近年、男性向けファッションを扱う百貨店では、男性用香水の販売スペースがずいぶんと拡充されてきたように思います。
入り口の付近の一等地に、男性用香水と化粧品がずらっと並ぶのが珍しくなくなりました。
また、昨年の9月に行ったアンケートでは、男性の86%の方か香水を付けたいと回答していました(既に使っている方も62%と高水準でした)。
まだまだ賛否が分かれるものの、男性が香水を付けることについて、より一般的になってきたのではないでしょうか。しかし、それと比例するように多くなっていると感じるのが、男性の「香害」です。
特に梅雨時の今、気温と湿度が上がりムシムシした電車の中やオフィスで、頭が痛くなるような香水の臭いを振りまく方が出現するようになります。
今回は、この時期増加する香水の「香りすぎ」について、考えてみたいと思います。
1.自覚が難しい「香り過ぎ」
皆さんは、自分が香りすぎていないか、どの様な基準で判断しているでしょうか。付けた後、そんなに強く香っていないか、自分の鼻で確かめていませんか?
こんな時、香りすぎが起きている可能性が有ります。
香りには慣れがある
「順応」という言葉をご存知でしょうか。
周囲が暗くなると、瞳孔が開いてだんだんと周りが見えてきたり、甘いケーキを食べた後に砂糖たっぷりの紅茶を飲んでもあまり甘く感じなかったりするアレです。
つまり、刺戟を長く受けていると、体が慣れてしまうのです。実は、香りにもこの順応が起きます。
自分では「そんなに香っていないのでは?」と思っても、単に嗅覚が順応を起こしているだけで、実は周囲に強烈な匂いを発生させている可能性があります。
2.気温や湿度でも、良い香りが不快な匂いに
春から夏に季節が変わり、気温や湿度も上がってくると、香水の香り方にも変化が生じ、香害を発生させやすくなります。
理由は2つあります。
一つは、気温が高くなるったことにより、香り成分の拡散が強くなること。牛乳は冷たいときにはあまり臭わないのに、ホットミルクにすると一気に乳臭くなりますが、アレと同じです。
もう一つは、夏に似合わない香りがあるからです。甘ったるい、ウッディ、オリエンタルな香りなどは、気温と湿度が高くなるこの時期、不快感を催しやすく、避けた方が良い香りです。
香りすぎよりは香らない方がマシ
何のために香水を付けるのでしょうか。
香水を付ける理由は様々あると思いますが、共通して言えることは、あくまで自身のプラスイメージのためになることでは無いでしょうか。
しかし、香り過ぎはマイナスイメージにしかなりません。そのため重要なのは、香りすぎよりも、香らない方がマシ、と言う事です。
「少し香水がきつめかな?」よりも、「少し香水が足りないかも?」にとどめることが重要です。
3.香りすぎを防ぐテクニック
続いて、香水の香りすぎを防ぐテクニックをご紹介します。
① 量を厳格に決める
「香ってるかな?」「香ってないかも……」などと、何度も付け足すのはNGです。
男性用香水の場合、スプレーボトルが殆どですから、1プッシュ以内とか、多くても2プッシュ以内などと、機械的に量を制限してしまうのが有効です。
また、スプレーボトルはメーカーによって噴射量が異なるため、アトマイザー(後述)の利用も効果的です。
② 体の低い位置、服に隠れる場所に付ける
映画などで手首や胸元に付けるシーンがありますが、これは避けた方が良いです。
香りの強さは、香りの発生源と鼻との距離でも決まります。つまり、相手の鼻が近くに来やすい自身の上半身は、香りがキツくなりやすいのでさけたほうが良いです。
たとえば脇腹、膝の裏側などの体の低い位置、衣服に隠れて直接香りが立ちのぼらない場所につけることで、マイルドに香らせることが出来ます。
③ 香りを見直す
自分が好きな香りが香らなくなった……と、沢山付けてしまう場合もあります。
先述したとおり、香りは順応を起こすため、同じ香りを付け続けると、感じ方が弱くなることがあります。こんな時は、違う香りも試してみて下さい。
幾ら気に入っているツイードのジャケットでも、年間を通して着ることは無いですよね。これと同じく、香水の香りには、それぞれ似合う季節が有りますから、その観点からもシーズンや気分で香りを替えることも効果的です。
4.まとめ
- 男性の香水利用率は増えているが、香害になるケースも散見される
- 自分の鼻では、香りすぎかどうかの客観的判断を下すのは難しい
- 季節の移り変わりによっても、香りすぎの判断が変わることがある
- 香りの価値は【 香りすぎ <<< 香らない < 良い香り 】
- 下半身の服の隠れる場所に、機械的に決めた量を付け、定期的に香りを替えることで香りすぎを防ぐ
前回のアンケートでは、どのくらい付ければ良いか分からない、付けすぎが多い、などの、香水の適量に関する意見が多くありました。
また、私も満員電車の中で(男女問わず)香水付けすぎの人が来て、頭痛や吐き気に襲われたことが何回もあります。(一番酷かったのは、二日酔いの朝、強烈なキュウリ臭の香水を付けた方が、通勤電車の隣に座ってきたときです……^^;)
ともかく、香水は「過ぎたるは及ばざるがごとし」ではなく、「過ぎたるは及ばざるに劣る」世界だと思います。
香水好きの一人として、今回の記事を通じ、もう一度自分を省みたいと思いました。
5.(おまけ)アトマイザーの使い方
香水を少量付けたいとき、アトマイザーは非常に便利な道具です。
最後に、アトマイザーの使い方をご紹介します。
アトマイザーとは
右側の、青いキャップの小瓶がアトマイザーです。アトマイザーとは、要は、香水用の小さなスプレーです。
初めて買うなら、お薦めはヤマダアトマイザーです。液もれしにくいなど、瓶そのものの品質も高いのですが、この様に使いやすい移し替え用の道具もセットになっているからです。(ただ、以降出てくるアトマイザー本体はヤマダではなく、別で大量購入したモノです。すみません^^;)
左から香水とアトマイザーを同定するための目印シール、移し替え用のスプレーヘッドと漏斗です。
移し替え方
やり方はいたってシンプルです。まずは香水ボトルのスプレーヘッドをとります。
アトマイザーのヘッドを外し、
移し替え用のスプレーヘッドのノズルを差し込み、
香水ボトルの本体に詰め替え用のスプレーヘッドを装着し、キュポキュポとアトマイザーへ注ぎ込みます。
7~8割で止め、アトマイザーのヘッドを元に戻します。(それ以上入れると液漏れの恐れがあるので注意。)
最後に、油性ペンで香水の名前を書いても良いですし(その場合は、上からセロテープを貼ると、消えなくて良いです)、附属のシールで目印にしても良いと思います。
なお、使い終わった移し替え用のスプレーヘッドは、エタノールを入れたアトマイザーに装着&数プッシュし、掃除しておきましょう。早めにやらないと匂いが落ちなくなり、再利用できなくなるので注意します。
以上、参考になりましたら幸いです。