シューケアグッズのレビュー

保革重視の靴クリーム「モゥブレィ クリームナチュラーレ」を使ってみた

投稿日:平成26年(2014) 7月21日  更新日:平成30年(2018) 5月12日 

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皆さんは靴磨きの時に、どんなクリームを使っていますか?

私はもっぱら保革ローション+サフィールノワールという組み合わせが多いのですが、
先日出かけたときに、モゥブレイの高級ラインクリーム「プレステージ クリームナチュラーレ」
をみつけ、初めて買ってみたのでレビューしたいと思います。

まずは外観を、続いて実際に使ってみて使用感をご紹介します。
また、既存の「シュークリームジャー」など、他の製品との位置づけや、
役割の違いを考えてみたいと思います。

 

 

基礎データ

  • 商品名:「M.モゥブレィ プレステージ クリームナチュラーレ
  • 種類:乳化性クリーム
  • 用途:スムースレザー(一般的な皮革)・コードヴァン・ブライドルレザー・オイルドレザー・アニリン染め・オーストリッチ等の靴、ブーツ、パンプス
  • 価格:2000円~2500円程度
  • 容量:80ml
  • 色展開:無色を含む6色(無色、黒、茶、薄茶、焦げ茶、赤茶)
  • 販売元R&D

(初めての方向けの解説)「乳化性クリーム」とは

乳化性クリームは靴墨の一ジャンルです。
一般的な油性靴墨(主に缶入り)はロウ分によるつや出しと油脂による保革がメインなのに対し、
乳化性クリーム(主にビン入り)は水と油脂による保革が主眼で、若干のロウ分が含まれます。

従来、革は油分だけ有れば良いという考えが主流でしたが、
近年は適切な水分が革の中に含まれていないと、ひび割れの原因になることが分かってきました。
そのため、「保革」を重視する場合は、油性靴墨よりも乳化性クリームを選ぶ場合が多いのです。

保革の面で言うと、油性靴墨 < 乳化性クリーム ですが、
つや出しの面で言うと、油性靴墨 > 乳化性クリーム となります。
乳化性クリームを使った後、つま先など一部に油性靴墨を使って光沢を補う手法もあります。

 

 

フォトレビュー

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さて、こちらが製品外観です。
「M.モゥブレィ プレステージ クリームナチュラーレ」(長いので以下「本製品」とします)
の「ライトブラウン(薄茶)」を購入しました。

 

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「ナチュラルクリーム」ではなく、あえてイタリア語風の「クリーム ナチュラーレ」。
# 発音は「ナチュラーレ」じゃなくて「ナトゥラーレ」だろうとか、
# そもそもクリームじゃなくて「クレマ」だろうとかいう突っ込みは無しで^^;

 

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用途は基本的な乳化性クリームと一緒です。
「M.モゥブレィブランドのハイグレードライン皮革用クリームです。
有機溶剤を使用していないナチュラルテイストのレザークリームです。」との記載。

 

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紙箱の蓋を開けると、「やわらかいので横にして蓋を開けないで下さい。」との注意書き。

 

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中身を取り出しました。
「シュークリームジャー」に比べ、縦に2倍くらいの高さです。
コルドヌリアングレースや旧サフィールノワールの靴墨よりは一回り小さい印象。

 

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上蓋と下の容器の正面がきれいに揃わないのは、これもイタリア風。

 

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蓋を開けてみました。
この部分は画期的で、かなり開けやすく半回転くらいで蓋が取れます。
この辺は他のしめにくい&あけにくい乳化性クリームも見習って欲しいものです。

 

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少し揺らすとぷるぷるします。
コロニルのディアマントと似たような質感です。

それにしても…… なんか紅茶の匂いがします。
普通の紅茶と言うよりは、あの「午後の紅茶」と同じ匂いです……。
有機溶剤臭が苦手な人も、これはおすすめです。

 

 

実際に使ってみた

眺めていても仕方が無いので、とりあえず実際に使ってみます。

 

