サラリーマンのファッションを考える


スーツの夏服、冬服、合い服の違いを考える

     (更新:平成24年6月9日)

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衣替えの記事を書こうと思ったのですが、ふと気づきました。
衣替えは冬服などを夏服に、またはその逆の入れ替えを言いますが、
そもそもスーツの夏服/冬服/合い服の違いってなんだろう、ってところです。

まずはそこんところをしっかりしてから衣替えの記事を書こうと思います。
ということで、今回はスーツの夏服、冬服、合い服の違いとその意義を考えたいと思います。
上手に使い分ければ、快適なスーツスタイルライフが築ける……はず。

 

 

 

当たり前ですが、簡単に言えば冬服は暖かく、夏服は涼しいのです。
では、どういうスーツが暖かく、逆に涼しいのでしょうか。

基本的に服は、素肌に外気を晒させないことで断熱をしています。
ここで言う断熱材とは、実は空気なのです。
服の生地の中に、どれほどの空気をため込めるか。これが服の寒暖を決めます。

沢山空気をため込み、風が吹いてもその空気が逃げない服が暖かい服です。
逆に、空気をあまりため込まず、風が吹けば空気が入れ替わる服が涼しい服です。
そこで、以下の3点をもとに見分けてみましょう。

1.生地種類
2.生地の重さ(厚さ)と織り
3.ディテール



■ 夏用の生地、冬用の生地

スーツの表地には、様々な種類があります。
一般的にはウールですが、天然毛ではモヘア、カシミア、ラクダなど、植物繊維では麻、綿、竹、合繊ではポリエステルなどなど。

この中で、夏用と冬用のグループに分けるとこんな感じになります。

夏物:モヘア、麻、竹、綿
冬物:カシミア、ラクダ
両用:ウール、ポリエステル

モヘアは、特にウールとの混紡になった際に毛の性質の違いから空気を通し涼しくなります。麻や竹、綿といった植物系の素材も、表面積が少なく、空気を保有するのに適しません。
一方、カシミアなどの毛足の長い素材で出来ているものは、大量の空気をため込み、暖かくなります。

夏用と冬用については、これらの素材が使われていれば、
その季節のスーツ/ジャケットだとほぼ特定できます。
では両用素材、とりわけウールについてはどの様に見分ければ良いのでしょうか。次に見てみましょう。

 

■ 夏用の厚さ/冬用の厚さと生地の織り

スーツの生地は、重さで表します。印刷業界と一緒ですね。
おおよそですが、夏用と冬用の重さはこんな感じです。

夏物:230グラム前後
冬物:おおむね260グラム以上

生地が厚ければ、それだけ多くの空気をため込む(=外気との断熱効果増)ため、
冬の防寒に向く、と言うわけです。
逆に薄ければ空気がため込まれなくなりますから、当然涼しくなります。

そして、目の詰まった織りであればあるほど、暖かくなります。
たとえば、冬物の代名詞フランネルは、フェルトのように目が詰まった織りでとても暖かく、
ポーラやトロピカルなどの目の粗い生地は、空気を通すため涼しくなります。

夏物:粗い織り(サージ、ポーラなど)
冬物:目が詰まった織り(フランネル、ツイードなど)

実は、近年、特に日本では夏冬の境界が軽く(=薄く)なりつつあります。
古い本、だいたい50年前の本を読むと、260グラムは冬物ではありませんでした。
都市部のコンクリートと多数の熱源によるヒートアイランドが原因でしょうか……。

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3ツ杢(ポーラー)のモヘア混生地(230g) → 夏用
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ウールの一般的な生地(280g) → 冬用

_MG_2293三ツ杢(ポーラー)地
目が粗く風が通りやすい一方、透けて見えるので注意が必要



■ 夏用のディテール、冬用のディテール

生地以外に夏用/冬用の違いを考えます。
実は、ここが一番見分けやすいと思います。
まずはどの様なところに変化があるのか、箇条書きにしてみましょう。

・裏地(服の内側、ライナーですね)
・ボタンなどの装飾品
・副素材

◎裏地
古典的なスーツは、裏地が全て入っている「総裏」と呼ばれる物ですが、
夏用のスーツは「背抜き」という背中の裏地を省いたディテールになることがあります。
さらに背中の上の方まで省いた「半裏」、そしてほとんど裏地を使わない「大見返し」などもあります。

◎ボタンなどの装飾品
貝ボタンが典型です。ほぼジャケット用ではありますが、夏には定番の素材ですね。
また、脇錠をつけてベルトレスにしたりというディテールもあります。
あくまで見た目の涼しさということです。

◎副素材
スーツの胸の部分に使われる毛芯、肩パットの部分などに使われる素材を副素材と言います。
それらを軽い物にしたり、あるいは省いた「アンコン(un-constructed)」と呼ばれる仕様もあります。
副素材もある程度空気をため込むので、幾分涼しくなります。

 

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▲総裏(日本では主に冬用)
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▲背抜き
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▲半裏

 

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紺色の麻のジャケットに黒蝶貝のボタン
夏のスーツの定番(でも、盛夏には生成りの麻の方が似合う)


■ ところで合い服は?

すっかり忘れていました。合い服。
じつは、この種の服は絶滅一歩手前です。

夏物→→秋物→→冬物→→春物→→梅雨物
細かく分けると上記のような種類があります。

ここでいう秋物、春物、梅雨物をまとめたのが合い服です。
しかしながら、晩秋と初春は冬物が、梅雨時と初秋は夏物が代替するようになってしまい、
もはや絶滅寸前、というわけです。

生地の厚さはだいたい夏物と冬物の中間、裏地は総裏だったり背抜きだったりと中途半端です。
また、年2回の衣替えに合い服が入ってくると混乱が起きます。そう、衣替えが4回になるのです。
ということで、あまり見なくなってしまいました。

 

■ まとめ

  • 暖かい服が冬物、涼しい服が夏物(但し、「見た目が」ということもある)
  • 空気を沢山ため込む服が暖かく、ため込まず風通しが良い服が涼しい
  • 厚い生地は空気を良くため込み、おおむね260グラム以上が冬物(近年境目は軽い方向に移動中)
  • 目が詰まった生地は暑く、粗い生地は涼しい
  • 冬物は概ね総裏、夏物は概ね背抜き(但し、海外では夏物でも総裏がある)
  • 夏物は、毛芯やパットが薄い物が多い
  • 春、秋、梅雨時に着るのが合い服だが、夏服/冬服に境界を侵食され絶滅寸前

 

近年では3シーズンズ(真夏以外行けるよ!)、4シーズンズ(通年行けるよ!)という生地も登場。
合い服ばかりか冬服の立場も危うくなってきているのが現状です。
そして、クールビズによって夏服の立場も……って、あれ!?

まぁ、日本や南イタリアのように、夏が酷暑になる地域以外は、通年着ていたりするので、
世界的に見れば目新しい物でも無いのですが、四季の文化を楽しむ日本人としては悲しい物が有ります。
ちなみに、私は合い服を数着使っています。衣替えにちょっとコツが要るのですが……続きは次回に。

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