靴の手入れ

雨用にした革靴の「その後」と、雨用革靴の「手入れ方法」

投稿日:平成24年(2012) 6月24日  更新日:平成28年(2016) 10月10日 

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沖縄では梅雨明けが発表されましたが、本州ではまだまだ梅雨真っ盛りです。
そこで、今回は雨靴を話題に選んで、次の2つを考えてみようと思います。

・2年前に「雨用靴」として紹介したあの靴はどうなった?
・「雨用靴」の手入れ方法

雨と革靴について考える1 「雨用靴をえらぶ」 (H.22 3.7)で紹介した雨用靴の中で、その後2年強で一番多用したのはスコッチグレイン製のパンチドキャップトゥでした。
雨の激しい日はほぼこの靴一択(いったく)だったのですが、どの様に傷んだのかを見てみます。

もう一つは雨用靴の手入れ。
「日常の手入れでとりあえずこれだけやっておけばOK」
という方法を中心にご紹介しようと思います。

 

※ 念のため――靴の手入れは、自己責任でお願いします。むしろ、自己流にアレンジしてみて下さい。

 

 

■アノ雨用靴はどうなった?

雨用靴として推薦したからには、どの様な劣化が起きたのかをご報告しなければならないでしょう。ということで、当時の写真と今の写真を比較してみましょう。
スコッチグレイン製のエントリー価格帯(WEB限定モデル)NL3134BL(公式WEB通販リンク)です。

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まず、これが当時(2年強前)の写真です。
そして、

 

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これが今の写真です。

なんかくすんで見えます?

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あれから2年以上、トータルで3年以上履き込んでいるとは思えないほど、状態は良いと思います。
さすが質実剛健のスコッチグレイン製、といったところでしょうか。

ただ、3日前に大雨の中で履いたためか、少しくたびれている感じがします。
ということで、磨いてみました。

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どうでしょう? 2年前の写真と遜色ないですよね。
むしろ、エージングが進んで深みが増した感もあります。

それでは、いよいよこの美しさを保つことが出来た(?)手入れ方法をご紹介しましょう。

 

■ 簡単な雨用靴の手入れ方法1 道具を揃える

まず、以下の道具を用意してみて下さい。
赤枠内(1~5)が「必須」、それ以外は「あれば良い」という道具です。

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※ 以下、リンクは全てamazon.co.jp
<必須>
1:サフィールノワール ビーズワックス(非水溶性の靴クリーム)
2:サフィールノワール ポリッシュ (油性の靴クリーム)
3:馬毛の靴用ブラシ (ホコリ落としに使う)
4:豚毛の靴用ブラシ (靴墨塗布/靴磨きに使う。写真とリンクは平野ブラシだが、安い物でもOK)
5:綿100%の布 (古くなった肌着やTシャツでOK)

<あれば良い>
6:ペネトレイトブラシと歯ブラシ (靴墨塗布時、あると便利。歯ブラシはコバ用)
7:コロニルソールトニック (革底の靴用。今回はゴム底なので不使用)
8:モゥブレイステインリムーバー (ポリッシュ落とし、カビ防止用)
9:靴底用ブラシ (靴屋で貰った物)
10:コバ用ブラシ (コバの泥はねを取り去る際に便利。写真はTricker’s製、日本未発売)

■ 簡単な雨用靴の手入れ方法2 手順

1.靴底やコバ(靴底の張り出し部分)についた泥汚れを綺麗に落とす
雨用靴はたいてい泥汚れが激しく、ある程度落とさないと革にダメージを与えます。通常は道具番号9、10を使いますが、無い場合は固く絞った雑巾でOKです。

2.表革の汚れをブラッシングで落とす
これは、普通の革靴と同じ方法です。
道具番号3の柔らかい馬毛ブラシを使って、ホコリや泥はね(カビの胞子を含んでいます)を落とします。

3.ステインリムーバーで落としきれない汚れと靴墨を落とす
これも普通の手入れと同じ方法なのですが、泥はねが多い分、いつもの目的である「前回の靴墨を落とす」というよりは、綺麗にするといった意味合いが強いです。

4.コバにしっかり靴墨を塗り込む
往々にして、コバの縫い目から水がしみこんできます。これを防ぐために、2番のポリッシュを6番の歯ブラシにつけ、擦るようにして塗り込みます。
歯ブラシが無い場合は、5番の布を使って塗り込んで下さい。

5.ビーズワックスを表革に塗る
6番ペネトレイトブラシが有れば楽にぬれますが、無ければ布やティッシュを使って靴全体に塗ります。
ポイントは、ビーズワックスであること。通常の乳化性クリームは水溶性なので、水に弱いのですが、ビーズワックスに溶けず、強いです。

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塗る分量は片足このくらいで十分

6.塗布後5分ほど放置して、ブラッシング
油分がしっかりとしみこみ、ロウ分が表面に固着するのを待ちます。
そして、4番の豚毛ブラシを使ってブラッシングをし、表面を磨き込んでいきます。

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左がブラッシング後、右がブラッシング前
ブラッシングだけでも、綺麗に光っているのが分かる

7.ポリッシュを使って、トゥ、側面、ヒールを磨く
下の写真の、赤で示した範囲を、ポリッシュを使って磨きます。これにより、防水性が上がり、見た目も良くなります。
やり方は簡単。布を指に巻き付け、その指先に1~2滴の水をつけたあと、ポリッシュを適量とります。

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側面は一番水の被害を受けやすく、かつ見た目にも重要な位置

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ポリッシュの分量は1足これくらいで十分

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左がポリッシュ後、右がポリッシュ前

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ポリッシュを掛けた側面

8.ソールトニックを塗る
今回はゴム底靴なのでやりませんが、革底の靴を雨用靴に選ぶ場合は、行って下さい。
※ やはり、革底はふやけますから、大雨には向きません。注意して下さい。

 

また、今回は靴紐をほどいていません。靴紐をほどかなくても靴の手入れは出来ますが、
ブラッシングしたときに紐が傷みやすいというデメリットがありますのでご注意を。
(靴紐は消耗品ですので、傷んだらすぐに交換した方が良いです)

 

■簡単な雨用靴の手入れ方法3 防水スプレーは?

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、今回の手入れ方法に防水スプレーが登場しませんでした
というのは、今回の雨用靴手入れ方法が「日常の手入れ」だからです。
日常の手入れに防水スプレーは不要、というのが私の考えです。

事実、この靴には防水スプレーをほとんど使用せず3年以上履き倒してきましたが、
雨に起因するシミや汚れは発生していないか、日常の手入れで対応が出来ています。
防水スプレーは、色が薄い靴か、スエードの靴にお薦めします。

防水スプレーは得てして革の通気性を損ないますから、決して表革に良い物ではありません。
また、余計な付着物は靴の輝きを損なう原因になります。
ですから、日常の防水はビーズワックスのクリームと、重要な部分はポリッシュで十分だと思います。

 

■まとめ

1.スコッチグレインの、ゴム底エントリーモデルは雨用靴に非常に適している
2.雨用靴の手入れは、泥はねをしっかりと取ってから行う
3.雨用靴の靴クリームには、水に強いビーズワックスがおすすめ
4.水を沢山被りかつ見栄えに強く影響する側面と、靴の顔であるトゥとヒールにはポリッシュを使う
5.黒革靴には、基本的に防水スプレーを使わなくてもOK

 

如何でしたでしょうか。
ぜひ、雨の多い時期でも、しっかり手入れされた、綺麗な本革の革靴を履いて出かけてみて下さい。

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