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今回の生け贄はこちら。スコッチグレインのオデッサです。
とりあえず右側(左足)だけ本製品を使ってみます。
手入れは結構しているので、どこまで差が出るか……。

 

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まずはステインリムーバーで、古い靴墨のロウ分を落としました。
ロウ分が取れて、マットな感じになりました。
(これにより、乳化性クリームの水分と油脂分を浸透させやすくします)

 

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ペネトレイトブラシに本製品を少しつけます。
# 分量は、革の乾き具合にも依るので、適宜調整して下さい

 

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革がしっとりした感じになりました。
水分と油脂分が浸透したことにより革が軟らかくなったり膨脹したりして、
少しシワが伸びていることが分かります。

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ブラシがけをして、光沢を出してみます。
甲のあたりなどは良い感じになっていますが、つま先の辺りは若干光沢が足りないと判断したので、
油性クリームを使って艶を出していきます。

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使ったのはこちら。KIWIのパレードグロスプレステージ
つや出しには定評のある一缶です。

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布にKIWIを少量とって、僅かな水分を加えながら磨いてみました。
良い感じに艶が出たのが分かります。

 

使ってみた感想

写真からは少しわかりにくかったかも知れませんが、
革が一般的な乳化性クリームよりもしっとりとした印象になります。
主観ですが、保革には他の乳化性クリームより有利なのだと思います。

トレードオフとして、つや出しの面では他の乳化性に劣り、
必要に応じて、油性靴墨等で輝きを補う必要があるかも知れません。

価格が高く、ばんばん使うのには適さないかも知れませんが、
デリケートな革や、お気に入りの高級靴を手入れする際には、
保革という面で、メリットがあると思います。

活用方法

1.デリケートクリームの代替として
保革のために、乳化性クリームを塗る前にデリケートクリームを塗っていた方などは、
本製品に切り替えるだけで、手間を一つ省けると思います。

2.油性クリームの補完として
サフィールノワール(ほぼ油性クリーム)などと交互に使用することで、
革の輝きを出しつつ、十分な保革を行うことが出来るでしょう。

 

 

「プレステージ クリームナチュラーレ」の位置づけ

本製品がどんな位置づけなのかを考えていました。

販売元のR&D社を代表する乳化性クリームに「モゥブレィ シュークリームジャー」があります。
# それ以前に同社が販売していた英メルトニアンの乳化性クリームが、
# 米企業の買収により品質が変わり、代替品として登場した物で、随一の知名度を誇る製品です。

シュークリームジャーは800円台。
まだまだ海外の靴クリームに比べ倍以上の値段がしますが、日本では平均的な価格です。

一方本製品は1つ2,000円台。
容量がシュークリームジャーの1.5倍くらいありますが、
それを加味しても値段は普及品の倍と言う事になります。

もうひとつ、本製品と同じ頃販売が開始された製品に「ビーズリッチクリーム」があります。
こちらはサフィールノワールやコルドヌリアングレースを意識した製品で、
水分を殆ど含まない靴クリームです(軟らかい油性靴墨といったもの)。

つまり、油性靴墨とシュークリームジャーの間にビーズリッチクリームが、
シュークリームジャーとデリケートクリームの間に本製品が入る構図です。
また、価格面でも差別化をし、製品のマッピングをしたのだと思います。

これらを図にすると以下の通りになりました。

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まとめ

今回も長くなったので、本製品のレビューを箇条書きでまとめてみます。

  • 保革成分を重要視した乳化性クリーム
  • 保革用のクリームを別途用いていた人は、これ1本に集約できると思う
  • 一方で光沢感は少ないため、足りない場合は油性靴墨と併用する
  • 有機溶剤の匂いがしないので、苦手な人にはお勧め
  • フタが開けやすい

こうしてまとめてみるとあまりパッとしませんが、
保革を主題にした靴クリームはそんなに多くないので、
買い手の選択肢が広がるという意味で、歓迎すべきだと思います。

 

それでは。

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