革靴のコバ(靴底の張り出している部分)は、履いているうちに擦れや経年変化で色あせていきます。
これを放置せず、コバをきちんと手入れすれすることで、輪郭が強調され靴全体を凜々しく見せることができます。
そんなコバの補色・保革に使う「M.モゥブレィ ウェルトクリーム」を購入したので、レビューしたいと思います。
1.製品概要と購入動機
- 製品名:M.モゥブレィ ウェルトクリーム
- 販売元:R&D
- 原産国:イタリア
- 価格:1,080円(税込、購入時)
これまで、コバの手入れは、靴クリームか、退色がひどい場合にはコロンブスのコバインキを使っていました(下記記事参照)。
コバインキは補色力に優れ、使い慣れればかなり手軽なのですが、仕上がりにマニキュアの様なテカリがあって若干不満に思うところも。そこで、一度違う製品も試してみようということで、今回購入に至りました。
2.外観レビュー
製品はチューブ状ですが、直立する箱に入っています。(以前は靴クリームの様な瓶に入っていたようですね。)
今回は黒靴用にブラックを購入しました。他にダークタン(焦げ茶)とライトタン(薄茶)があります。
「ウェルトクリーム」なのにウェルトに使えない?
気になったのが、パッケージの用途に書いてある文章です(太字強調は筆者)。
用途:靴、ブーツなどのコバ(本革) ※外箱正面の靴イラストの濃いグリーン部分のみです。
この記載は、「用途」と「注意」の2カ所に記載され、よほど強調したい模様。では、どこが「濃いグリーン部分」かというと……。
こちら。
拡大すると、説明の通りコバなのですが、ウェルト(コバの上の部分)は使用出来ない模様……。
もちろん、コバの最上部はウェルトの外側でもあるのですが、一般的にウェルトと言われたら矢印の部分ではないでしょうか。
ウェルトクリームなのにウェルトに使えないとはこれ如何に^^;
念のため、「靴 ウェルト」でGoogle画像検索をしてみましたが、私の記憶違いでは無い模様。
本体と同梱品
中身は、クリームが入った中央のチューブに加え、右端のブラシが入っています。
柄は竹製で少し短いですが、コバにクリームを塗るだけなので十分だと思います。
チューブはフタを取るとこんな感じ。
これで直接コバにクリームを塗った上で、先ほどのブラシで塗り込みます。
3.使用感レビュー
今回は、普段使っているコロンブスBootBlackのコバインキと比較しつつレビューしようと思います。
実験台はこちらの靴。日頃油性ワックスをコバに塗りつつ手入れしているので、あまり退色していませんが、靴底に近い部分がすこし禿げているのがわかります。
コバインキとの比較
左がコバインキ、右がウェルトクリームです。
補色しやすいよう、ステインリムーバーでロウ分を取り去った後、真ん中に養生テープを貼って、テープの左側をコバインキで、右側をウェルトクリームで補色していきます。
コバインキで補色
コバインキは、瓶の蓋に付いているスポンジので塗っていきます。
塗ったところ。
テラテラしているのが分かりますか?
まだ乾燥していないので分かりづらいですが、コバインキは補色力は強い反面、マニキュアの様なテラテラ感は好みが分かれるところだと思います。
ウェルトクリームで補色
続いてウェルトクリームを右側に使います。
チューブからコバに直接クリームを塗っていきます……が、ちょっと水っぽい?
気になったので、キャップを閉め、良く振ってから新聞紙に出してみると……。
やはり……。本来はこのくらい粘性が高めのようです。
どうやら、チューブの中でクリームから水分が分離していたようです。注意書き等には書いていませんが、塗る前にはよく攪拌する必要がありそうです。
ということで、一旦コバに塗布した水分多めのクリームをティッシュペーパーで拭いてから、再度塗っていきます。
こんなかんじ。(なお、この範囲にこの量は多すぎでした。この量で、踵まで一周できました。)
そして、附属のブラシをつかって塗り込んでいきます。
塗り込んだところ。
比較
やはり、コバインキ(左半分)の補色力は強いですね。対するウェルトクリームは、補色力に関しては今ひとつのようです。
また、ウェルトクリームは塗った後に磨きましたが、コバインキのギラギラ感には叶いません。
ただし、このギラギラが好きという方が居る一方、下品と感じる可能性もあります。個人的には、磨き上げたドレス靴にはアリですが、カジュアル向きの革靴だと違和感が出るものもあると感じています。
使い勝手
使い勝手ですが、個人的にはキャップからそのまま塗ることができ、作業時間も短いコバインキの方が優秀だと感じました。
ウェルトクリームは、手入れをした後もブラシを洗い、かつ保管しておく必要があるため、手間が増えます。
4.まとめ
保革の要否、光沢感の許容がポイント
コバインキは保革を目的としていないことから、保革と補色両方を目的としているのであればウェルトクリームは有力な選択肢となると思います。
しかし、補色のみであり、かつ光沢感の有る仕上がりが嫌いで無ければ、いまのところはコバインキをオススメします。
本当にウェルト(上部)に使えない?
実は、今回少し多めにウェルトクリームを出してしまったこともあって、(人柱覚悟で)ウェルト上部まで塗ってしまいました。
附属ブラシの形状もあいまって、けっこう塗りやすいです^^; そして、乾いてからストッキングで磨き上げると、上品な光沢も出てきました。
一方コバインキの弱点として、コバには塗りやすいのですが、コバ上部のウェルトに塗るのはとても難しい(まずムリと思った方がいい)のです。
ウェルト部分まで使えればアドバンテージが出ると思いますが、公式には「ウェルトクリームなのにウェルトに使えない」謎……。白いステッチを使った靴にクレームが出るからなのでしょうか……?
こんな人におすすめ
ウェルトクリームはこんな人におすすめです。
- コバの補色と保革を同時に行いたい
- コバインキのテラテラな仕上がりが嫌い
- 靴クリームのコバに対する補色力では不満がある
- モゥブレィブランドが好き
個人的には、基本は靴クリームでの日々の補色をし、禿げてきたらコバインキを、テカリが似合わない靴やコバに潤いが感じられない場合はウェルトクリームを使おうと思います。(そしてこの時、コバだけでなくウェルトにもウェルトクリームを塗り込んでしまうと思います……。)