ヒールの飾り釘が潰れて、滑りやすい状態に。
Church's製1/4ゴムヒール。ヘビロテぎみ。
今回はマニアックに、久々に靴の話題に戻りたいと思います。
自分は基本的にスーツやシャツよりも靴が好きなのですが、最近取り上げていなかったなぁ……と。
これから雨の季節――梅雨が始まります。革靴ユーザーの皆さんにおかれては、どの様な対策をしていらっしゃいますか?
勿論、見た目の「雨対策」も大事ですが、もっと大事なのは身の安全を守ることです。
雨の日、濡れた革靴、地下鉄のタイル……最悪の組み合わせですね^^;
今回は、滑りやすい革靴の、隠された原因を探りたいと思います。
※以下の文章は、靴底が革であることを前提に行っています。
雨の日の革靴、どこが滑るの?
革靴が接地している箇所は基本的に2カ所しか有りません。
つまり、ソール部分(土踏まずから先)か、ヒール部分(かかと)です。
いずれも、接地面との摩擦がうまくいかない――うまくグリップできていないのが原因です。
それぞれの滑りやすい原因を考えます。
ソール部分の対策
靴の中で一番接地面積が広い部分のはずですが、濡れた状態でかつ油分が多い場合、タイル地や大理石の上で良く滑ります。
水分浸透を防止するために、ミンクオイルをソールに塗る習慣がありますが、やめた方が賢明です。
勿論、ソール用の革も皮革には違い有りませんから、長持ちのためには油分も大切です。
しかし、多すぎると大変危険です。また、靴クリームも塗った方がよいと書いてある書籍がありますが、あれもお薦めしません。
靴クリームには光沢剤が入っており、これがさらに滑りやすくするからです。靴底を光らせる必要は無いでしょう?
お薦めはソール用のトニックです。
ただ、これらはちょっと値段が高い。
その場合は、デリケートクリームを1:1で水溶きした物を塗ると良いと思います。
他には、靴底に貼るゴムなども有効ですが、革底のメリット(蒸れにくい、独特の履き心地)を犠牲にする面があり、私は使用していません。
ヒール部分の対策
実は、本日のメインはこちら^^;
まずは本記事のtop画像をもう一度御覧下さい。飾り釘がヒール上に露出して、特に右側などペチャンコに潰れています。
これが非常に危ない。タイルの上を歩くと、ツルツル滑るのです。
ちなみにこの飾り釘、主に真鍮で出来た長さ1cm程度の短い釘です。ヒールの革をかさねた部分(つみあげ)を固定していた名残で、現在はその名の通り「飾り」です。
で、これをどうするかというと、出る杭は打つ。ということで、露出して平べったくなる前に引っ込んで貰います。
取り出しましたるはこちらの「釘シメ(釘〆または釘締)」700円くらいで買える、木工用の道具です。
コイツの先端を飾り釘にあて、反対側を金槌で叩いてやります。(これを「追い込み」と云います)
上の画像のようにはきつぶした物だと非常にやりにくいので、今回は新品を用意してみました。試しに右側だけ追い込んだ物がこちら。
ちょっと分かりづらいですかね。もう一つ見てみましょう。
工作は余り得意でないので、汚い仕上がりご容赦下さい^^;
ともかく、頭を出していた(出しそうな)釘を追い込むことに成功しました。一見製造段階で追い込まれているように見える左側も、歩くときの衝撃で出てきてしまうのです……。
何度か履いてみて、追い込まれた飾り釘が衝撃で出てきていないか確かめてみて下さい。
そして、その都度追い込む。2,3回繰り返すと、ヒールの革も詰まってくるので、追い込まなくても良いようになってきます。
まとめ
【ソール】
・余計な油分は与えない
・ソールに貼り付ける滑り止めはデメリットもある
【ヒール】
・飾り釘が一番危ない
・飾り釘は釘〆(釘締め)で追い込む
転倒してけがをしたり、スーツを傷めたりしないよう気をつけたいものですね。
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「自分だけは大丈夫」、いわゆる正常性バイアスは、災害が多い土地に住む日本人も良く陥りやすい罠です。
「自分だけは大丈夫」そう思っていて転んだのが4年前。新宿伊勢丹の駐車場でした。
運動神経が悪いと云われればそれまでなのですが、靴のためをと思い、ソールに油を入れすぎたようです。
着ていたスーツや持っていた鞄に「怪我」はありませんでしたが、もっとも大事な中身=自分が怪我をしてしまいました。
肋骨にヒビが入ったため、呼吸するだけで痛い毎日でした。皆さんもお気をつけ下さい……