暑い日が多くなってきた今日この頃、皆さんはネクタイをしていますか? 私はまだ、もう少しタイドアップして出社しようと思っています。
そして、今回取り上げるのはそんなネクタイの話。
なんでこんな微妙な時期にネクタイを? と思われるかも知れませんが、実は5~6月がネクタイのセールが多くなり、買い時だからです(私も今月に入って何本か購入しました)。
もちろん、人気の柄は早々に無くなっていますが、今回取り上げるのはネクタイ界の隠れた名品(名柄)、花をモチーフにしたタイです。
女々しいという先入観から、花柄は経遠されがちです。しかし、物によってはビジネスにも使え、そしてコーディネートもし易い優秀な柄なのです……。
1.レジメンタルだけがネクタイ柄では無い
△ レジメンタルタイ(LUIGI BORRELLI 製)
先日、就職活動中と思われる学生の集団全員が、レジメンタルタイでビックリしたことがあります。
さらに、スーツ量販店で販売されているネクタイも、先日見た限りレジメンタルが一番多く感じました。つまりは、就活生だけでなく、サラリーマンの多くがレジメンタルタイの愛用者ということなのでしょう。
レジメンタルから無地、ドット柄へ移行済み?
そんな、レジメンタルタイですが、ファッションが好きな方を中心に、無地(ソリッドタイ)と水玉(ドットタイ)へと、その人気はシフトしているように感じます(あとはペイズリーですかね)。
事実、セレクトショップのネクタイ売り場を見ると、スーツ量販店よりも圧倒的にレジメンタルタイが少ないです。
レジメンタルタイは、実は柄あわせが難しいこと、ありふれた感じがすること、そして(意見は分かれますが)海外で特定の氏族・学閥の出身者と誤解される、等のネガティブな意見が原因にあるのではと思います。
実際に私も無地やドット柄ネクタイ愛好者ですし、本当に上質な生地を使ったタイは、これらの柄が一番映えると考えています。
しかし、そんな無地やドット柄ばかりで、最近食傷気味になっていませんか?
そこで、もう少し柄で遊んでみたい、派手すぎずに華やかな雰囲気を出してみたい、という方にオススメなのが、花柄、なかでも花小紋のネクタイです。
2.花柄は女性だけのモチーフでは無い
日本で花柄というと、どうしても女子供のもの、という印象が強いでしょう。
もちろん、カラフルな花柄のタイであれば、そのような、または遊び人の印象を免れないかもしれません。
しかし、ポイントは花「小紋」である、と言う事です。
花柄の華やかさと、小紋の端正さを持ち合わせる花小紋
小紋柄のネクタイはお持ちでしょうか。
△ 小紋柄のタイ(キトン製)
文様を、主に等間隔に敷き詰めた柄を小紋柄と言いますが、無地、ドットタイに次いでストイックでクラシカルな柄です。
そして、このクラシカルさに花柄の持つ華やかさを取り入れた――いいとこ取りをしたのが花小紋というわけです。
また、模様の間隔や大きさなどによっても、クラシカル側に倒せることもあれば、華やかにすることもできるのが面白いところです(後述します)。
この様に、花小紋は男性のネクタイにとって、実は想像よりも使いやすい柄ではないかと考えます。
3.花小紋タイの選び方
続いて、どんな花小紋タイであればクラシカルで、はたまた華やかな雰囲気になるのでしょうか。
ポイントは2つ
- 柄の大きさ(大小)
- 柄の間隔(粗密)
です。
① 柄の大きさ(大小)
△ 左:フランコバッシ、右:Leonardo Tazzari
左が大きめの花小紋、右が小さめの花小紋です。右の方が圧倒的におとなしく、クラシカルなのが分かると思います。
これは、ドットタイと同じ傾向ですね(ピンドットの方がクラシカルで、ポルカドットの方が華やか)。
② 柄の間隔(粗密)
△ 左・中央:前掲、右:BARNEYS NEWYORK
花の大きさに加え、花と花の間隔も影響を与えます。
前項の写真に、もう一つタイを追加しました。花のサイズは真ん中のタイと同じですが、間隔が広くとってあります。 これによって、さらにクラシカルに見える事が分かります。
つまり、間隔が狭ければ華やかに、広ければクラシカルに見えやすい、というわけです
もちろん、他のネクタイと同じように、色使いによって当然華やかさが異なりますが、この辺りは別の機会に……。
まずは花が小さく、間隔が広い花小紋から
いきなり花柄なんて……という方は、花が小さく、間隔が広い柄のネクタイから初めてみるのも良いでしょう。
ドットタイ、または小紋タイかと思ったら、よく見たら花柄だった……というのも、面白いと思います。
4.花小紋タイのコーディネート
花小紋タイは、基本的には小紋タイに準じたコーディネートで良いと考えています。
とはいえ、初めて取り入れるときは不安になるものですから、すこしコーディネート例をご紹介します。
花の色でシャツの色を拾う
△ シャツ:鎌倉シャツ(レビュー記事)、タイ:Atelier F&B
「色を拾う」のは色合わせテクニックの基本ですが、花小紋にもこの技が使えます。
写真は、水色と白色の花があしらわれた、黄色の花小紋タイです。シャツを花の色(水色)と合わせ、色を拾うようにしています。
ビジネス用のシャツの色は大体白色か水色ですから、水色の花があしらわれたタイは、結構使い勝手が良いです。
裏地と合わせる
△ ウェストコート:個人テーラーの仕立て、シャツ・タイ:前掲
続いて、茶色の花があしらわれた小紋タイです。
この茶色と似た裏地を持ったスーツを合わせてみます。とはいえ、ジャケットの裏地はなかなか見えませんから、三つ揃いのウェストコート(ベスト、ジレ)の背中と合わせています。
ブレイシーズと合わせる
△ ブレイシーズ:アルバートサーストン、シャツ:前掲、タイ:テーラーオリジナル
最後は、応用編。ブレイシーズとタイの配色を合わせます。
もちろん、ブレイシーズは基本的に見えない(ようにする)ものです。しかし、2ピースならジャケットがめくれたとき、三つ揃いならウェストコートからチラッと見えたときに、タイと配色が揃っているととてもお洒落です。
5.おわりに
「スーツスタイルを少し華やかにしたいけど、派手にはしたくない」という場合、花小紋はとてもオススメです。
また、女性ウケも良いので、職場が女性ばかり、顧客に女性が多い、という仕事の方にもオススメできます。
さらに、他人と被る事が少ない(そもそも、あまり花小紋のネクタイをしている方を見かけません……)ので、良い配色や縫製のタイが、セールの末期まで安価に残っていることが多いのも特徴です。
とはいえ、今後花小紋の価値が見直されて、ブームになったとしたら、個人的な熱は冷めてしまうかも知れませんが……^^;(応援していたインディーズのバンドがメジャーデビューすると冷めるのと同じ理論?)