無くなったのが成功要因だと思います^^;

 

革底のスリップが困る、という場合は、ぜひヒールの飾り釘が潰れていないかお確かめ下さい。
もし、そうなっていた場合は、釘〆をすることをお薦めします。
ホームドアが出来てきたとは言え、プラットホームでの転倒事故は本当に危険ですから……

それでは。

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